ルーティン(イチコジンカン#3)
「大人になったら、1年があっという間やで。」
子供の僕に、よくわからない
とりあえず血は繋がってそうな
大人たちが正月に集まって
口を揃えて言っていた。
その残響を抱えながら
この歳になって自分より年下の子達に
血は繋がってそうな人たちの
口元を真似るように
同じことを言っている。
そして言われた子達は、
子供の僕を見てたかのように
同じ反応をする。
その時の流れの痛みは不意に来る。
「このリップクリームいつ買ったやつだっけ?」
今年の冬?去年の冬?
わからない。
そもそも何故ここにあるのだろうか。
ルーティン的なモノがすごく苦手
毎日同じことをするのが苦手で、
同じ時間に同じ場所で同じことを
したくない人間で
まあ正確に言うとできない人間で。
そんな性格か僕は
リップクリーム的な物を
使い切ったことがない。
化粧水やハンドクリーム。
ワックスやスプレーなどの整髪料
ビタミン剤などのサプリメントも含め
使い切ったことがない。
でも気付いたらある。
上書き保存されている。
衝動的にその時の自分を
変えようとしてしまうんでしょう。
生活のリズムという
自然にできた惰性のルーティン。
でもその後3日と経てば
風呂上がりに化粧水とか塗っていることが
ルーティン化してきて嫌気が刺して、
やらなくなる。
はじめる、やめる、はじめる、やめる
このルーティンが
始まってしまう。
ワンモアタイム アリトモ
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