寄生

ウオノエという寄生生物の一部は宿主である魚の口内に寄生して舌の血管から吸血する。そして舌を壊死させて代わりとしてそこに鎮座するという生き物だ。
また生まれた時点では雄しかいないが、対象の口内で定着すると性転換して雌となり別の雄をひたすら待つという奇妙な生命体である。

こんな珍妙でありつつ凶悪とも言えるウオノエだが対象とする魚以外には寄生することもなく無害であり、寄生生物以外には(寄生された対象を漁獲する漁師たちを除いて)害悪とは言えない。人間が泳いでいても同じ行動を起こさないようである。

寄生生物の進化のあり方は不思議だ。対象となる寄生主が前提として存在する環境があり、基本的にその宿主との共生・共存をする形で自身の能力を発揮させる必要がある。宿主に害意があると判断されれば駆除や撃退されてしまうし宿主を死亡させてしまうと結果的に自身も死んでしまうからだ。

人間だって寄生生物のように進化していく可能性もある。コンピューターやAIを使った演算処理、分析等を脳の拡張として扱い続けていれば脳が全く別のことができるように感情の振れ幅が大きくなったり物事を記憶する領域に費やしたりするかもしれない。昔の原始人に比べて我々の運動能力は退化していった。これもひとえに自然や環境への寄生を試みた結果なのではなかろうか。 ともあれ寄生獣はいい漫画だ。



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