「五輪教」というカルト宗教

 イーズカはイベントプロデュース学科といういかがわしい学科の教員だったので、もう10年以上オリンピックを調べている。
 世界最大のスポーツイベントであることは確かだが、IOC会長がサマランチ(1980~2001在任)になって以降のオリンピックは完全に変質している。彼が会長に就任したのは1980年で、その前に「五輪存亡の危機」が訪れていた。

 1972年ミュンヘン大会のイスラエル選手団へのテロリズム、1976年モントリオール大会の巨額赤字、この2大会で開催候補地が無くなりかけた。
 しかし1984年ロサンゼルス大会がピーター・ユベロスの「民営化手法」によって空前の黒字を生み出して、再び大イベントとして蘇った。

 その後1996年アトランタ大会はコカ・コーラ本社の所在地で、町中に広告が溢れかえり「商業主義の過剰」が批判された。しかしこの大会から冬季大会が分離され、2年ずらして開催されるようになった。
 そしてIOCは、テレビ放映権料を複数大会セットで販売するようになる。

 大会への入場料収入など微々たるものなので、売り上げのほとんどはテレビ放映権料である。しかし大会の肥大化が止まらなくなり、「TOP(The Olympic Partner)」という協賛金スポンサー制度を新設した。
 一業種一社で、初回から名を連ねるのはコカ・コーラ(飲料)、マクドナルド(食品、2017年にTOPから撤退)などである。4年契約で1年あたり100億円ていどと言われている。

 米国のGE(重電機)は2008年北京大会で水力発電所の発電施設を受注するなど広告を踏み越えた、バーター取引まがいの事まで行われている。

 しかし更に大きな影響を及ぼしたのは「プロ化」の波である。特にサッカーの国際組織であるFIFAの存在が大きい。サッカーはボールひとつでも出来るため、先進国のみならず南米などでも盛んであり加盟国は世界中に及び、IOCよりも発言力が強い。

 スペインや南米などで盛んなスポーツであるので、FIFAはラテン系のマフィアの巣窟とも言われている。彼らはオリンピックなど小馬鹿にしており、五輪出場選手を23歳以下に抑え込んで、ワールドカップ・サッカーの2軍選手しか出させない。
 オリンピックがプロサッカーを取り込むことにより、IOCはFIFAに牛耳られるようになってしまった。FIFAの要求する金額は桁違いだ。

 2020東京大会の施設建設費はロンドン大会の3倍レベルである。信じがたい金額に高騰しており、ゼネコン経由でFIFAに流れているとのウワサが絶えない。

 FIFAの金銭感覚に近い自民党は親和性が高いが、そのチカラ関係から行くと「下請け」レベルである。
 FIFAへの上納金の集金手数料を受け取っているに過ぎず、首根っこはIOCを装ったFIFAに押さえ込まれている。

 こんな背景が無ければ、ここまで「歓迎されないオリンピック」を強硬開催するモチベーションが理解できない。
 オリンピックも万国博覧会もカジノも、世界を股に掛けた胴元に牛耳られている。日本政府など使いっ走りのチンピラの役目を、喜々として受け賜わっている。

 スガの顔など、そんな下請け代理人にふさわしい卑屈な顔である。


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