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古都から古都、そして銀河 <1>

2022年6月16日(木)
わたくしは奈良を飛び出して京都へと向かった。
元々人が多い場所に行くのが苦手だったわたくしにとって、コロナ禍になって以降、県境を越えて京都へ行くなんて考えただけでも恐ろしい行為であった。

そんなメンタリティのわたくしが、それを乗り越えてでも絶対に京都へと行かなくてはいけない理由が生まれてしまったのである。柴田聡子だ。
柴田聡子inFIREのライブが6月16日に京都磔磔で行われるのだ。

大好きな柴田聡子、その中でも「inFIRE」と呼ばれるバンド形式時のライブは何が何でも絶対に見に行くと心の中の石版に彫ってある。チケットは即購入し、このライブツアーが発表された日から今日までずっとドキドキしていた。あぁ早くライブを見たい。でも人混みに行くのが憂鬱。あぁでもライブは見たい。でも憂鬱。最大に楽しみにしているのに一方で早く終わってほしいというとても複雑な心境のまま当日を迎えたのだ。

近鉄特急に乗り、かつての都があった平城宮跡を横切り、水をたたえた6月の美しい田園風景を見ながら思い出したのだが、そういえば前回京都に行ったのも柴田聡子inFIREの「晩秋」ライブの時だったな… あれは2019年の11月だった。柴田聡子で締めた京都を柴田聡子で解禁する。運命のようなものを感じたような気がしない事もない事もなかった。

ライブ開演予定は18:30。少し時間に余裕を持たせて17時に京都駅に着く。余談だが、近鉄京都駅の改札を出てすぐの柱にある鹿の写真はわたくしの写真なのです。小さな小さな自慢。

ライブ開演まで少し時間があるので、せっかくだしと思い京都駅からライブ会場の磔磔まで歩いて行くことにした。
京都駅から北東の方向に磔磔はあるが、少し西側に遠回りして西本願寺伝導院へ。

どうだろうこの佇まい。西洋的でありインド的であり日本的である不思議な建物。仏書店越しの存在感。最高と言うほかない。わたくしは建築の知識も仏教の知識も何も無いが、来てよかった。

伝導院を後にして、再び歩きだす。iPhoneで地図を確認すると、どうも今歩いている場所が油小路通りという所らしい。油小路…新選組が何かしたところで有名なあの油小路か!とすぐ連想するも、歴史にも全く詳しくないので具体的に何をした場所かが思い出せず、ただ「新選組が何かした場所」という事だけで密かに興奮していた。教養が乏しい…。

等と言っているうちに、いよいよついに目的地のライブハウス磔磔に着いた。18:10分ぐらいであっただろうか。丁度いい時間だ。既に番号順の入場が始まっている。わたくしのチケットの整理番号は既に呼ばれていたのでそのまま入場。まずはチケットの半券を自分でもいで係員に渡して手を消毒。なるほど、これがコロナ禍の新ルールなのか。
中に入ると床一面に✗のマークが印されてあった。この✗印の上に客1人が立ち、ライブ中はそこから動かないでください とのアナウンスがあった。なるほど、これもコロナ禍の新ルール。
しかしその✗印は自分的には意外と間隔が狭く、やがて場内が客でいっぱいになる頃には、コロナ前のライブとそこまで言うほど変わらない距離感で人が埋まってるな…という感じになり、不安な気持ちが高まった。

ライブが始まるまでの待ち時間は、ただただボーっとしてるだけの超暇地獄時間なので、その間にいろいろと考えてしまう。
入り口でドリンク代を払って飲み物を貰うシステムはコロナ前と同じだが、今は当然ながらマスク着用が義務付けられているわけで、でも手元にドリンクがあれば、そりゃマスク外して飲み始めてしまうわけです。飲んですぐにマスクを戻してくれれば問題は無いが、人間だもの、定期的にチビチビ飲むスタイルの人はマスク外しっぱなしになってしまう。そういう人が自分の観測範囲からちらほら目に入り、これでまた不安な気持ちが高まってしまった。あぁやっぱり人が集まるとろくな事が無いな。そりゃまぁロボットみたいに統制はできないけど、でもなぁ…などと思っていると、ついにいよいよライブが始まったのだ。しかしなんとここでお時間がいっぱい、次回以降もうちっと続くんじゃよ。

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