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武蔵野市の保健所のこと

武蔵野市には保健所がありません。

武蔵野市を管轄する保健所は「東京都立多摩府中保健所」が管轄しています。府中市にあります。東京都立として東京都が管轄しています。

この多摩府中保健所は、武蔵野市、三鷹市、狛江市、府中市、小金井市、調布市の6市を所管しており、都内でも最大級です。(なお、都外を見れば、横浜市の保健所など多摩府中保健所よりも、所管人口の多い所があります。)

保健所は地域保健法第5条で規定されています。同規定の「特別区」は23区のことなので、23区は一つづつあります。たとえば千代田区の人口は6万7千人ですが、区内に保健所が一つあります。

さらに同規定の「政令で定める市」は地域保健法施行令第1条で規程されています。多摩地域の町田市はここにあります。町田市の人口は約43万人です。ちなみに多摩地域にある八王子市は、中核市として保健所を設置しています。

各地の保健所が、こんなにも人口差があっていいのものなのか。特にこのコロナ禍、「自助」でなんとかするというのはコロナというウイルスを前にしたら無理です。こんなときこそ、「公助」たる行政の役割が重要です。

また、この人口規模があまりにも最大であることから、基礎自治体である武蔵野市にとっても不都合が生じているようです。

実際に、武蔵野市は令和2年9月4日に、武蔵野市内の感染者の確認ができないため、感染者の公表が行えないとして、「武蔵野市内における感染者発生時の公表の考え方」を発表しています。情報が入ってこない、どこで武蔵野市民が感染しているか把握できないといった事情が生じているようです。

「多摩府中保健所」はあまりにも巨大すぎるのではないか?

人口については、保健所が所管する規模として人口について触れている以下の指針が参考になります。

地域保健法第四条第一項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針によれば、「(3)保健所の設置及び運営を円滑に遂行できる人口規模を備えた市が保健サービスを一元的に実施することは望ましいことから、人口二十万以上の市は、保健所政令市への移行を検討すること。」とされています。

これを見ると、人口20万人が一つの指針のようにも見えます。

しかし、これは人口20万人の「市」についての規程であり、武蔵野「市」についてみれば、武蔵野市人口は14万8千人であり、20万人という規模を満たしていません。よって、同指針に基づく保健所政令市への移行も困難です。

そもそも、多摩府中保健所は「東京都」が管轄する保健所ですから、この指針の射程の外です。

そうするとやはり、現状は東京都が武蔵野市と三鷹市などと併せた東京都立保健所の支所や分室を置くという手段が現実的なのでしょうか?武蔵野市西久保三丁目にはかつての保健所が今も三鷹武蔵野地域保健センターとして残っており、なんとかこの建物をもう一度使用できないか。

やはり、23区には1つずつあるのに、多摩地域の「多摩府中保健所」は隣接6市かつ人口104万人を所管しています。まさに「多摩格差」そのもののように思えてなりません。

改善が必要ですが、法令上、どんな改善策があるかはこれからさらに検討をしていきたいと思います。

ところで、東京都は東京都議会で多摩地域の保健所の機能については、以下の通り答弁しています。(令和3年2月24日)

問:知事は、保健所の取り組みについて検証し、あり方を検討すると答弁していますが、急ぐ必要があります。どう取り組むのですか。

答弁:都の保健所のあり方についてでございますが、都は現在、多摩地域にある都の保健所の体制強化や負担軽減を図りながら、新型コロナウイルス感染症への対応に全力で取り組んでおります。
 来年度、調査費を予算案に計上しており、今後感染拡大から終息に至るまでの保健所の取り組みについて検証した上で、改めてそのあり方を検討していくこととしております。

多摩地域の保健所については既に予算計上済みの調査がなされた上で、検討されるとのこと。

どんな調査になるか、引き続き注目していきます。

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