AIによる競馬予想で勘違いされそうなこと

機械学習による競馬予想

地方競馬に押し寄せた有料予想ブームも何となく下火になりましたが,変わってやってきたのがAIによる予想です.これは別に有料でも何でもなく印や指数がポンポンと流れてきます.AlphaImpactさんやゆまさんなどが有名でしょう.昨日の佐賀競馬ウーマンちゃんすもお見事大本線でした.

いったいどれほどの方々が乗っかったかは不明ですが,◎が百数十円ってそれじゃあ企画の意味がないのでは...と余計なことを考えていました.

ID高知けいばと機械学習

さてID高知けいばも昨今のブームに乗っかって機械学習による予想を始めました.たまに呟いている数字はそこから出てきています.テクニカルな話ですが特徴量は他社の数十分の1でlightGBMも使っていないというもはや機械学習というよりはただの数学なのでは...という状態ですが,それでも結果をよく表現することが出来ています.当社の機械学習(なんかゆまみたいないい名前が欲しい)は3着内率を計算し,その辺の数字から1,2,3着率を計算させています.ここはちょっと工夫している部分な気もします.

良く表現できていると言いましたがどのくらいなのかはグラフで確認しています.4着内のやつですが3着内でも似たようなもんです.

実際の複勝率と計算された値の関係なので傾きが1でピッタリ予測できていることになりますが,まあいい感じでしょう.半年前のものなのですが最近はもっといいです.ちなみに予想のために当日のオッズは入っていません.予測には入っていてもいなくても同じな気がしてます.馬体重も入れてますが無くてもいい気がしています.つまり前日にやっても同じような結果ということです.これもオリジナリティだと思ってます.

これほど正確に予測できるなら儲かるのか

ここからが誤解されそうなことなのですが,これだけ予測できても儲かるわけではありません.簡単にいうと割の良い馬券(期待値が高い)を探す必要があります.

計算された勝率が50%の馬がいれば単勝2倍以上の時に買えば期待値は1を超えます.分かりやすいですが,現実的にはこんなに分かりやすくありません(高知の場合は分かりやすいパターンがまだ出る方だと思ってますアレのおかげだね!!).というわけで同業他社の方々もここからが本番なんじゃないかと思ってます.予測された複勝率などから馬券の組み合わせが発生する確率を計算し,オッズと掛け算して,期待値がある範囲のものを買い続ける...という必要があります.なお当社はここの自動化にまごついています.自動化出来ないと網羅的に大量に買えないのでおそらく困ります.さらにこれを実装している方がいたらすごいと思うのですが,組み合わせとして起こるかどうかを判断できるシステムが必要です.すなわち割合が良い逃げ馬2頭が居たとして,どっちかは逃げられないので計算より率が下がってしまうのでは...という問題です.展開予想も機械学習でさせてみてますが,場合分けさせて期待値を出していくのは半端じゃないと感じています.

さらに問題はまだありまして期待値を計算させるためのオッズはいつのものを採用するかが議論されています.有名人たちは最終オッズも予測しようとしているようですがまだ上手く行っていないようです.私も10分前オッズで期待値を出そうかと試みましたがそもそも時系列オッズのデータが乏しいので最終オッズで妥協しています.これからは各社だましあいの展開でしょうから,いっそのこと変な馬券を買っておいて他社のAIを騙したうえで自社の馬券のワリをよくするなんてことも起こりかねません.本命党の皆さんは心当たりあるんじゃない?

というわけで誤解されそうなこと

以上のように正しい予測が出来ていても儲けることは容易ではないです.まあ大外れすることはないのですが.この記事で何が言いたいかというと,AI勢の◎にまる乗っかりしても儲からないよ!!ということです.便宜上率がいいものに印を打っていますが期待値はよくわかりませんし,もしかしたら親切な人は単勝の割のいい馬に◎を打っているかもしれませんが,それはその時間において...ということになります.最近「軸」とか書いてくれているよね.たとえ◎が期待値が高かったとして◎→〇→▲の3単の割がいいという保証はどこにもないのです.そういうわけもあって私も気楽にAIの印をツイートできています.

これからやりたいこと

ちなみにうちの子は本当に高知けいばにだけ特化したシステムなのでうまく回っている感もあります.大手はだいたい地方は地方とやっているようですが,直感的に理解しにくいのではないかと思います.正しく数字を処理していれば成り立つとは思いますが,精度の向上には結びつかないんじゃないかな...と考えます.だいたい自分が予想していた時のファクターは導入できていますが,まだ種牡馬や展開予想がバッチリとは反映されていません.そして最難関の賞金論も手つかずです.他社も進化していくでしょうから常にオリジナルな特徴量を考えなきゃいけません.これが高知けいばだ!!というところを見せ続けたいと思います.



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