総武本線八日市場駅 「桐屋旅館」

画像1

東京駅から特急しおさい号に乗車して1時間半程のところに八日市場という駅がある。以前は八日市場市だったが、現在は合併により匝瑳市(そうさし)となっている。匝瑳という難読漢字のお蔭(?)なのか千葉県外の人にも割と知られている地名であると思う。駅から国道を渡り旧道沿いを歩いていくと「きりや旅館」という看板が付いた古い家屋が建っている。ここが目的の旅館なのだが古い建物をもつだけあり、創業は300年以上前という江戸時代から続く旅館であるとおかみさんは語った。実際に市内の図書館で最も古い昭和8年頃の地図を閲覧したところ「旅館桐屋」を確認することができた。

画像2

画像3

館内は表に建つ大正時代築の本館と昭和50年代頃築の新館、奥には庭園もあり通りから見るより敷地は広い。本館にはオーナーの住居と食堂があり、かつては2階にも客間があったが現在は震災の影響で使用しておらず立入もできなかった。食堂は40年ほど前までレストランを経営していたということで壁掛けの照明などに当時の名残が見られる。

画像8

画像4

客室は現在全て新館の方にあり、5部屋程あるのが確認できた。今回通された部屋は6畳の和室で温泉旅館によくある広縁(いわゆる窓際スペース)があった。広縁付きの駅前旅館はなかなか珍しいと思う。窓からは庭園が望め、投宿後は歩き疲れたこともあり1時間くらい広縁の椅子に腰かけながらボーっと庭園を眺めていた。


画像5

画像6

広縁で虚無になっていた後、食事前に風呂に入ることにした。浴室は別棟にある。扉を開けたらローマ風呂を彷彿とさせるようなタイル張りの洒落た浴室だったことに驚いた。更に風呂は人工温泉だったため長く入らなくても体の中がじんわりと温まり風呂上りでもなかなか汗は引かなかった。観光ホテルでもないのにこういう洒落た造りの風呂など初めてのことだった。

画像7

翌朝、旅館周辺を散策してみる。前に挙げた昭和8年の地図には旅館前の通りは商店で埋め尽くされていたが、現在は廃業している店舗が目立つ。宿のおかみさんも買い物は成田まで行くことが多いとのことだった。しかし、登録有形文化財に指定されている店舗が3軒も営業しており、その他にも立派な看板建築が結構残っている見どころの多い街だった。 (2021,10,23 宿泊)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?