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初めての2回の都議会臨時会を終えて

 私の初めての東京都議会議員の任期が令和3年7月23日から始まりました。

 早速、7月23日に令和3年第1回臨時会が開会しました。どうやら例年は都議選後の都議会は8月頃に開会されることが多いようですが、本年は任期開始の7月23日に開催される東京2020オリンピックに出席する議長を議会で選出するために1日だけ開催されたとのこと。また、同日には選挙期間中に無免許運転で交通事故を起こしていたことが当選後に発覚し7月6日に都民ファーストの会から除名処分が下された木下ふみこ都議に対して、木下都議だけが所属する「SDGs東京」会派だけを除き、全会派一致で辞職勧告決議が決議されました。
 第1回臨時会から自民や都民ファと対立がありました。我々立憲民主党や日本共産党などは、臨時会を1日間ではなく3日間に延長するよう求める動議を提出しましたが、自由民主党、公明党、都民ファーストの会の反対によって否決されました。

 我々が、会期延長を求めた理由は、令和3年6月7日に閉会した第2回定例会以降に、都知事が行った2件の専決処分について、会期を延長して都議会で報告と承認を求めるべきだという主張です。

 どういうことか。地方自治法179条1項には、「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」に、東京都知事はその議決すべき事件を処分することができると規定されています。

 議会の役割は、条例を設け又は改廃すること、予算を定めること、決算を認定することなどの事件を議決することですが(地方自治法96条)、専決処分は、緊急の場合に議会を通さないで都知事だけの権限で条例を制定したり予算を定めたりすることができるのです。

 7月23日の時点で、❶6月18日のまん延防止等重点措置の適用に伴う感染拡大防止協力金の支給などのため2,467億円の専決処分と、❷7月8日の緊急事態措置の適用に伴う感染拡大防止協力金の支給などで一般会計5,118億円の専決処分で、合計2件総額7,585億円の専決処分をしていましたが、まだ議会での報告等はなされていませんでした。

 地方自治法179条3項には「普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。」とあります。「次の会議」とは、まさに7月23日の臨時会なのですから、都知事はこの2件の専決処分についての報告と承認を、7月23日からの臨時会で求めるべきでした。しかし、都知事はこれを行わずに第1回臨時会を閉会したのです。
 多様な意見があり、何が正解かが分からない民主主義国家では、法律で定めた適正な手続きに従うことが内容の正当性を担保することを意味します。確かにコロナ感染爆発は非常事態ですが、緊急事態を言い訳に法律で定められた手続きを軽視することを許すべきではありません。手続きを軽視する権力者はいずれ必ずや暴走するものと思います。緊急事態を理由に私達の権利を施政者に自由に委ねることは、現政権がコロナ禍に乗じて憲法に緊急事態条項を書き込もうという議論に通じるものと危惧します。
 なお、この専決処分2件の報告と承認はその後の第2回臨時会(8/18~8/20)にて報告・承認されましたが、手続きの違法性を治癒できるものではないと考えます。

 今回の都議選では、立憲民主党の都議会議員は7名から15名に増えました。これによって大きく変わったことがあります。それは、立憲民主党は他の会派と協力すれば、地方自治法上の都知事に対する臨時会の招集要求ができるようになったことです(地方自治法101条3項)。

 地方地自法には、議員定数の4分の1以上すなわち都議会で言うと32人以上で臨時会の招集を要求できます。要求を受けたら都知事は20日以内に招集しなければなりません(地方自治法101条4項)。20日以内に都知事が招集せずこれを経過したとしても、議長は10日以内に招集しなければならない(地方自治法107条6項)。これは議員にとってとても大きな権限です。
 例えば、7月22日以前は、立憲は8人しかおらず、共産党の18人と協力しても26人しかならず、臨時会の招集が要求できませんでした。だから、上述の専決処分が乱発された経緯があるとも言えます。

 しかし、7月23日以降は、立憲は15名に倍増、共産党は1増やし19人に増えました。その意味で野党の数が増えたことはとても大きい。これを受けてか東京都知事は内々には「もう専決処分はしない」と言っているようです。予算の執行を議会で監視できる権限が使えることはとても大きい。少しずつ都議会にも緊張感が生まれたとも言えます。(ちなみに都議選の結果はこちら

 8月18日からは令和3年第2回臨時会が開催されました。ここでは上述の専決処分2件の報告・承認と約3278億円の補正予算2件が成立しました。この補正予算の中には話題の若者に接種を促すための広告費含む約10億円の予算も含まれ、立憲民主党、共産党など野党はこれを除く予算執行を求める修正動議を提出しましたが、自民党、公明党、都民ファーストの反対により否決されています。
 この臨時会では委員会も設置されました。私は財政委員会の委員になりました。さらに、ようやく都議会閉会中も開催できるオリンピック・パラリンピック特別委員会、新型コロナウイルス感染症対策特別委員会が設置されました。私はオリパラ特別委員会の委員にもなりました。立憲会派ではオリパラプロジェクトチームの事務局長を務めることにもなりました。社会の分断や医療崩壊を招いたオリパラについてもこれからも追及していきたいと思います。

 皆様から、この武蔵野市を代表して都議会へと送りだして頂きました。1つの議席の重みをしっかりと噛みしめて、都議会議員としての責任を果たしていきたいと思います。

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