−深縹− かつて道だったところ
畳縁。
たたみべり。
かつて、ぼくと兄にとって、そこは道だった。
ぼくらは畳の部屋で、ミニカーを走り回らせるのが大好きだった。
ミニカーが通っていいのは、畳縁の上。
畳縁とミニカー1台の幅が、ちょうど同じくらいなのだ。
畳の道には、対面通行の区間と片側交互通行の区間が存在する。
6畳の部屋だと、畳はこんなふうに敷かれているから。
さらに、ぼくらの道には踏切も存在する。部屋と部屋を仕切る敷居。
敷居を横切るときは、しっかり一時停止。
思い起こせば、次々に蘇ってくる。