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山形鉄道・米坂線今泉駅「山形屋旅館」

今泉駅は山形県長井市の南端に位置し、JR米坂線と山形鉄道(旧国鉄・JR長井線)が合流するターミナル駅である。紀行作家の宮脇俊三氏が終戦の日に当駅前で玉音放送を聴いたと氏の著書『時刻表昭和史』に当時の状況に綴られている。現在の今泉駅は転車台があるなどかつては鉄道の要衝として栄えていた名残が僅かに見られるが、現在は列車が発着する時間でも駅や駅前を往く人の数は疎らな上、駅前には2軒の旅館があるのみで商店や食堂までは遠く乗換駅にしては少々寂しい雰囲気だった。今回は2軒ある旅館の一つ、山形屋旅館に訪問した。

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山形屋旅館は大正3年に今泉駅が開業した同年に創業した。創業時は旅館よりは材木業の方が本業で、大正時代頃の写真を見ると大勢の職人が旅館の前に写っていた。女将曰く「うちの建物はもともと旅館の造りをしていない」という。戸を開けてまず目に入ってくるのは梁に頭がぶつかりそうになるくらい低い天井の玄関。逆にその先にある廊下は2階まで吹き抜けになった高い天井とその落差に驚いた。この創業時から建っている母屋はもともと材木屋時代に住み込みで働いていた職人の下宿だったそうだ。現在1階はオーナーの住居で2階は2部屋の客室がある。どちらも床の間付きの和室で1部屋は一度に10人近く泊まれる程の大部屋だが今はあまり使われていないのか物置のような状態になっていた。

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現在主に使っているのは奥側にある新館の方である。こちらは材木業をやめた後に増築したといい、1階2階それぞれ2部屋ある。今回通された部屋は旧館の方よりシンプルな造りであるが、部屋に鍵がないなどいかにも昔の商人宿といった造りであった。更に冬場で寒いということで電気毛布まで用意してくれた。wifiも繋がっていたので仕事で長期滞在する際でも便利かも知れない。夕飯は山形名物の芋煮を始め結構な量の食事がでてきた。昼に駅弁やらラーメンやら食べてそれほど空腹という感じではなかったが、食事の美味しさで残らず食べきることができた。 (2022,1,22宿泊)

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