ソフトバンクはほぼダメだね

 昨夜、読み出した『ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機』(黒川敦彦著)は分かりやすくてオモシロいが、恐ろしい内容だった。
 イーズカが金融資本主義を調べ出したのは、大学で教えていて「リーマンショック」の何たるか、を教えたいと思ったことによる。
 「サブプライムローン」というものが、単体としても酷い上に、他の金融商品と複雑に結びついている。
 「証券化」という手法が凄まじく、ただの借金が投資案件になったりする。返せるか返せないかを丁半バクチにするようなものである。
 さらに失敗した場合の保険のようなモノもある。外れたら全額を負担することになるが、破綻さえしなければ、何もしないのに毎回配当が振り込まれる。
 何であんな危険なモノに手を突っ込んだかと言えば、楽して儲かるからである。
 リーマンショックで散々に懲りて、さまざまな規制が出来た。もう、あんな恐ろしいバクチは出来ないはずだ、と思っていた。学生にもそう教えていた。
 しかし金融資本家の強欲さは、まったく衰えていなかった。
 著者の黒川氏が「リーマンの10倍以上の金融危機が来る」という言葉を、最初は世界的なコロナ騒動による経済停滞から来る大不況だと思っていた。
 それはそれで間違いなくやって来るが、その前にすでに時限爆弾が発火を待っていた。
 ドイツ銀行は5500兆円という天文学的な量のデリバティブ(金融派生商品)を保有している。頭取自身が「総額は分からない」と言っている。
 デリバティブとは保険のような性格を持つバクチ商品で、実体経済には何ら寄与せずに、バブルを膨らませ、金融危機を引き寄せる始末の悪い商品である。
 なおかつ、どれほどの被害が出るか想定しきれないので、貸借対照表に項目としてはあっても金額が想定値に留まっている。
 で、ドイツ銀行が破綻した場合、それは世界中に波及する。世界のデリバティブの総額は約6京円もあり、それとは別にシャドー・バンキングの資金が約1.8京円もあるらしい。
 こんなものが破裂したら、地球10個分くらいの富が失われそうである。
 コロナ不況は、その引き金を引くだけらしい。阿鼻叫喚の地獄の規模が想像を超えている。
 そしてタイトルのソフトバンク・グループだが、「日本のゴールドマンサックス」を目指しているらしい。
 ソフトバンク・グループの投資事業は「ビジョン・ファンド」という。
 このファンド、中国のアリババへの出資では成功したようだが、米国の携帯電話会社スプリント、不動産転貸業ウィーワークス、インドの不動産会社オヨ、ウーバー、英国のアームス、などなどほぼ失敗が続いている。
 多少儲かっている案件も含めて、今回のコロナ不況で全面安になるのが確定的である。
 借金19兆円で打ったバクチが、全敗しそうである。携帯電話やヤフーで稼いだカネくらいでは、到底穴が埋められない。
 他にも農林中金や、ゆうちょ銀行、年金資金などが、すべてゴールドマンサックスあたりの上得意になっている。
 しょせん日本などアメリカの植民地のようなものなので、いいようにカネを吸い上げられている。
 いろいろな意味で、来年のオリンピックなど開催不可能である。
 もう、ソフトバンクなど吹き飛んで当然、日本全体が崩壊するのでは、という恐ろしい未来が語られていた。
 「いのち短かし、恋せよ乙女」の気分になってきた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?