焼けた写真
思い出せなくなってゆくということは
思い出す必要がなくなったということなのだろうか
年経るほどに記憶は頁を減らし
残った部分も虫食いで
色鮮やかだったはずの写真は白黒に
端からじわじわと燻って灰化してゆく
無くしたものを思って悲しい、というきもちが
何を無くしたのかわからずに戸惑っている
無くしてしまったということそのものが寂しい
大事にできなくて ごめんなさい
新しくみえるものの大波にわたしは浚われ続け
洗い晒される布のように揺蕩うだけ
削ぎ落として削ぎ落として素材だけになって
それは一体何というものだろう
自分なのだろうか
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