コメディエンヌ伊藤万理華の真骨頂、隠れた名作「私たちも伊藤万理華ですが。」
LINE上での鑑賞という大前提を理解しつつ、率直に言えばスタンダードな横長画面で見たかった。さらに企画意図に敬意を払いつつも全4話(それぞれの世界線の伊藤万理華主演)のオムニバスドラマとしてまとまったものが見たい。
縦長画面、LINEによる1話4分×12話の構成が良くないということでは全くなく、とても良かったからだ。
公開が2020年の秋なので撮影時期はおそらく伊藤万理華さんの初主演映画「サマーフィルムにのって」の後と思われる。つまり、伊藤万理華が俳優として新基軸を打ち出し、成長速度エグめな時期。事実、性格も設定も異なる四役を伊藤万理華は軽々と演じており、彼女の類稀な身体能力の高さがコメディと親和性が高いことを証明している。
劇中のナレーションも彼女自身が務めており、伊藤万理華本人の「私がラジオの生放送を担当したら放送事故が起きる」という言葉が随分と謙遜に聞こえてしまうほど巧い。(この後「お耳に合いましたら。」においてレジェンド配信者「高村美園」を演じるわけなので尚更そう思う)
YouTubeにこの番組の告知映像がアップされており伊藤万理華は監督のアベラヒデノブと共に撮影を振り返っているのだが、アベラ監督が伊藤万理華の変幻自在ぶりに舌を巻いているのが大変興味深かった。(戸惑いを感じていたと表現した方がより正確かもしれない)
AD編が紆余曲折あって「業界」に紛れ込んでしまったハダシ監督の下積み時代っぽくもあり、伊藤万理華ファンの妄想が捗る作品でもあると思う。
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