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遊園地と戦隊レンジャーと私。

つらつらと昔のことを思い出して、
このキオクは誰のものなんだろうと
不思議な感覚になります。
亡くなった人を思い出すことが故人の供養になるように
キオクを思い出すことが、私を解き放つ。
そんな理由で、記しておきたくて、書きました。

高校生だった息子と、思い出話をした思いでばなし。

息子が彼女と初めての遊園地を計画。
「そう言えばさぁ」
ご機嫌な息子は思い出話しを始める。
「戦隊モノのイベントによく連れってくれたでしょ。
遊園地の広場で戦隊レンジャーのイベントに行ったよね。
朝から夕方までずっと戦隊モノ見て
乗り物あまり乗らなかったっけ。
楽しかったなぁあー」

この遊園地の話は私にとっては黒歴史。
やっぱり覚えていたか。

あの頃、返済めどがたたない借金に
さすがのノーテンキな私も追い詰められ、
2日ほど、ほとんど眠れなかった。
2日も人間寝ないとどうなるか、
どっかのネジがぶっ飛ぶ。
体調は最悪だ(あたりまえだけど)

今の私のオツムでは万策尽きてる。
このまま寝ないで、ノイローゼになった自分よりは
今の私の方がまだマシだ。
最低限、今の私をキープしよう。
これ以上、生きる戦闘能力を減らしてはいけない。
今、寝る自分の方が
不安で寝れない自分よりはマシだ。
何ともならないことも含めて何とかなる。と腹を決めて
自分い言い聞かせる。
もう寝るよー私!!
寝ろ!!私!!
そして寝た。
(稼ぐ給料より支払いが多いこの状況どうする? の回答はないまま。)

キセキ君が普通の顔してやって来た。

覚悟を決めて寝た翌日。
職場に行くと、カタカタとFAXが流れて来た。
「海の向こうに異国の見えるところに支店を作るよ。
行ってもいい人は手を挙げてね。
転勤手当はずむからさ。人事より」

そのFAXを見て職場のみんなは、薄笑いした。
「いくらもらっても、あんな遠くてへんぴ田舎は無理だ。」
「誰も行かないよ」
「どうせ、誰も行かないでしょ。この紙捨てるよ」
キセキ君はあっさりゴミ箱に。

私はこっそり、人事に電話して
みんながドチャクソ田舎だと笑った支店に
行きますと返事した。
これは、私宛にきたFAXだと確信してたから。

街育ちの私には、田舎が想像つかない。
私の行く、へき地は半径40kmに
信号が数えるほどしかないような町。

そこに行けば、なんとかやって行けそうだ。
子供たちが好きな戦隊モノのイベントには
しばらく行けないだろうな。
そんなこんなで、引越し前に遊園地に行くことにした。
(やっと遊園地の話に戻る)

遊園地の入園料と別に乗り物チケット。
大人ひとりと子供ふたり分の料金に躊躇。
嬉しくて、あれもこれも乗るからね!!
興奮してる2人を見て、
乗り放題チケットも買ってあげる。
大人のチケットはちょっと無理だ。

いざ、遊園地の中に行くと、子供たちは
戦隊レンジャーがやって来る舞台のある広場にずっと居る。

戦隊レンジャーがいつ来るかわからないからと、
その広場から離れない。
大丈夫。まだ来ないから乗り物乗ろうと言っても
広場から動かない。

戦隊レンジャーの歌が流れてるし、
広場はウキウキした雰囲気に満ちてる。
結局、夕方まで繰り返し、戦隊レンジャーショーを見て
乗り物をほとんど乗らない2人。

こんなに喜んでくれてるのだから、
連れてきたかいがあったと喜べばいいだけの話なのに
乗り物チケットが無駄になったなぁと気になる。

最後にお化け屋敷に行くことに。
近くまで行くと、
おどろおどろした雰囲気に子供たちは怖いと拒む。
私はチケットがほぼ無駄になることに苛立ち、
何がなんでも、お化けしきに行くと言い張った。

お化け屋敷に行く行かないで
子供を叱咤し泣かしてしまった。
楽しいはずの今日一日を、
最後の最後にぶち壊してしまったのだ。
疲れすぎだったんだ。

何やってんだ私。
一生懸命やって、自分でぶち壊してる。
いつもいつも何やってんだ私。
思い出すと、切なくなる思い出だった。

そんな記憶を思い出してる私に息子が
「ねぇあの時さ、お化けしき行く行かなで喧嘩になったよね
それでお母さんすごく怒りだして笑える。」
彼女と遊園地行くから、とにかく上機嫌なのだ。

「いや、あれは、その…
色々な経験してほしくて…」
まったく意味不明の言い訳をする私。

息子は嬉しそうに、
「俺も子供ができたら遊園地行って、
子供と一緒にお化け屋しく行くわ。
子供が泣いても連れて行く。お母さん思い出してさ」

だれかと笑って話しあえたら、
ツライ思い出は 色どりゆたかな思い出に変わる。
本当の物語はどれであってもいい。
そこにやさしさがあれば。











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