見出し画像

スティーブン・ユニバースに登場するパールという素晴らしい錯乱キャラについて聞いてくれ

一番好きなアニメは何?と聞かれたら私はスティーブン・ユニバースと即答する。そしてこのアニメに私の心を狂わせて仕方ない錯乱キャラクターが登場する。


スティーブン・ユニバースはカートゥンネットワークオリジナルアニメである。

▼スティーブン・ユニバースとは

Wikipediaより
女性のような姿になれる宝石たちのマジカルチーム「クリスタル・ジェムズ」が、美しい地球を守るべく故郷の星と戦うファンタジーミュージカルアニメ。海辺の田舎町に住む少年スティーブンの視点を通し、複雑な過去やコンプレックスを抱えるジェムや人間たちが織りなす性別に囚われない多様な愛を、切なくもハートフルに描いている。

監督のレベッカ・シュガーは自らをLGBTのノンバイナリーと公言している。
作中に登場するジェムズ(宝石の擬人化)たちは女性的な形をしているが性別は明言されていない。便宜上、彼女たちと呼ぶがこれはあまり正しくない。また彼女らの感情の渦巻を百合と言ってしまうが、これもまた正確な表現でない。登場するジェムズの中には男性っぽいデザインの子もいる。多種多様なジェムズがそれぞれ異なる良さと悩みとトラウマを抱いている。主人公スティーブンはジェムズと共に生活しながら彼女達と心を通じ合わせていく。私と違うあなた、あなたと違う私。誰もが唯一で素晴らしい存在なのだ、という強いメッセージが作品の根底に流れている。時に辛い展開もあるが、この暖かい視点があるので安心して観て欲しい。

この簡単なあらすじだけで興味を持ってくださった方は今すぐAmazon primeかdアニメストアに飛んで、スティーブン・ユニバースを観てくれ。頼む。この通り(額を地面に擦り付けるオタクの絵文字)


いや、よくわからないよ!という方は私が今から語るとあるジェムの話を聞いてくれ。ネタバレを含むがこのキャラクターのやばい片鱗に触れて欲しい。

もちろん本当はネタバレなしで衝撃を受けて欲しい。だが、興味を持ってもらうきっかけになるならこのジェムの激ヤバ錯乱エピソードを一つ話そう。ちなみにこれは数あるやばい話の中の一つだ。ただの氷山の一角だ。

錯乱してるのはお前自身だろ!というツッコミありがとう。異論はない。


▼そもそも錯乱キャラとは…

私が勝手に定義した錯乱キャラとは、過去のトラウマに囚われていて現在が見えていない人を指す。目の前にいる誰かを過去の自分の大切な人に重ねて見てしまい、その区別がつかない状態を錯乱状態と呼ぶ。また、その人物を錯乱人(さくらんちゅ)とも呼ぶ。(2020年まのん定義)
ex.少女革命ウテナの御影草時、るろうに剣心の瀬田宗次郎 など


題名にある通り、今回紹介したいのは”激やば錯乱ジェム”ことパールである。


▼パール

画像1


彼女は主人公スティーブンと共に生活する3人のジェムのうちの1人だ。最もお世話焼きで、一見すると一番まともに見える。すこし神経質で頑固で過保護なところがあるけど、スティーブンの保護者として一生懸命働いている。初めは観ていると、彼女の過保護具合にイライラするだろう。でも、話が進むうちにジェムズとスティーブンの関係が少しずつ明らかになってくる。スティーブンはジェムズが仕えていたローズというジェムが産んだ子どもだった。そして、パールはこのローズの一番の側近としての自負が強かった。それもありスティーブンを大切にしていた。時に過剰すぎるほどに。


初めは『ただの主従関係か、昔仕えた主人の子守りね、あるある』と思きやパールからローズへの思いがドドドドどでかいものであることが様々なエピソードで徐々に明らかになっていく。


