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【活動報告】オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)との意見交換

2023年6月8日(木)に開催された人権外交を超党派で考える議員連盟(人権外交議連)総会において、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)所長のJustin Bassi氏と意見交換を行いました。
国際人道プラットフォーム(IHP)はこの総会について、対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)とASPIとのコーディネーターとしてサポートしました。

Justin Bassi氏からは「インド太平洋地域における安全保障問題、地政学、および技術的変化の波を乗り切る」のタイトルで講演をいただきました。
講演全文の日本語訳はこちらです。

講演のあと、人権外交議連の会員との質疑応答の時間がありました。
会員議員からJustin Bassi氏に対しては、以下のような意見や質問がありました(一部のみ掲載しています。)。

  • 桜井周議員(立憲民主党)からは、中国共産党による国外拠点の設置と国外の中国人に対する監視を問題視する質問があり、中国共産党による、海外在住中国人に対する物理的・オンライン上の監視が問題視されていること、民主主義国にいる中国人の表現の自由を守る必要性について確認されました。

  • 桜井議員のマグニツキ―法についての質問に対して、Bassi氏は、外務省時代にマグニツキ―法の制定に関わった経験から、オーストラリアでも多く議論はあったものの、マグニツキー法の制定により、人権保障への信頼を示すことができたとしています。この制定により、他国を威嚇することに対する懸念については、法の適用について選択肢を持つことを意味し、実際に適用するにあたっては、外交、防衛、人権保障のチェック&バランスが重要で、濫用してはならないこと、構造的、深刻な人権侵害だけに対して適用させるべきことが確認されました。また、マグニツキー法の制定によりオーストラリアは人権侵害に対処する選択肢を得たことになり、ニュージーランドも今後制定予定だが、G7の中でも日本だけがマグニツキー法をもっていないことが強調されました。

  • 玉木雄一郎議員(国民民主党)からは、重要な技術分野で中国が先行していることに対して、がAUKUS(注:オーストラリア、英国、米国の3か国による対中国軍事パートナーシップ)を基軸にしたテクノロジーアライアンスなどにより、各国が協力して中国に技術面で対抗していくことの問題提起がなされ、その重要性について確認されました。

  • 英利アルフィア議員(自由民主党)からは、国連職員として中国の人権侵害の問題について長く取り組んできた経験から、どの分野で日本はリーダーシップを取ることができるかについて質問があり、ASPI側から、経済安全保障の分野や、TPPについて、日本とオーストラリアがリーダーシップをとり、中国が国際ルールを守った上でTPPに参加させることの重要性について述べられました。また、スポーツの分野で、中国への売上に配慮して、企業が人権問題への取組みを避けているという「スポーツウォッシング」の問題への言及もありました。

IHPは、今後も人権外交議連のサポート等を通じて、マグニツキー法や人権デュー・デリジェンスの法制化への活動、国際人道に関わる活動を続けていきます。

本件に関するご質問や、IHPの活動にご関心をお持ちの方はお問合せフォームからご連絡ください。

文責:野瀬健悟(IHP事務局長・弁護士)


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