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【ひとり論文抄読会vol1 振り返り】~ピルフェニドン、ニンテダニブとIPFについて学んだこと、気になったこと

◉IPFについて
突発性肺線維症(IPF)は、進行性、致死性の肺が線維化する病気。病態はよくわかってない。が、肺胞上皮細胞が何回も障害されることが進行に関わってるっぽい。肺胞上皮細胞が微小環境を変えちゃって、線維化のカスケードを亢進させることで、結果として間質にごみが溜まって肺が壊される。

◉ピルフェニドンとニンデダニブの歴史、可能性
ピルフェニドンとニンデダニブは、単剤療法では、IPFの治療薬として数カ国で承認済み。ランダム化比較試験では、どちらの薬も、IPFの患者さんのFVC(努力肺活量)を有意に軽減することが分かってる。で、両剤は、副作用も違う、てことも分かってるけど、薬がどんな風に効いてるのかはよく分かってない。
とりあえず、ピルフェニドンとニンデダニブは、それぞれ違う線維化のカスケードに効いてるっぽい。だから、もし、これらを併用すれば、単剤よりも、もっといい結果をもたらす可能性がある!
過去の研究では、この2剤の相互作用は確認されていない。加えて、2つの、第4相試験で、併用療法の安全性が評価されてきた。
INJOURNAL試験:オープンラベル、ランダム化試験、12週間
European第4相試験:オープンラベル、介入群のみ、24週間
しかし、実際のところ、長期にわたる併用療法の安全性と忍容性についてのデータは限られたもので、だから、日本のIPFに対するガイドラインでは、現在のところ、そのエビデンスレベルの低さゆえに、併用療法が積極的には薦められていない。
けど、実際のところ、日本では、58.8%の施設で併用療法が行われている。。(アメリカでは0.7%)特に、進行したIPFの患者さんに対して使っている。

◉ピルフェニドンとニンテダニブの薬用量(mg/日)
ピルフェニドン:200〜300
ニンテダニブ:600〜1800

◉ピルフェニドンとニンテダニブの副作用
70%で副作用が見られた→30%は副作用が強すぎて薬中止(過去の研究よりちょっと多め):医療者が大事をとった傾向にあるから?
食欲減少(39.1%)→過去の研究より多め。(約3倍)
下痢(34.8%)→大体過去の研究と一緒。
他、嘔吐(19.6%)、肝障害(19.6%)、体重減少(17.4%)、倦怠感(17.4%)
が比較的多い副作用。

◉気になったこと
・46人について調べた、とあるけど、結局、最終的に、有用なデータとして使ったのは19人になってること。(46人から、十分な治療期間でない、FVCが測定できなかったなどの理由で27人除外。)
・日本では、確かなエビデンスがなくても、約6割の施設で併用による治療を行ってる一方、アメリカでは1%以下、という違いがあって、文化の違いなのか、、日本の医療に少し不安を感じました。。
・安全性について、30%が副作用が強すぎて中止しているにも関わらず、結論が、安全、となっていること。(単剤療法と比較しているのかもしれないですけど、基準がいまいちわからない。。)

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