具体例を挙げながらTCGにおけるオポネントについて雑に解説する記事:不戦勝が店舗大会では有利にはたらく?

こんにちは、ディアルガVSTAR派のいけこです。

最近参加した17人参加のスイスドロー形式自主大会(ポケモンカードゲーム)において、感覚的にはおかしい気がする最終順位表が掲載されてザワついた、なんてことがありました。というところでオポネントによる順位計算方法について考えてみたいと思います。
とくにチャンピオンズリーグなどの大型大会においては「不戦勝は(トナメ進出に)不利!」というのが常識となりつつあって、これは事実なのですが、店舗大会ではどうもそういうわけではないんだよね…というところにフォーカスして、話を進めていきます。まあ、スイスドロー採用してるとこのマッチングなんて概ね機械が決めてるので知ったところで得できるかは怪しいんですが、興味があれば読んでいってください。正直内輪向けです。
媒体はポケモンカードゲームであることを前提としています(が、同じ方法で計算しているカードゲームも少なくはないと思います)。

1.そもそもオポネントとは

みなさんがふだん単にオポネントと呼んでいる概念は、正式名称を「オポネント・マッチ・ウィンパーセンテージ」(略してOMW%)といいます。日本語にすると、「対戦相手の、マッチにおける、勝率」です。TCGマイスターなどでOMW%として算出されているのはすべての対戦相手のMW%の平均値で、ざっくりいうと「平均して対戦相手がどれだけ強かったか」の指標になります。勝ち点が同じだったときの順位付けの際、ふつうは1番優先して見られる数字です。
(マッチなので2本先取で勝敗を決めるときに2-1で勝った場合でも2-0で勝った場合でも同じ価値の1勝としてカウントしますよ、という意味になります。ただし、ポケモンカードゲームのスイスドロー形式の大会は1本先取である場合がほとんどであるため、あまり気にする必要がありません。)
また、ポケモンカードゲームの場合、この値は33%を下回ることがありません(たとえば1勝3敗のときの勝率は本来25%ですが、33%に満たないので、33%まで切り上げられます。厳密に言えば33.3333…%みたいですが、そんな話をしたいわけではないので今回はテキトーに書いてます)。

例:
いけこくんの対戦相手4人の対戦成績がそれぞれ、0-4、2-2、3-1、3-1だったとしましょう。このときのオポネントは
(33%※ + 50% + 75% + 75%)÷ 4人 ≒ 58%
となります。まあ低くはないかな?くらいの値だと思いますね。
※0-4だった人の勝率は前述の通り、33%まで切り上げてから計算されます。

オポネントが同じとき、次に見られるのはポケモンカードの場合、対戦相手の勝数になります(対手累点)。それでも同じなら対戦相手のオポネントの平均(オポネントのオポネントといったところでしょうか)。

2.不戦勝がオポネントに与える影響

本題に移ります。

①: CLの場合
 CLの場合、戦績が1-3以下の選手の勝率は33%になります。まあこれはよいでしょう。そして、CLで不戦勝が発生するのは(ほとんどの選手で)1戦目のみです(会場に来た人数が奇数だった場合、2戦目以降もひとりだけ不戦勝が発生する可能性がありますが、2戦目が不戦勝になる可能性があるのは1戦目を負けた選手なので、CLの場合はそこまで深く考える必要はないように思います。ほかにも、2戦目以降で対戦相手が何らかの理由でバトルスタートまでに着席できないパターンもないわけではないです)。

CLに出たことのある方ならご存知かと思いますが、CLの場合は1戦目の対戦表は事前エントリーしている選手全員を対象にして組まれます。そして、会場に現れなかった選手については、0-3で自動ドロップしたものとして扱われます
つまり、ほとんどの場合、CL1戦目の不戦勝は、最終の勝率33%の対戦相手に勝利したのと同じ価値になります。1戦目の対戦相手が存在する場合に比べて同等以下の価値になることが確定しているという意味で、不戦勝は最終順位に不利な影響を与えることが確定しています。

