ゲームの話

拙は幼少からゲームには割と親しみがあり育ってきたでゲス。

昨年「ゲームを作ってみないか?」の触れ込みで我が家にRPGツクール3が届いた。届いたもなにも、5つほど歳の離れた弟が「ギリ人間を維持した輩に知育玩具を与えたらどうなるか」という実験のため送られてきた挑戦状だ。

山岡士郎の模倣であり、背骨で物事を判断してしまう自分は「やったろうじゃん!」「これは良いオモチャを手に入れた」とやけにホクホク顔であった。

やったことのある人間なら分かると思うが、このゲームは自分で好きなゲームが作れますよーと誘い込んではターゲットを灼熱の砂中へ引きずり込んでしまうある種のアリジゴクゲーである。

ゲームをプレイする前に説明書、インターネッツで紹介されている動画を見て大まかな物語の構想を考えたが、このゲームとにかくやることが多い。キャラの話す文章を入力するだけでも大変骨が折れるし、街を興すなどもっての他である。

ふむふむと説明書を読みながら、約8時間かけて完成した街は、唯一の文明が火のみの超限界集落であった。8時間かけてこれでは・・・と泣けてきたが、このまま匙を投げてもヒトへの跳躍が困難になってしまうし、持ち前のおおらかさで「何じゃこのクソゲーム!腹立つんじゃ!」から「アクエリアスに緑茶を割った飲み物をのみ落ち着こう」状態へと持っていくことに成功した。

アク茶で無の心を習得した私は「やりながらうまくなるっしょ」くらいの気構えで臨むことにした。アリジゴクゲーにはとにかく妥協が大切なのである。

妥協を習得した私は、取り組む前に気込んでB3もあろうどこで手に入れたか失念するほどの大きい模造紙に登場人物・街・ダンジョン・糸原健斗の応援歌などを記入した。糸原健斗の応援歌はどこかで登場させてやろうと思っているのだが、糸原健斗の応援歌は想像していたよりも長い。

序盤のモンスターも楽しく制作し、只々苦行である街興し・ダンジョンなどはプレイの一番最後に作ると決めた。苦行の街興しで離脱したくないねん。

しかし、飽きてしまった。

序盤の街興しでヒーヒー言っていた自分は、一時の気の迷いから「極上めちゃモテ委員長」という女子高生が恋の悩みを解決するアニメに傾倒し、ゲームの存在はすっかり忘れてしまった。

良くも悪くも実家暮らしのため、弟からは毎日顔を会わせるたびアリジゴクの催促をされるが、私は持ち前のおおらかさで「うるせぇ!ムカつくんじゃ!」から「何の話?」状態まで精神を持っていくことに成功した。

のほほんと叔父家の日雇いに精を出しては、夜はウイスキーメロンで全てを忘れる生活に「是か?」と疑問を持ち始めた。

そんなことでやっと今月からウイスキーメロンをアリジゴクに変え、せこせこと街興しにいそしんでいる。1年も離れていたら、文明の興し方だって忘れてしまうし糸原健斗の応援歌だって忘れてしまった。

昨年誓った、まぁやりながらうまくなるっしょ節で過去に興した街を佐野研二郎のように模倣してはカット&ペーストで入れ替え、愛着の全くない街が完成した。

街も興してくると、ヒトはどうやらテストプレーをやりたくなるらしい。テストプレーとは作ったイベントに不備がないか確認するため行う作業であり、ほぼ本番さながらのプレイができる。

昔作ったシナリオに「ガハハ」と和田勉も尻尾を巻くほど笑ったあと、テストプレーもそこそこの終盤、イベントで場所を移動させたあとどうしても画面が真っ暗になるバグが発生し機械を責めた。結局自分の夢は叶わないんだ、と武藤遊戯の1巻が顔を覗かせたが、薄いアク茶で気を落ち着かせたあと「そういや画面を真っ暗にする状態から戻してねえ」と白痴が疑われるくらいの切り返しで無事事なきを得た。何かすいません。

機械には菓子折りで詫びることとし、あとは街を4つとダンジョンを2つ興したら完成だ!

こんなに作れるかバカ!

頑張って作ります。

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