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【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第9回「受けるか受けないかの判断」

こんにちは。

IGOcompany【U】です。

財団法人日本棋院での15年間の勤務を経て、囲碁をビジネスに起業。

もうすぐ10周年になる「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、

「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などで囲碁を教えて、ご飯を食べてます。

本日のnoteは、

棋譜解説シリーズの第9回、

【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第9回「受けるか受けないかの判断」

です。

前回の【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!は、

こちら。

※必ず前回のnoteを載せていますので、興味があったら遡ってみて下さい。

解説の前に、

(すみませんが)、

ちょっと僕の本の宣伝をば。

できるだけ優しい内容の本を目指して、級位者から有段者までの囲碁に必要な知識を詰め込んでいます。

Amazonで発売中ですので、

良かったらサンプルだけでも眺めてみて下さい。

ずっと言っていますが、

囲碁の棋力向上の為には、沢山の知識が必要です。

囲碁は、これだけを覚えれば大丈夫!ってことが(ナカナカ)ないんですね。

応用の連続と言いますか、難しい言葉で表現すると「棋理(囲碁の理屈)」の理解が重要です。

色々な局面に対応するために、それぞれの知識が必要になるので、たくさんの棋譜解説を読んで、囲碁の知識の引き出しを増やしていかないといけません。

身も蓋もない言い方をすれば、兎に角、数をこなさないことには強くならないんですよね(笑。

だからこそ、少しでも皆様の棋力向上に役立つようにnoteで、100回を目指して、棋譜解説を続けていくつもりです。

週に1回、定期的に発信していけば、年間50局分以上の「新しい知識」に触れることが出来るので、皆様の棋力向上に役に立つこと間違いなしです。

有料記事は、有料noteのマガジンにまとめておきますので、全部読みたい人は下をクリックしてみて下さい。

ありがたいことに最近沢山の方に購入して頂けています(本当に嬉しいです)。

購入してもらわなくても、スキのリアクションを頂けるだけでもモチベーションになりますので、そちらだけでも宜しくお願い致します!!

それでは、

【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第9回「受けるか受けないかの判断」

を始めます。

参考教材は、こちら。

今回の棋譜解説では、プロの棋譜を「参考にしました」。

名人戦リーグの一力先生と張栩先生の棋譜です。

普段の教室では、たまにタイトル戦を紹介したりもしますが、プロの棋譜を取り扱うことは結構珍しいです。

というのも、最近のプロの碁は「難しい」んですね。

碁がどんどん洗練されていって、スピード感が増していっているので、教室の生徒さんには、あまり参考にならないんじゃないかと思ったりもします。

昔の碁は、一ヶ所をしっかりと打って落ち着いてから次へ向かう、みたいなイメージなので、そっちの方が初段前後の生徒さんにはオススメの打ち方です。あっちもこっちも打つ碁は、なかなか捉えるのが大変ですからね。

とはいえ、難しいから説明しないというのも変な話なので、たまにはかみ砕いて級位者の方にもわかりやすいようにポイントをしぼって解説してみようと教材にしてみました。

【1手目~87手目まで】

良かったら、碁盤に石を並べながら解説を読んでみて下さい。

教材にしたトコロまで棋譜

何度も言いますが、

このシリーズの棋譜解説の中で、色々な事を書いていきますので、

ちょっとずつでも知識の引き出しを増やしていって下さい。

【1手目~10手目まで】

ここまでは、すごく落ち着いた序盤です。

ちょっと懐かしいような進行ですね。

黒7や白10など辺に展開するのも、最近では隅の価値を重要視するので、ちょっと珍しいかもしれません。

1に空き隅、2にシマリとカカリ、3に辺っていう基本通りの流れ

【黒11手目のカタツキ】

黒11のカタツキは、

AIの登場と共に頻繁に打たれるようになった一手です。

このカタツキに対して、どう打てう良いのか、迷う人も多いと思います。

黒11に対してどう打てば良いのか!?

【参考図①】

白1と三線を這っていくのは、

基本的には「白が悪い」進行です。

なので、カタツキに対しては三線を続けて打たないようにしましょう。

級位者の方は、上辺の白地が増えるので、喜んでハイを打っていく方もいると思いますが、白の上辺の地は2目ずつしか増えていないのです。

黒が中央に得た厚みの方が長い目でみれば「良い」と言われています。

置き碁の時などは地を取るのが有効の時もあるでしょう

では、

黒はカタツキに対して、どう打てば良いのでしょうか??

