月光仮面🌙先生のはなし
おれが小4の時に算数を教えていた河合先生。
いつも月光仮面のテーマソングを歌ってる、月光仮面ど真ん中世代。
昭和っぽい眼鏡をかけ、太い眉毛を上下させて、片目を細めて意味ありげに見つめてくる、いかにも変なおじさん。
「河合塾」というのを立ち上げて放課に算数を教えていた。
河合先生はなにかの公式を教えた時に「河合のコツです!(キリッ)」と決め台詞を言うのがお決まりだった。いや、教科書に太字で書いてあるし。
Fさんという女の子に「あなたは美しい!」となぜか敬語でつきまとっていた。笑
河合塾をつくった理由はこれかもしれない。
昭和ヒーローが好きなおれが「マンモスコング」という月光仮面に出てくる怪獣の名前を出したら「握手してください」と敬語で握手を求められた。
ある日から、月光仮面の歌詞が三番まで書かれた紙をプリントアウトしてきて毎回、歌うようになった。河合先生をしたう6年生が印刷してきれくれたらしい。
河合先生は授業をやらずに雑談ばっかりだった。
「パンツなんて竹の皮でつくればいいんです!」と意味不明な話ばかりしていた。
男子生徒がおもしろがって人気がないわけじゃなかったけど、先生からは嫌われていた。
校長にいじめられて、職員室にいれてもらえずドンドンと扉を叩いてるところを見たという噂があった。田舎の小学校だから、そういうこともあるかもしれない。おれは河合先生から「君は頭がよさそうに見えて、それほど頭がよくない」と言われたことがあって、嫌いだったけど、可哀そうになった。先生がいじめをするのか。。。
うちのクラスで移動教室があった時に、河合先生が6年生に算数を教えている教室の前を通りかかった。
河合先生は、上級生と黒板の前で新聞紙を丸めてつくった刀で
「やああああーーーーーーーー!!!!!」
とチャンバラをやっている最中だった。
おれが担任に「せんせえーーあれ、注意してくださいよおーー」とニヤニヤしながら言ったら、「いいから、いいから」と顔をそむけてスタスタと行ってしまった。
おれ、この担任からすごく嫌われていた。
上級生の卒業式の日、先生が担任でもないくせに「感動して涙が出た」と言ったらクラス全体に賛同する空気が生まれた。「〇〇君はどうだった?」「〇〇さんは?」と一人ずつ感想を聞き出して、おれが一言「愉快だった」と答えたらなぜか廊下に立たされた。その後、卒業生を送り出すアーチを作るのに「ほら行くよ」と駆り出された。こういのをひっくるめて全体主義とか、ファシズムという。
ある日、放課後に友達の石川くんと遊んでいたら、草ぼうぼうの空き地から月光仮面のキーホルダーが見つかった。「ごぞんじ!月光仮面くん」というアニメのキーホルダーで、ボタンを押すとランプがピカピカ赤く光る。
河合先生にあげたら「家宝にします!」と喜んでいた。いい先生だな。笑
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