東京

東京という街は本当に終わっている。


検索候補の8番目からも真実が伺える

人通りは常に多く鬱陶しいほどである。100人に1人の割合で変な人が出てくるガチャを1日1000回やるような割合で変な人と出会す。夜から朝にかけては人々は酒を喰らい彷徨い酩酊して街の至るところを自身の寝床と錯覚しながら精根尽き果てている様も見ることができる。

今日も今日とて繁華街をコンビニエンスストアで買った酒を飲みながら歩いていると、行き交う往来の中で口を開け天を仰ぎながら電灯に足を絡みつかせ寝ている第三者を観測することができた。まるで自分にスポットライトを当ててポールダンスをしている最中を切り取ったというには些か品がなさすぎるような姿を晒す御仁の周りには彼が飲んだのか他の人が飲んだのかわからない数多の空き缶でバリケードのようなものが形成されている。治安の悪さゆえか酒の酔いのゆえかわからないが、インバウンドで街に繰り出している外国人観光客も今しがた飲み終わった缶チューハイの空き缶を彼の外界とのバリケード形成に役立てて欲しいというような顔をして置いていくではないか。これは彼に対する安全圏の形成なのか、はたまた俗世からの逸脱の象徴なのか。先ほど飲み干した350mlのビール缶と今しがた喰らっているストロング缶を飲み干した酔った頭で彼に対してどうすべきか悩む。悩みはしたものの酒の悪魔は正常な判断とは程遠い結論を導き出す。一時の逡巡も虚しく彼の心のバリケード形成に役立てて欲しいと彼の周りに自ら持っていた酒の缶を並び立てる。また夜の街に繰り出していく誰の目にも酩酊した自身の周りに名誉と不名誉の同居した酒の缶が並ぶ日を夢見るのだ。我々はいつも街のせいにしていく。








※こんなフィクションですらポイ捨ては心が痛むので戻って酒の缶は回収して棄てておいたことにする。


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