井原、社長を辞めて転職するってよ

お世話になります、株式会社ビットジャーニー前代表取締役の井原と申します。このたび、2024年4月1日をもちまして株式会社ビットジャーニーの代表取締役を退任しました。会社は4月末で退社します。仕事や個人的にお世話になった方々にお礼を申し上げたく、実際にお会いできる方につきましてはお時間をいただければ4月中にお礼に伺いたいと思っています。実際にお会いできない方々には直接お礼を申し上げたりご説明することができないため、こちらに記事として経緯や今後について残すことにしました。自分のことを知っていただいている方々への内輪の話ですので、口調がゆるいですがお許しください。

2014年11月14日に株式会社ビットジャーニーを立ち上げ、皆様に支えていただき約9年半ほど運営を行ってきましたが、今回会社を辞めて転職しようと思った理由が3つあります。

1つ目。約9年半社長をやってきましたが、自社のサービス「Kibela」をこれ以上自分では大きく成長させられないんじゃないかと思うようになりました。サービスをある程度つくることはできても、それをもっと大きくすることは自分の能力や努力ではできないなと。であれば、それができそうな方に変わっていただくのが良いのではと漠然と思っていたところ、会社やサービスに興味を持ってくださる方が現れました。ずっと知っている方で自分はとても信頼していますので、Kibelaや会社の運営をお願いすることにしました。
また、前職のクックパッド株式会社で主にエンジニアを中心とした開発組織づくりを行っていたのですが、その経験からも、社長をやっているよりもある程度人数がいる組織に入って組織づくりをする方が自分としては価値を出せるんじゃないかと改めて思いました。今年で50歳になりますが、あと2回くらいイケてる組織づくりに挑戦できたら良いなと。それって自社でやればええやん、という話なのですが、なかなか自社でやるのが難しいんですよね... 技術顧問みたいに色んな会社に第三者的に関わらせていただくと率直に意見することはできるのですが、 気を遣っちゃうんだと思います。

2つ目。今後の話に関係するのですが、昨年の秋頃に東京都副知事でGovTech東京 (@govtechtokyo)という組織の理事長をされている宮坂さん (@miyasaka) とお会いする機会があり、「GovTech東京という東京都やその区市町村のDXを推進する組織が立ちあがったので行政に1ミリでも興味があったら今後の選択肢の一つとして考えてみてね」という話が出ました。自分が宮坂さんには過去に仕事で大変お世話になりましたので、いつか何かしらで恩返しができたら良いなという思いがずっと自分の中にはありました。行政や政治に1ミリ以上興味はありましたが、その時点では自社をどうするかも決めていなかったので、引き続きKeep in Touchでお願いします、ということで話は終わりましたが、GovTech東京という組織の存在を知ることができました。

3つ目。きっかけとしてはこれが一番大きいのですが、妻の実家が石川県の能登地方にありまして、お正月を久しぶりにそこで過ごそうということで2023年12月31日に帰省しました。2024年1月2日に東京に帰って来るつもりでしたが、1月1日の16時10分に震度6強の地震に遭いました。耐震なんて何も考えられていない古い家にいたのですが、倒れずに頑張ってくれて、ぐっちゃぐちゃになった家の中から何とか外に出ることができました。幸いにも避難所が家から歩いて数分のところにあり、1月1日から1月4日までの数日間ですが、そこで寝泊まりをしました。元々山から水を引いていて水道はそもそもなかったのですが、その引いてくる水も止まるし電気や通信はないし、なかなか大変な状況でした。この辺りは話せばネタは尽きませんが、自分たちはとても恵まれた避難生活でしたし、もっとひどい被災をされた方がたくさんいらっしゃって今も頑張られていると思うと涙が出ます。
現地にいてもなかなか情報にはアクセスできず(電池で動く携帯ラジオ大事ですよ~)、前に進むも後ろに戻るも判断材料をほぼ得られない中、1月4日に無事に東京に帰って来たのですが、一次情報を得ようと思って役場のページを見にいってもサーバーが落ちているわけです。まずはそれどころじゃない、というのは自分も現地にいて本当に感じましたし、もっと大事なことがたくさんあるのはわかります。しかし、なんじゃそらと。通信やインターネットって水や電気といった他のインフラよりも優先度は下がるかもしれませんが、しかし諸々が徐々にでも復旧していく中で、一次情報を得られることってめっちゃ大事で、今さらですが改めてインターネットや通信だって必須なインフラじゃんと強く思いました。行政って各所で本当に頑張って運営されていると思っていますが、自分が比較的得意とするデジタルの分野で、何かしら役に立てることがあるんじゃないかと感じました。

これまで、ヤフーみたいな大企業で開発部長をやらせてもらったりクックパッドみたいなベンチャーで組織づくりをやらせてもらったり自社の代表取締役をやったり色んな会社の技術顧問をやらせてもらったりしてきました。じゃあ次にまた民間企業に入って今までやってきたような同じようなことをするよりも、やったことがないことをやったろうじゃん、と。

というわけで、長々と書いてきましたが、色んなタイミングが合い(自分の人生はずっと周りの方々とタイミングに恵まれていました、大感謝です)、今年に入り自らGovTech東京の選考に臨み、何度かの面接を経て(採用する側の面接はずっとやってきましたが採用される側は15年ぶりぐらいでした、探して見つかったのは2009年の職務経歴書!)、2024年3月29日付けでGovTech東京の理事を拝命いたしました。5月1日からCIO業務執行理事として業務を開始する予定です。

意気込みとしては、「行政の技術なんかダセえと思っていたけどめっちゃイケてるじゃん」と言ってもらえるような、技術でも働く環境でも民間企業に負けないレベルの組織をつくりたいと思っています。自分がいるところがダセえと思われたくないですし。

そして、東京都の区市町村、ひいては日本全国の区市町村まで、めっちゃ高いレベルの技術で高いレベルのサービスがすべての方々に提供されるように尽力したいです。どうせ使いにくいんだろ?と思っているかもしれないけど、めちゃめちゃ使いやすくて便利じゃんこれ、と思ってもらえるようなものをつくっていきたいです。

今まで大変多くの方に支えていただいて生きてこられました、本当にありがとうございます。あの震災の日にたまたま生かしてもらったようなこの命を燃やして、まずは東京都の行政のデジタル化、それを支える強い組織づくりに取り組んでいきたいと思っています。至らぬ点がたくさんあると思いますが、ご意見やご指導をいただければ幸いです。

皆様今後ともよろしくお願いします、 頑張ります!そして株式会社ビットジャーニーとKibelaも引き続きよろしくお願いします!!!

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