移籍か残留か。スイスで初オファー
2019年も12分の1が終わり、2月に入りました。皆様いかがお過ごしでしょうか? 寒い冬も暖かい春を目指して乗り越えていきましょう!!
さて、1月末にいつもお世話になっているチューリヒ日本人会の新年会にて、簡単なスピーチをさせて頂きました。スイスに来てまだ間もない新参者で、まだまだ尻の青い僕をサポートして頂き本当に有難いです。
皆様にサプライズを届けられるよう頑張ります💪
と意気込んでいたのですが、このスピーチの次の日に、歯の根っこの切断の手術をしました。
全身麻酔をして、歯茎を切断して、歯の根っこを取り除き、新しい根を入れるという治療でした。
治療後は僕の頬は膨れ上がり、痛みも強く、ご飯もスープやスムージーだけ食べてもいいという状況でした。
無論、歯医者さんからはスポーツは1週間厳禁。絶対安静でした。
チームも始動し始め、昇格という目標に向けて、新加入の選手と共に練習と試合をしている期間に、自分は家で安静にしなければならない状況に申し訳なさを感じてきました。
そんなある日、Facebookで僕の知らない人から、メッセージが。
それは、格上のチームの監督からの「お誘いメール」でした。
「このタイミングでかぁ」
と思いました。正直言うと、このオファーは結構嬉しかったです。自分が知らないところで、僕のことを見てくれている人がいるんだなと。
しかし、ここで移籍をするかどうかはかなり迷いました。
この1月の終わりの時期に移籍をするということは、昇格を目指しているチームにとって、かなりの迷惑をかけます。僕が抜けた場合、もちろん僕がいなくなった穴を埋めなければなりません。その為に新しい選手を探すというのが移籍の流れですが、この時期に探し始めて新しい選手を獲得するというのは、本当に困難です。僕はドイツでプレーしていた時にこの事を学びました。
それゆえ僕の心の中は、残留の決断に80%、移籍に20%ぐらいの比率でした。
「このオファーは僕にとって、又とないチャンスかもしれない。」
という迷いもありました。家で安静にしなければならない上に、急なオファーに今の自分では冷静に判断が出来ないと思い、プライベートでも仲が良い選手に相談をすると、
「そっか…今のチームは素晴らしくて、一緒に昇格をしたかったから残念だけど、お前が上のカテゴリーでプレーしたい気持ちも理解できる。どちらにせよ、お前の決断を尊重する」
と言われたのですが、声のトーンは明らかに残念なトーン。彼は仲間思いで、途轍もなく優しい男なので、引き止めなかったのだろうと察しました。
そして、僕のチームの監督にも連絡する事に決めました。僕がどちらに決断するにせよ、決断してから監督と話すことは不公平だと思ったからです。
そして、監督にメッセージを書きました。
「〇〇チームからオファーをもらった。明日、直接話しがしたい。」
すると、秒速で電話がかかってきました。監督は、スイスドイツ語訛りのドイツ語で話すので、電話は嫌だなぁと思いつつ、電話に出ると
「ダメだ!この移籍は俺は認めない」
と言い放ってからは、感情が高ぶってるせいか、スイスドイツ語で話してきました。でも、その中で僕が間違いなく聞き取れた言葉がありました。
「お前がいなくなったらこのチームは崩壊する。だから、このチームで一緒に昇格しよう。」
その言葉を聞いて、僕は残留しようと即決しました。
これまで昇格を目指して、汗水流して頑張ってきた仲間達の頑張りを僕一人で壊してはいけないという責任感と
「ここまで、一緒に昇格を目指して戦ってきた仲間と昇格したい!」
という強い気持ちが決め手になりました。
もしかしたら、僕はまだまだ甘い考え方なのかもしれません。
「他人は関係ない。自分が大事だ」
という考え方もあると思います。
でも、僕はこれまで沢山の人に助けられてきて、今ここまで来れた人間だからこそ、人を大切にしたいとも思っています。
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