お金関係の書籍 その参④

第6章 痛みを避ける

本章では、現代を取り巻くキャッシュレス決済の風潮により、私達は都度、現金で支払うという旧来からのスタイルに大きな変化を迎えている。
出費には、痛みやネガティブな感情を想起させる場合がある。
新婚旅行の最終日のチェックアウトに、1週間分の諸費用を請求される。レストランに招待した旧友との食事の間、メニュー以外の追加のサービスに清算を求められる。
この支払いというプロセスが発生するおかげで、それまでの心地の良い気分が一転、現実へと連れ戻されることになる。
この痛みを和らげるとともに、出費と消費との間にタイムラグをもたせ、これまでに何度も登場してきた機会費用を麻痺させるものが、クレカであり、プリペイドであり、電子マネーであり、事前に支払いを済ませるクレジット契約である。
消費をする時には、手持ちのお金を浪費させることがないので、先々の生計を見据えながらのシビアな清算から解放される。
そうやって私達は、痛みから目を背け、企業が仕掛ける、より安易で簡便な罠に自ら進んで掛かりにいっているとの読後感を持ちます。


無料より安いものもある お金の行動経済学/
ダン・アリエリー&ジェフ・クライスラー 櫻井祐子訳

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