作業療法士として

私は急性期から作業に焦点を当てた介入をしたいという目的を持って今の職場に就職した。

急性期で最低限求められるのは医学的知識とリスク管理は勿論、生命維持、早期離床のリハビリテーションだと思う。今も分からないことだらけだが、病院の〝ルール〟に慣れるまではかなり時間を要す。このいわゆる〝最低限のこと〟で精一杯になってしまっていた私は、学生の頃理想としてた作業療法を提供できることなく、ただ毎日10何人ものカルテと睨めっこして、介入することに必死だった。

そんな日々を過ごすと、ふと自分は何者?って思う時がある。作業療法士として、自分は何もできていない気がして、葛藤することは今も多々ある。

作業療法の定義は2017年に改定され、パラダイムシフト途上にある。諸機能の回復だけではない、健康と幸福の促進が目的として加わっている。

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

作業療法の根源は定義に詰まっていると思い、いつでも見える手帳にメモし、振り返ることがある。意味のある行為を通して、クライエントの健康と幸福を促進する援助をしてこその作業療法。学生の頃の理想の作業療法士像を忘れずに、日々考えていきたい。

そして急性期という環境で長年働き、医学モデルを重視するベテラン作業療法士の先生方へ伝えたい。時代の変化とともに、私たち作業療法士には〝作業療法の専門性=作業に焦点を当てた介入〟が求められていることを。


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