誰が青山敏弘になるのか

東京五輪を目指すU-22代表が国内で初めて親善試合を行った。U-22コロンビア代表相手に0-2の完敗。
金メダルを公言しているにしては、物足りないどころの話ではなかった。

特に3-4-2-1システム。久保建英、堂安律というA代表にも定着している2人が加わったことで、より大きなケミストリーが期待されたが、先発した上田絢世を含めた前線3人が孤立した。堂安も「うまくいきそうな雰囲気がなかった」と前半45分間が低調に終わったことを認めていた。

なぜ、機能しなかったのか。
久保と堂安が合流して間がないことも一因。
国内初試合で大きな重圧が掛かっていたことも一因だろう。
でも、チーム全体が「3バックシステム」にこだわり過ぎていたことが最大の要因ではないだろうか。

その意味では堂安の〝振り返り〟は分かりやすかった。

「森保さんが広島で監督をやっていた時のイメージはボランチの1人が降りて、4-1-4―1でポゼッションしてくるイメージだった。でも、今日の試合ではなかった。ボランチ(田中駿太、中山雄太)もシャドー(堂安、久保)も2人が中に残っていた。どうしてもセンターバックが持ったときにボランチと僕のポジションがかぶっていてパスコースがなかった」

堂安の言う広島のボランチとは、恐らく彼がイメージしているのは青山敏弘であろう。

青山が最終ラインに下がることで、4バックのような形になり、その分、ウイングバックがより高いポジションを取る。アンカーのような役割に変わる1ボランチの脇にはスペースができる。そのスペースで2シャドーがボールを受ければ、ポジションを上げたウイングバックが使えるし、そのままターンして縦への速い攻撃もできる。

だが、この日のU-22代表は全員が最初のポジションから動かなかった。久保と堂安がボールを持っても、ウイングバックのポジションは低く、ボランチがサポートにくるわけでもなかった。結果、2人が必要以上にボールを持つ時間が長くなり、コロンビアにつぶされてしまっていた。

森保監督は就任当初、オーバーエイジ(OA)枠として青山を想定していたとも聞く。
その理由が良く分かる。
青山だったら全体のポジションを動かすことができる。同時に鋭い縦パスも入れられる。何よりも森保監督のサッカーを熟知している。
3バックシステムを機能的に動かす上で、キーになるのはボランチである。
今現在、青山に近いイメージを持っている柴崎岳がOA候補になるのも当然である。

ただ、その前に個人的に試して欲しい選手がいる。
コロンビア戦で、少しの時間だけでも見てみたかった選手でもある。

高宇洋、である。

彼はG大阪時代には守備職人。今野泰幸が目標だと口にしていた。だがJ2山口に期限付き移籍した後は縦パスを入れる意識、全体を見渡したポジショニングの意識、そして3列目から機を見て攻撃参加する意識を高めている。
地味ながら効いているプレーを見せている。

僕がG大阪担当で〝ひいき目〟も入っているかもしれない。
でも、今の彼は確実にG大阪に所属していた時よりもプレーの幅は拡がっている。

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