【参考図②】

オススメの形はこちらです。

部分的に、白1とオシを打ってからケイマのスベリで打っておけば、間違いはありません。

棋士の先生の教室を手伝っていた時に、アマチュアはこう打っておけば大丈夫、っておっしゃっていたので、とりあえずよっぽどの高段者にならない限りはこう打っておけば問題ありません。

僕もだいたいはこう打ちます

【参考図③】

先程の図は、白3のスベリがポイントです。

というのも、黒から4とオサエを打つことが出来れば、部分的に黒が満足まんぞくだからです。

後に黒AやBなどを打たれると、左上隅の白の強弱も気になります。

オサエを打てれば黒が良いでしょう

【実戦の進行 黒15手目まで】

先程から「部分的に」という言葉をよく使いましたが、最近はカタツキを打ってから「部分的に」しっかり打つよりも、先手を取ってさっさと別の場所へ先行する打ち方が良く登場します。

またカタツキに受けることを「キカサレ」と捉えて、受けないという選択肢も生まれています(連打されるとツライとは思うんですが)。

現代は碁はスピード感が増して、一ヶ所一ヶ所をしっかりと打つよりも、全局的に打とうとするような意図が多く見られます。

とはいえ、アマチュアは、まずはしっかりと打つ打ち方を覚えておいた方が良いですし、それで間違いはないと思います。

実戦は、下辺黒13のカタツキを打ってから黒15とトビで打ちました。

このようなトビを打たれた時の「部分的な」応手も紹介しておきましょう。

【参考図④】

黒1のトビには白2のワリコミが良く打たれます。

黒5のツギは重くなるときもありますが、こう打たれれば白6はスベリではなく「9の三」の二間ビラキまで進むことができます。

遅いかもしれませんが、こう打っておけば部分的には白十分です。

黒は白6を分断できません

【参考図⑤】

黒5のツギで、軽く打ちたければ黒5のケイマの発想があるでしょう。

また、僕だったらという話ですが、黒5を打たずに、先行してどこか別の好点へまわる手を考えると思います。

どう打っても一局なのかもしれませんが、基本があって応用があるように、まずは部分的にしっかりとした打ち方を覚えておいて下さい。

白4まででひと段落と考えて、黒5はどこかに先手でまわる場合もあるでしょう

【実戦 黒27手目まで この局面の今回のテーマ図】

さて、

何気ない局面ですが、

この黒27と打たれた局面が今日のテーマ図です。

【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!の第9回は「受けるか受けないかの判断」をテーマにしました。

皆さんは、

黒27と打たれた時にどのような手を打ってみたいでしょうか?

【参考図⑥】

黒27と打たれた、だいたいの人は白1と「受ける」のではないでしょうか?

僕も何も考えなければ白1などと打ったりしそうです。

しかし、白1と受け続けることによって黒の壁ができて、下辺の白が攻められてしまいそうです。

この進行は白が悪そうです。

黒6、黒8の攻め方は「適当」ですが、こうなると下辺の白石が攻められてしまうでしょう

【実戦 白28手目】

なので、

白は28と下辺の白を強くしようと打ちました。

黒27に対して、「受けずに」白28。

何気ない手かもしれませんが、これがプロの差し手争いです。

「応じてしまうと相手の思い通りになってしまう」んですね。

なので「受けない」という判断が囲碁では非常に重要になってくるのです。

ちょっと難しいかもしれませんが、

それを踏まえた上で、

この白28と打たれた局面で、

黒はどう打ってみたいでしょうか?

白28と打たれたら、黒はどう打ちたいですか?

【参考図⑦】

よっぽどの高段者じゃなければ黒1と右辺を受ける人がほとんどだと思います。

これも悪い手ではありません。

例えば、指導碁で生徒さんがこう打っても僕は何も指摘しないと思います。黒を連絡している立派な一手ですからね。

でも、プロの碁だとこの受けは、ややヌルイ。

黒1と受けて「悪い」と言われると碁って難しいなって思っちゃいますよね

【参考図⑥】の局面と比べてみて下さい。

白は白28と下辺の白を強くしてから、白2と打てているので、参考図⑥よりは「ちょっと嬉しい」局面になっていますよね。

では、この局面で、

黒はどう打つのが良かったのでしょうか?

答えは、

以下の有料部分で解説します。

※以下有料部分。

※ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!

【正解は…】

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