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きものごと/丸ぐけ紐 作り方 覚え書き


完成品の使用イメージ

丸ぐけ紐がほしい。
普段着として着物を着出してアレもコレも欲しい欲しいの物欲が留まるところを知らない。
而してお財布の中身は無限ではない。小物そんなにめちゃくちゃ高価でないとはいえ(もちろん高価なものもある)無限に脳死で買いまくれる財力はない。

ので、作ることにした。

さしあたってネットの叡智を借りるべく検索する。へいしり!丸ぐけ紐の作り方調べて!
……構造としては単純に芯を布で包んで紐状にしたもの。筒状にした布の中に芯を入れたもの。

作り方の記事やレシピなどはそう多くはなかったものの、長さや太さの概要は得た。
おおよそ160センチ、太さは4センチから4.5センチくらいがよくあるものの大きさらしい。

ということは最小限で縫い代こみ、長さ162センチ、巾は5〜6センチくらいの生地を用意する必要があるんだな、とあたりをつけ、このサイズを目指して布を探すことにした。

でもさあ……4センチ、かなり太くない???

と思ったので先達に聞いてみたりリサーチしてみたら、丸ぐけ紐は振袖用とか白無垢用とかに多いらしく、つまり着物は着物でも、ブリンブリンに“盛る”ときのやつか!と感じた。

わたしが着るのはおしゃれ着ほどもかしこまってなくて、もっと気軽な日常のふだん着〜つまりかなり地味〜だし、やっぱり4センチは太い気がする……。

2月の着用記録、紬が多い

①布地の選定

購入したインド刺繍リボン

布買って必要なサイズの帯状に切るのめんどくせえな!!!!と思って、夏物に使えるイイ感じのものを探してきた。
インド刺繍リボンで半衿を作っている方の記事を拝見したことがあったので、ユザワヤ行ってインド刺繍リボンを見て、これから夏に使えそうなミントカラーのやつと、柄が気に入ったブドウっぽいものを購入してきた。

②縫う前の下準備

インド刺繍リボンは縫い代がある

インド刺繍リボンは余白のチュールを裏に織り込み、透明な糸で縫って固定してある。
それをほどいて開き、アイロンをかけておく。

③縫製準備

裏返し用の紐を仕込むところ

我が家には紐通し的なかしこいアイテムがないのであるものでどうにかする。
十分な長さをとった麻紐をリボンの裏側の端で1センチほど縫い付けておく。

④縫製

紐を仕込みながら中表に縫製する

縫い付けた部分を内側に折り返し、紐を仕込みながら中表に縫製していく。
リボンの左右にあるフチ線の刺繍部分は、丸紐にしたとき二本並んでいると微妙だと思ったので、片方を縫い代側に避け、表に残るのが一本になるよう縫製した。

縫い終わりのところ

縫製を終えたら、縫い代を5ミリくらいに整えて不要部分を切り落とした。
効果のほどはわからないが、縫い代はきせをかけるようにリボンのフチ線を残した側に倒してアイロンがけしておく。

⑥裏返す

麻紐を縫い合わせた側

麻紐とリボンを縫い合わせた部分をピンセットで内側に押し込み、反対端の麻紐を引っ張って表地に返していく。

全部表に返ったら麻紐は全部抜ける

麻紐は縫い合わせたリボン1センチの部分ごと切り落とし、二本目の縫製に再利用する。

表に返したところ①
表に返したところ②

⑦芯を入れる

事前リサーチの結果、本格的な丸ぐけ紐は(バッグなどの?)持ち手芯を布で包みながら手縫いで〝くけて〟いくらしい。
が、そんな面倒くさいことにやる気が起きるわけがないので、簡易的なやり方として毛糸を仕込む方法を採用した。
アマチュアの手作りで販売されている丸ぐけ紐の多くは毛糸仕込みが多いようだ。

白の毛糸を通したところ

二度目になるがひも通し的な賢いアイテムなど無い我が家なので、生地を表に返すときに使った麻紐をヘアピンに結びつけて通したあと、麻紐のしっぽ側を芯用に切り出してまとめておいた毛糸(任意の本数←今回はミント用8本とベージュ用6本)を半分に折り(=太さの本数✕2←でミントの芯は毛糸16本、ベージュは12本)、折って出来た〝わ〟の部分に)括り付けて通していった。

インド刺繍リボンは程よく中身が透けるので、ミントには白、ベージュには蛍光オレンジの毛糸を買っておいた。いずれもSeria、100円。

丸ぐけ紐の実物を触ったことがないので先達に質問させてもらったところ、硬めの芯に柔らかいものが巻き付いている感じのものなどがあるようだが、一般論的にある程度柔らかいもののほうが結びやすく使いやすいとの知見を得た。

硬さの調節のため、やや太い方のミントカラーの方から試しに入れてみる。
これが押し込める限界であろう、という24本取りで20センチほど通してみて固さや曲がり具合を確認する。
固いなと感じたので引き抜いて少し減らし、再度引き入れてみて固さを確認する。これを繰り返して好みの固さに調節していく。

▼結果(芯材にはSeriaの並太アクリル毛糸を使用した)
・ミントカラーの方は太さ3.5センチで16本取り
・ベージュカラーの方は太さ3センチで12本取り(14でも良かったかもしれない)

⑧先端を処理して完成

完成したところ

毛糸の余りは長さの中に収まるように切り、縫い代を内側に押し込み、フチをかがってとじて完成。
シンプルすぎるので、そのうち縁に何かタッセルとかビーズとかつけるかもしれない。


▼所感
気に入る丸ぐけ紐が見つかればそれで良かったが、無かったので作ることにした。
構造自体は単純なものなのでさほど時間もかからず完成することができた。

①〜⑧まで2本分で2時間半くらい。
もうちょい慣れれば、1本1時間かからずに完成させることができると思う。
コストはミントが700円/1.6m、ベージュが525円/1.6mで、毛糸220円/2個で計1445円、1本あたり720円。
毛糸の余りを含めなければ700円切るくらい。

休日の暇つぶしには丁度いい作業時間だった。
特にベージュカラーの方は中身が透けて見えるので蛍光オレンジにしたのが大正解だったと思う。地味なふだん着のいい感じのアクセントになってくれる仕上がりになったと感じるし、大変に満足。

夏向けに使えるもの、と思って選んだので今回はポップカラー2本になったが、次にユザワヤに行くときにはもっとモノトーン&シック寄りのものが買えたらいいなと思う。
使うのが楽しみ。もう袷を着るのは暑いから、早々に浴衣を出すつもりだ。

追記
市販の丸ぐけ紐実物を触って確認することができた。
喪装用のものだったが、太さはおおよそ4センチ、触って確認したところ中芯はネル生地をふんわり巻いたものではないかと思った。
そのうち入手する機会があったらほどいて中身を確認してみたい。

追記2
使用感について。
ポリエステル100の緩みやすい帯に、おそらくポリエステル100であろう自作丸ぐけ紐を本結びで着用、一日過ごしてみたが緩んできたりはしなかった。
ポリ100帯が緩みやすかったのは単純に帯結びが未熟だっただけで、丸ぐけ紐も緩まない本結びなら問題なく着用して過ごすことが可能。

ただ、結んだあと脇身のとこにかませる両端はもう5センチずつくらい短くてもいいなと感じた。
(参考/補整ゼロ、インナーにTシャツ、単衣、ポリエステル半幅帯、ウエスト60くらいの肉体)→腹回りにある程度の補整をいれたら製作サイズの160cmで丁度いいのかもしれない。

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