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電車の窓に映る自分が完全におっさんだった。
電車の窓に映る自分が完全におっさんだった。あまり完全なおっさんだったもので、二度見してしまった。そのあと愕然とした。正直、大きな声を出したかった。おっさんおるやん! おっさんやん! うわっ、うわわわっ、超おっさん! 真・おっさん! おっさんリアリズム。などと、車窓に映る自分を指さして一人で騒ぐおっさんを見たら、周りの人はどう思うのだろう。それは、こう思うのだろう。
「完全に、頭おかしいおっさんや
心の女優ライトを消したとき、真実の中年が佇む。
人間だれしも鏡を見るときにはなんらかのバイアスがかかっている。いくら「客観的に」眺めているつもりでも、自我や自意識のフィルターによってどこか「見たい自分」を鏡の向こうに投影してしまうものだ。
思い描く自己イメージと、客観的に見えている自分の様子とがなにやら大きく乖離しているということが、この年になってだんだんとわかってきた。知らない間に心の女優ライトの光量をマシマシにしていたのだろう。突然にそれ