−若菜色−　電車内で大音量で動画を見ていたきみたちへ

この前電車に乗ったら、4人掛けのボックスシートに若いお兄ちゃん2人が対角に座っていた。
茶髪に浅くかぶったキャップと、金髪にピアス。
見た目で判断するわけではないけど、まあ若気の至りというやつだ。（ぼくも若人だが）

しばらくすると、2人が大音量で動画を見始めた。
イヤホンをするでもなく。

最初は、間違って再生しちゃった恥ずかしいアレかな？と思ったけど、2人に慌てるそぶりは一切なくて、どうやら意図して大音量で動画を流しているみたい。
結局ぼくが電車を降りるまでの30分ほど、彼らはずっとそうしていた。

たぶん、それに対する大多数の反応は、「うるさっっっ怒」だと思うんだけど、最近のぼくは、良いのか悪いのか、怒りという感情が欠如している。
怒っても世界は何も変わらないという諦観か。
自分の怒りによって他人を不快にする恐怖か。
まぁ今は理由はなんでもいい。

ぼくが彼らに対して抱いた感情は、「大丈夫かな？」だった。
大音量で、周りの人に注目してもらいたいのかな。そうして、自分の存在を確かめたいのかな。
マナーを逸脱することで、スリルと快感を味わっているのかな。内心はヒヤヒヤしながら。
なにか彼らが楽しいと思える、熱中できていることはあるんだろうか。
嫌味でもなんでもなく、本当に心配になってしまった。

電車内で大音量で動画を見ていたきみたちへ。
そんなことをしなくても、ありのままでいれば、きみたちを大事にしてくれる人はきっとどこかにいるはずだよ。
きみたちの時間を、どうか無駄にせず、自分のために、そしていずれ誰かのために、大切に使ってみるのはどうかな。

えらそうなこと言ってごめんね。

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【若菜色】わかないろ
初春の若菜のような明るい黄緑色。
きみたちもぼくも、若いよ～。

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