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【書評】『自分の中に毒を持て〈新装版〉』(青春出版社)』岡本太郎


「人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。ぼくは逆に、積みへらすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きが出来なくなる。」


なるほど。
逆転の発想ということでしょうか。
確かに思い返せば、
ぼく自身、過去の自分に合うように取り繕う場面もあります。
もちろんそれは本心ではありません。
今言ったように取り繕っている自分ということです。
こんなことも少なくないです。つまり、積み減らすということも一理あるのかもしれません。



「仮に親の顔色をうかがって就職し、安定を選ぶとしようか。が、それが青年自身の人生なんだろうか。“俺は生きた!”と言える人生になるだろうか。そうじゃないだろう。親の人生をなぞるだけになってしまう。そんな人生に責任を持てるだろうか。若者自身のほんとうの生きた人生には決してならない。」


昨今の流れを見て言っているかのような言葉です。
ぼくも実際今、進路どうこうという時期であり、親にも色々と言われています。
しかし、ぼくのやりたいことは親の望みとは違う方向にあり、やりたくないことが親の望みの方にあります。
そして多様性が大きく叫ばれている現代の追い風もあり、ぼくも岡本さんの主張のように自分の道を進みたいと思っています。



「よし、駄目になってやろう。そうすると、もりもりっと力がわいてくる。
食えなけりゃ食えなくても、と覚悟すればいいんだ。それが第一歩だ。その方が面白い。」


背水の陣という考えですね。
ぼくの座右の書に『完全自殺マニュアル』という本があります。
この本も言わば背水の陣の考え方です。
いざとなっては死んでしまってもいいという考え方です。笑
岡本さんは「もりもりっと力がわいてくる」と言っていて精力的ですが、ぼくはあくまでも面白さだけから来る考えで、やる気が湧くということはないのですが。笑



「“いずれ”なんていうヤツに限って、現在の自分に責任を持っていないとからだ。生きるというのは、瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現実に充実することだ。」

結局やるのは今であっても将来でもあっても自分なんですよね。
つまり明日やろうは馬鹿野郎ということ。
今やる。今現在を楽しむということが生きるということなんですね。



「自信なんていうのは相対的価値観だ。」


面白い考えですね。
ただ言われてみたらその通りかと思います。
例えば自分の容姿に自信がなくモテないと悩んでいる人は、モテる理想像として自分とは違う誰かが存在しているんだと思います。
言い換えれば、自分と他人との比較。つまり相対的な事象です。
もし自分が絶対的な存在になれば自身云々という話は概念さえなくなると思います。
ただそれはやれと言われてできることではないと思いますが。笑



「生きる−それは本来、無目的で、非合理だ。」


「われわれはこの世になぜ生まれてきて、生きつづけるのか、それ自体を知らない。存在全体、肉体の精神も強烈な混沌である。そしてわれわれの世界、環境もまた無限の迷路だ。」


ぼくの生きる上での命題となっている
『生きるとはなにか』というもの。
本を読む中でいくつか答を得ていますが、十人十色の答えがあるように思えます。
岡本太郎さんの答えは上の通りです。
この本を通して岡本さんは、
目の前のことに全力で取り組め
というようなことを繰り返し述べていました。
未来・過去という概念はあくまでも現在がああるからで、それらをどうこうと考えてもしょうがない。
とにかく今に全力を注いで進む。
それこそが生きるということだそうです。

生きるということを全力で楽しみ、人生全体で岡本太郎という人間を全体で表現していたということが伝わるとても力強い内容でした。




#イの本ね

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