兄弟

たぶん同じ遺伝子を持っているであろう兄がいる。3つ上で小さい頃から一緒に遊んでもらっていたような気がする。俺より優秀なことは間違いないのだと思うが、正直一生兄のことはなんとなくわからない気がする。

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兄のことで強烈に覚えているのがトランプで一緒に遊んでいるときのことだ。山札を切るのも配るのも拙いながら自分がやっていたが年長者の言うことは絶対なのでトランプで遊ぶためには致し方ないと思って渋々従っていた。もちろん毎回切る、配るをやらされて不平が貯まっていたので兄にお願いした。
「兄ちゃん、トランプ切って」

兄はおもむろにトランプを持って立ち上がり駆け出した。何かあるのかと付いていくと台所からキッチンバサミを持ち出していた。そしておもむろに遊んでいたトランプをはさみで切ってしまったのだ。

理由もわからず切られて遊べなくなったトランプの♣4をながめて涙が込み上げて自分は泣いてしまったが、兄はその様子を見てケラケラ笑っていたらしい。

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そんな兄から今朝ニューヨーク州の司法試験に受かったとの連絡が来たとの知らせを母親経由でもらった。やっぱり兄のことはよくわからない。よくわからないが、とにかくめでたいことは良いことなので今日はお酒を飲むべきである。