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【 JC論考 】 型があるから型破り | JCは「型」を学び、身につける場

JCは「型」を学び、身につける場

茶道に、型を身につけ、発展させ、新しいものを生み出す、「守破離」という教えがあります。
これは、次の千利休の和歌から引用されたものとされています。

規矩(きく)作法 り尽くして るとも るるとても 本を忘るな

利休道歌

この和歌は、「教えを守り続けながらも、いつしか離れていく事も大切であるが、そこにある基本精神は忘れてはならない」との意で、ここから次の座右の銘も生まれています。

型があるから型破り、型が無ければ形無し

禅宗僧侶・教育者 無着成恭
歌舞伎役者 十八代目中村勘三郎

このように新しい価値を生み出していくためには、その根本の精神、本質を見失わず、まず型を身に着ける必要があります。

私は、JCは「型」を学び、身につける場だと考えています。
1910年米・セントルイスのダンスクラブに端を発したJCには、長年培われた知識や経験、ノウハウがあり、絶えず提供される発展・成長の機会を通して、会議の仕組みや持続可能な解決のための思考のあり方など様々な型に触れることができます。

どんな型を学べる?

例えば、JCI猪苗代の事業計画書は、概ね次のような構造になっています。

① 事業実施に至る背景
② 事業の対象者
③ 事業目的
④ 実施日時
⑤ 実施場所
⑥ 参加員数計画/広報戦略
⑦ 予算
⑧ 連携するパートナー
⑨ 実施組織
⑩ 事業内容(目的達成のための手法)
⑪ 工夫と期待される効果
⑫ 目的達成の検証
⑬ 前年度(前回)からの引継ぎ事項
⑭ 協議の前回までの流れ(意見と対応)
⑮ 審議対象資料
⑯ 参考資料

事業に必要な要素が項目ごとに網羅されています。
事業実施にあたっては、少なくとも事業実施の3ヶ月以上前から着手し、事業計画書を理事会に上程、協議します。
理事会への上程にあたっては、事前に五役会(理事長/直前理事長/監事/副理事長/専務理事)にて、背景・目的・事業の整合性や予算、リスクなどについて協議します。
例えば、4月19日に事業を実施する場合次のような工程になります。

① 1月下旬 五役会 協議 1
  意見を踏まえ事業計画書を修正、関連資料修正・作成
② 2月上旬 理事会 協議 1
  意見を踏まえ事業計画書を修正、関連資料修正・作成
③ 2月下旬 五役会 協議 2
  意見を踏まえ事業計画書を修正、関連資料修正・作成
④ 3月上旬 理事会 協議 2/審議
  周知・広報/関係者打ち合わせ/設営・運営準備
⑤ 4月19日 事業実施

めんどくさい。

仕事でこんな進め方をすることはほとんどないと思います。
時間もかかります。
ざっくり考えて、当日不測の事態に対応しながら、トライアンドエラーで行うことが多いのではないでしょうか。
実際、私も仕事では会社員時代も含めてここまで計画して行うことはなく、「ざっくり計画のトライアンドエラー」が中心です。

じゃあ、ムダなの?
かといえばそうではないと思います。
この工程を通して「事業実施の型」「コンセンサス形成の型」を学ぶことができます。
型が身につけば、仕事ではTPOに合わせて要点を押さえてスピーディーに行うこともできますし、不測の事態が減り「ざっくり計画のトライアンドエラー」の質を向上させることができます。

型を学び身につける以外にも、自分の考えを言語化する力や、文章力を高めることもできます。
実際に事業計画書を作成してみると、背景や目的で迷子になったり、必要以上に長くなったり、自分が考えていることを他者が分かるように言語化し、文章に落とし込むということが思っているよりも難しいことだと実感します。

何かコトを行うとき、個性や独創性を求めがちですが、基本の型を会得しないまま求めてしまっては「形無し」になってしまいます。

JCは「型」を学び、身につける場。

そんな意識で向き合ってみてはいかがでしょうか。

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宮澤重嗣/MIYAZAWA Shigetsugu
會津藩祖保科正之公を始め、歴代會津藩主を祀る「土津神社」禰宜。「幸福感受性の回復」という使命のもと、健やかな人間形成に資する會津武士道の矜持である「義」の心の発信に努めている。

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