②: 店舗大会の場合
 店舗大会の不戦勝は、参加人数が奇数であれば全ての回戦で発生します。そして、「不戦勝の試合の対戦相手の勝率」という概念は存在しません。よって、4回戦のうち1戦が不戦勝だった場合に、オポネントの計算は不戦勝だった試合を除いた3人の対戦相手を参照して行われます。CLの場合、不戦勝のところは全敗でドロップした対戦相手がいたと仮定して計算される(9戦戦ったとして9人が参照される)ということでしたよね?大きな差になるような気がしませんか?
なお、シティリーグなどでトナメ進出を果たしたり、上位入賞したりするにはほとんどの場合1敗が当落ラインとなる(無敗の選手全員と、1敗の選手の一部がトナメに上がれる)ので、不戦勝について議論する必要があるのは2回戦までです(2回戦以降は全敗の選手が不戦勝の枠に行くため)。
そして、先に言ってしまうと1戦目の不戦勝も2戦目の不戦勝も有利にはたらく場合が多いです。スイスドロー4回戦で全勝者1名、最終成績3-1だった場合に、不戦勝を含んでいると有利になるパターンについて見ていくことにします。
※シティリーグは全勝者2名で予選終了となることが多いですが、今回は冒頭で触れた「私が参加していた自主大会」を意識した設定になっています。

 当たり前ですが、スイスドロー4回戦の場合にあり得る最終結果は0-4、1-3、2-2、3-1、4-0の5種類になります。

例1→1戦目不戦勝から最終3-1
 1戦目の対戦相手がいてふつうに勝った場合には、少なくとも1敗が確定している対戦相手を早い段階で抱えることになりますが、1戦目が不戦勝だとこれが生じません。さらにいうと、0-4の対戦相手が生じる可能性がなくなりました(0-4と1-3は同じ価値ですが)。
たとえば、不戦勝→○→×→○の3-1で、3戦の対戦相手の結果が2-2、3-1、2-2だったとすると、オポネントは(50+75+50)÷3≒58%となります。最大となる○→○→×の3-1、3-1、4-0の場合は83%になります。
 一方、不戦勝なしで○○○×となった3-1の選手の最低オポネントは対戦相手が0-4、1-3、2-2、4-0だった場合の(33+33+50+100)÷4≒54%なので、不戦勝スタートから2回戦か3回戦を負けて3-1だった選手よりも全然低くなる可能性があります。何なら最大値は相手が3-1、3-1、3-1、4-0のときの81%。不戦勝スタートの3-1の方が最大値は高いんですよね。
ちなみに、不戦勝なし1戦目勝利の最小値は「○×○○の1-3以下、1-3、1-3、2-2」のときの37.5%で、これも不戦勝スタートのときの最小値より低い値となります。他のパターンの計算結果は割愛しますが、同じ過程を辿って3-1なら不戦勝スタートの方が有利という結論が出るような結果になります。

2. 1戦目負け→2戦目不戦勝で最終3-1
 1戦目負けから2戦目を勝つと、2戦目の対戦相手の勝率は50%以下になることが確定しますよね?オポネントが下がることは目に見えています。でも、2戦目が不戦勝だったらこれを回避できるんですよね。なんか有利そうですよね?計算してみましょうか。
不戦勝なしの×○○○の場合、オポネントの最大値は対戦相手が4-0、2-2、2-2、2-2となる62.5%です。一方、2戦目が不戦勝で×(○)○○を辿ったときの最大値は4-0、2-2、2-2の平均となる67%になります。さらに、3戦目で階段を踏むと4-0、3-1、2-2の75%になる可能性まであります。不戦勝がない場合の最小値は1-3、1-3以下、1-3、2-2の37.5%、不戦勝がある場合の最小値は1-3、不戦勝、1-3、2-2の約39%。他のパターンに鑑みても、こちらも不戦勝を挟む方が有利という結論になります。
(これは余談というか内輪向けの情報ですが、某スイスドロー計算Webページでいろいろ試していたら、17人のスイスドロー4回戦をやって2回戦時点で階段が崩れていない場合、3回戦で発生する階段の、1-1側は1戦目×→2戦目不戦勝の選手になる仕様になっているような印象を受けました。ソースコード確認したりしたわけではないので確証はありませんが、少なくとも完全ランダムで対戦組み合わせを決定しているようには感じられませんでした)

で、結論としては店舗大会では不戦勝を挟んだ方がむしろ有利になりがちだし、4戦目だけ負けの3-1でも全然オポネントで負け得るというおはなしでした。質問あればどうぞ。

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