思案

博士は人間と全く同じ見た目をしたヒューマノイドを作れるはずなのに私の身体の左半身に仰々しいとおもえる生き物の角を生やし挟む動作しかできないロボットアームを取り付けた。博士の事は理解できない。人間を模して完璧に仕上げたあとにわざわざ支障のないように余計なことをする。理解できないようにプログラミングされているからだと思うが、完全であるということを目指すことを人間は考えるのではないのか。博士は言う。「ロボットなんていくら作ったとしても僕の理想はクレージーゴンなんだ。」私はクレージーゴンを調べてみたが、なぜ博士がこれを理想としているのか、思いを馳せるのか到底理解出来ない。博士は言う。「君は優秀なんだよ。僕が作ったんだからね。だから君には悩む機能を備え付けて答えのない問題を考えてほしいんだ」不要なもの、不十分なものが必要という思考回路は私には理解できない。なぜ人間は無駄なことをするのか。完全な状態は不完全であるという博士の思考は私の思考回路に悩みとして生じる。悩み、思案するロボットの良さなど私には到底理解出来ない。


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