『地球に落ちて来た男』
今日は管理人の仕事が忙しかった。まず外壁清掃があり、風が強く水滴が飛び散る。歩道を歩く人々に謝りながら、交通誘導した。
そして防犯カメラを納品している会社に電話した。一週間前から管理人室のモニターが映らず、人の出入りが分からない。
管理会社を通じて連絡していたが、なしのつぶて状態だ。
やっと電話が繋がり、担当者が出た。「管理会社に言ってあるが、どうなっているのか? 」
「いいえ、まったく聞いておりません」
「分かったが、もう一週間もモニターが映らず困っている。いますぐ来てくれ。」「来ないなら保守メンテ契約を解除する。」
それで、ようやく来ることになった。その件を管理会社の担当者に連絡した。
「あの担当者はふざけている。いつも何を要求してものらりくらりと逃げるだけだ。」
「そうだったんですか。いまメーカーの人間を連れて来るので、問い質します。」
そして、いかにもトロそうなバカづらをした担当者がやってきた。メーカーの人間に状況を説明して調べてもらった。
「おい外に出ろ。こんな狭い場所に居たら、彼の仕事の邪魔になる。」とトロい担当者を外に出した。
「いま管理会社に確認したら、一週間前に君に伝えた、と言っている。まったく聞いていない、とはどういうことだ? 」
当然しどろもどろになった。全てが分かっていたので、怒鳴り飛ばした。
「すぐにバレるようなウソをつくな。テメエが放置していただけではないか。オマエは何をすることで、会社から給料をもらっている? 仕事を舐めるのもいい加減にしろ。彼が調べて直している間、そこに直立不動で立っていろ。一歩でも動いたら許さない。」
と言い残して、外壁清掃の現場の手伝いに行った。
トロい担当者の前を歩くときは、クツの踵を蹴るように踏み鳴らした。
メーカーの人間の作業が終わった。なんとか一時的に復旧させたが、もうマシンが古く更新するしかない。その旨を管理会社に伝え、更新の見積もりを取ってもらう算段をした。
今回は2社により、相見積もりである。
トロい担当者には「二度とオレの前に顔を出すな」と言い渡した。
こんな風に午前中は終わった。疲れたので、マッサージに行ってから昼寝した。
夕方は筋トレをしてから、キックボクササイズに出た。テコンドーの彼女と雑談した。
「このキックの後のZUMBAにも出るの? 」
「いいや、出ない事にした。このキックで疲れ果てるので手抜きになってしまう。」
「疲れた時は、マシンが良いですよ。座って出来るから。」
さすが66キロを44キロに減量したオンナである。現状では「我が師」となっている。
「筋トレが嫌いで、ずっとエアロビだけに励んでいた。37年間も勘違いしていた。」
「そんな勘違いを37年間もした人は、地球上にイーズカさんしか居ない、と思います。」と笑われた。
キックの後は風呂にゆっくり浸かって夜景絶景バーに行った。そんな一部始終をアヤさんに語った。
するとアヤさんから「イーズカさんは、デビット・ボウイが演じた『地球に落ちて来た男』なんじゃないですか? 地球人とは思えません。」
そうであった。イーズカはレプリカントならぬ、「イーズカント」として、地球に送り込まれた殺人兵器なのである。
ミッションは「一般人とバカを殺せ!!」と、プログラムされている。
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