▼具体的事例 エピソード58 剣の誓い

特に私が大好きなエピソードは58話『剣の誓い』について語ろうと思う。

公式のあらすじより。
スティーブンはコニー(スティーブンのお友達の女の子)に剣術の才能があると見抜き、パールに彼女の訓練を頼む。地球を守りたいと訴えるコニーに心を動かされたパールはホログラムを呼び出して特訓を開始、かつての自分がローズ(スティーブンの母親)にしていたように、自らの身を顧みず命がけでスティーブンを守るよう教え込む。コニーの剣はどんどん上達するが違和感を覚えたスティーブンは2人で力を合わせて戦ったほうがいいと説得し…
TM&(c)2019 Cartoon Network


パールはコニーに『戦いで一番大切なのはあなたじゃない、スティーブンよ』と教える。コニーはそれをそのまま飲み込んで『私は大切じゃない』と復唱する。
その姿を見たスティーブンはこのままではいけない!と思わず飛び出す。
『君が僕を守るとしたら一体誰が君を守るんだよ!』
スティーブンは自らの力で盾を取り出して、訓練用パールホログラムを撃退する。

僕たちは一つのチームなんだ!とコニーとスティーブンは二人で一緒に戦うことを決意する。が、それをよく思わないのがパール。コニーとスティーブンは連携してパールとの模擬戦闘に挑む。結局二人は本気を出したパールに負けてしまうけれど、彼女を追い詰めてしまった。そして、どうしてもコニーと一緒に戦場に立ちたい!と言うスティーブンにパールは追い込まれ、感情的に叫ぶ。

エピソード58内のやりとりより

パール「あなたは戦場に近づいてはいけないの!一番大切だから!」
スティーブン「それは違う!」
パール「何が違うというの!?どうしてあたしにあなたを守らせてくれないの、ローズ!」


はい。完全に錯乱してますね。さくらんちゅですね。
パールはスティーブンにローズを投影し、コニーを自分に投影していたのだ。
このパールの言葉を聞いたスティーブンは悲しい顔をする。そりゃそうだ。パールは自分自身でなく、ローズを見ていたのだから。
パールはローズを本当になによりも大切に思っていた。『ローズといると自分が特別なものに思えたの』というパールの言葉の通り、ローズはパールの存在理由で世界そのものだ。
でもローズはスティーブンを産みどこかへ消えてしまった。このことはまだパールにとっては深い生傷で、受け入れ難い事実だ。だから、パールは時折スティーブンにより過保護とも取れる行動をしてしまっていたのだ。二度とローズ(スティーブン)を失いたくないから。スティーブンをローズに見立て、時にローズだと思い込む。過去に囚われて今が見えていない状態。錯乱です。


▼パールからローズへの巨大矢印の行く末は…

なぜここまでパールがローズにどでかい感情を抱いていたのか、という理由は後々明らかになっていく。そしてこの感情を抱えた彼女はどのようにして"ローズが消えた今"と向き合っていくのか、ということも丁寧に描かれる。
今日はパールという激やば錯乱キャラクターがいる!ということだけ覚えて欲しい。


※少女革命ウテナへのオマージュ
ちなみに、このローズの剣は少女革命ウテナで主人公ウテナが使うディオスの剣がモデル。パールはコニーに立派な騎士(ナイト)になるのよ!と発破をかける。また、パールの剣捌きはウテナのオマージュだ。他にもウテナオマージュが顕著なエピソードは16話『戻ってきて、パール』がある。御影草時vsウテナの構図が使われてるので興味があればぜひ。(御影草時…彼もまた代表的な錯乱人〜さくらんちゅ〜である。彼との戦いをオマージュしたのは作者の深い意図がありそうだ……)

画像2

▼まとめ

このように、スティーブンユニバースは一見可愛くほんわかした作画や雰囲気のアニメだが、巨大感情や無機物だからこその無慈悲な設定がゴロゴロ転がっている。
多種多様な価値観、渦巻く巨大感情、そして全てを包みこむ大きな愛。
私はこのアニメに出会って価値観が変わった。心が広くなったし視野も広がった。


びびっと来た方、最後まで読んでしまった錯乱仲間の皆さん!ぜひスティーブンユニバースをご視聴あれ!!!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?