小説が一行も書けていない

 3月締切の応募小説を、小説とは呼べない半生記で送稿してから、秋の締め切りに向けた小説を書こうとしている。

 当初は講談社の「群像新人賞」に応募するつもりだったが、ある残酷な夢のシーンを書いたことでホラー小説に興味を持った。
 すると大学の後輩が『粘膜人間』という作品を紹介してくれた。カドカワの「横溝正史ミステリー&ホラー大賞」を受賞した作品だ。
 具体的な残酷さだけでなく、精神的に「オエッ」と来るのが良い、と言う推薦の言葉通り凄まじい作品だった。読んでいて2回ほど本を閉じて放置した。

 かつて暴力に明け暮れていた時代があるので、残虐な行為については自信があるが、「精神的にオエッ」の部分がムツカシイ。精神の残虐さや、人でなしぶりに関しては抽象的な概念の世界なので、方向性や描写方法が無限となる。

 どんな小説を書くにしても、セックスと暴力は欠かせない。どちらも生命エネルギーそのものなので、触れざるを得ない。しかしそれらを描写すると、書いた人間の人生の深さと陳腐さが露呈してしまう。

 小説を書いていて自己弁解に陥ったら悲惨だが、そのギリギリのところを渡らないと突き抜けることはできない。
 みずからの恥部を曝け出すので、性行為に極めて近い。

 まだ講談社にするかカドカワにするか迷っている。9/30と10/15が締め切りなので、飲み屋が休業中の8月には一旦書き上げないと、編集も校正もできない。

 オリンピック競技にはまったく興味が無いので、集中して書くには良いタイミングだが、とにかく暑い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?