妊娠は変化のチャンス(5)自由と不自由

21歳で大学中退しフリーターとなり、
24歳で束縛彼氏と別れ、自由恋愛を謳歌。
そんな20代前半までの出来事をお届けしてまいりました。

大学中退後すぐに、カフェ開業の修業という目的のため
都内のおしゃれカフェで働き始めましたが、1年後に閉店を告げられ転職します。

転職先は老舗喫茶店。
この時は既に修業云々は正直どうでもよくて
とにかく無職になってはまずい!という気持ちで、求人誌で見つけた1軒目の面接を受けに行ったら
「いつから来れる?」と聞かれ、その場で採用。
このオーナーには今も個人的にお世話になっています。

不満のない仕事と収入

それまでいわゆる喫茶店に入ったことがほとんどなく、カフェとの違いを実はあまり理解していませんでしたが、働いてみると別物です。
特に客層が全く違うことに新鮮さを感じました。

喫茶店の客層のメインは、常連のシニアやサラリーマン。
カフェにも常連さんはいましたが、喫茶店はその比ではないくらいほとんどが常連さんです。
人の顔とオーダーを覚えるのが得意だった私にはピッタリ。
お客さんもすぐに顔を覚えてくださって、かなり仕事しやすかったです。

私が急いで採用されたのには理由があって
歴10年以上のベテランの先輩が、結婚を機に退職する準備中でした。
そのため、すぐにでもキッチンに入れる人材をということで
短期間でみっちり鍛えられることになりました。

そうして、その先輩が退職した後
私はホールとキッチンを行き来しながら、他のスタッフに指示を飛ばすという立場になっていきます。

学生時代のバイト先や前職のカフェでは、自分が指示役になるなど考えられませんでした。
思えばそれも呪いだったんですね。

呪いその5:先輩より上に行ってはいけない

単純に年上ということではなく、その職場でのキャリアにおいて先輩ということは
常にその人たちに従わなければならない。
その人たちに意見したり、指示をするなんてあり得ない。
無意識にそういう感覚がありました。

しかし、喫茶店での仕事は違いました。
オーナーを除いて、私に指示を出す人はいなく
先輩だろうが私が動かさないとうまく回らない状況だったので、自然とそうなっていきました。

スタッフとの関係も良く、お客さんにも信頼されている
そんな実感が仕事をおもしろくしていました。
その上、収入のほとんどが自分の自由に使えていたので
この頃は、この生活に不満がありませんでした。

友達と同じステージにいないという現実

呪いその6:低収入なりに自由を謳歌している。

高給とは言えないアルバイトのみの収入で楽しく生活できていたあの頃。
実は、貯金を全くしていませんでした

実家暮らしのため生活費はほぼかかりません。
ならば低収入でも貯金できたのでは?と思いますよね。

当時、よく遊んでいた友達のほとんどが
大卒→大手企業OLでした。
私とは収入が違いますし、オシャレなお店にも行きます。
喫茶店スタッフで仲良くしていた後輩ともよく遊びました。
二人して深酒するタイプだったので、仕事終わりに飲みに行けば散財していました。

その結果、私は身の丈に合わない支出を繰り返し貯金はゼロ。
自由なその日暮らしを楽しんでいるようで、
将来への備えもなく常にギリギリの生活なんて不自由でしかないですよね。
そのことに目を瞑って、目の前の楽しい生活を続けていました。

しかし28歳の時に決断します。
このまま30を超えたら就職はできなくなる(そんなことないけどね)、
収入を上げて安定させるために就職しよう!

きっかけは色々あります。
もっと広い世界を見て、レベルの高い人と仕事をしてみたい。という社会的地位への焦り。
結婚はできなそうだから独りで生きていけるお金が欲しい。という将来への不安。
キャリアを重ね、結婚していく友人たちを見て
このままこの子たちと同じ生活ができるはずないじゃん!という絶望感も味わいました。

こうして29歳の時にはじめての就職に成功します㊗️

しかし、これまでの人生で一番楽しかった、
自分が輝いていたなぁと思うのは、やっぱり喫茶店時代です。
自分に合った仕事を任され、周りの人に恵まれ、承認欲求が最も満たされていたんだと思います。

収入が心を癒すという事実

就職したことで見える世界は変わりました。
収入が上がり、貯金ができるようになったことも
初めてのボーナスで両親をレストランに招待できたことも
組織がどんな仕組みで動いているのか理解できたことも
社会人の責任がどれだけ重いものか痛感したことも
全て、会社のおかげです。

辞めたくて辞めたので、辞める時には会社に対してネガティブな気持ちが強かったですが
今改めて私の人生における会社との出会いを考えたら、感謝しなくてはなりませんね。

そして、お金は心を癒す。ということに気がつきました。
お金を使う人も使わない人も共通する本能のはずです。

貯金ができるようになると何がいいって
お金があるという安心感で心が癒され、余裕が持てることだと思います。

前職では営業をやっていたのですが
売上が足りない月は気持ちに余裕がなくなって、ミスが増えました。
早めに売上を達成した月やプラスの大きな売上がある月は、気持ちに余裕があるので
普段は思いつかないようなアイデアが湧くこともありました。
これも同じことだと思います。

喫茶店の時のように自分が采配したり何かを決める権利はないし、仕事の規模も違うから責任重大だし、最終的には売上で評価される。
そんな中で上司や先輩のご機嫌を伺いながら働き、ありえない残業量で心身を酷使し、仕事における自己肯定感はどん底。
それでも、月末になれば給与明細を見て癒される。頑張れる。

これがいいことだとは今は思いませんが
少なくともお金が励みになっていたという事実は語れます。
会社は労働力に対して約束された給料を支払ってくれる、
それが当時の私の安心感であり、他の選択肢を考えられなかった所以でもあります。

会社を辞めたい、他の生き方をしたい、と思うまでになるのは34歳の時です。
それまでは、この会社で出世するなり自分の立場を確立するなり頑張ろうと思っていました。
考えが変わるきっかけや、その後の行動については、また次回。

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