Tonamelのスイスドロー機能を比較してみた



1. はじめに

カヤックという会社がTonamelというゲーム大会運営ツールをサービスインしました。
オンラインのシングルエリミネーション ゲーム大会が主なターゲットのようですが、スイスドロー形式もできますし、リアルイベントで使うこともできます。

イベント運営ツールの分野では、私もリアルのスイスドローへ向けたTCGペアリングメーカーを公開しています。
Tonamelとの競合は気になるところです。もしカヤックのサービスが全てで上位なら、個人のサービスなど軽く吹き飛んでしまいます。


この記事では「リアルのスイスドローイベント」のシナリオで、TonamelとTCGペアリングメーカーの比較検証をしていきます。
Tonamelは多機能ですから、ペアリングメーカーと競合する部分を比較するためです。
それぞれの特徴を伝えることで、イベント運営ツールの選択の助けになれれば幸いです。

リンク
Tonamel (使い方)

TCGペアリングメーカー (マニュアル)

※記事の内容は2020年6月の情報に基づいています。


2. 基本情報

・Tonamelの基本情報
サイコロ給などで度々ニュースになる、面白法人カヤックのWebサービスです。前身のサービスが2017年から、Tonamelとしてのリリースは2020年の4月でしょうか。

大会の告知から、参加登録やトーナメント・スイスドローのマッチング、結果発表まで、イベントの全ステップをカバーする設計になっています。
イベントの参加にもアカウント作成が必要で、SNSの一種という印象を受けました。
大会の開催履歴や参加履歴を残せたりと、人をつなげる仕組みがあります。

・TCGペアリングメーカーの基本情報
私みれが開発・運営するWebサービスです。2019年10月にサービスインしました。
スイスドロー運営に特化したツールで、マッチングと順位計算、そして成績発表の機能があります。


基本的な項目を一覧で比較しました。

基本情報

3. イベント管理機能

・Tonamel
イベント作成の流れは以下の通りです。

フロー_tonamel

アカウント型のサービスのため登録が必要なほか、主催団体の登録も必要です。
イベント作成ではゲーム種類や大会名のほか、参加者の募集期間、開始予定日時、オンラインかリアルイベントか、上限人数などの情報を指定します。

イベントを作成すると、Tonamelで公開される告知ページが作られ、参加希望者の受付もここから行います。
参加登録にはTonamelのアカウントが必要で、利用規約への同意が求められます。
※18歳未満は保護者の承諾が必要

フローで示すイベント開始準備には、参加者側のチェックイン(現地での受付に相当)やゲストプレイヤーの追加、またラウンド数の決定などが含まれます。
イベントの参加者は、告知ページからの申込→チェックインされたプレイヤーが自動的に登録されます。また、主催者が自ら登録することもできます。

・TCGペアリングメーカー
イベント作成の流れは以下の通りです。

フロー_maker

単機能のためシンプルです。
恒久的なアカウントは不要ですが、イベント作成時にイベントIDとパスワードを決める必要があります。これがアカウントに相当し、イベント毎に作って使い捨てます。

イベントの告知や参加者の募集はTCGペアリングメーカーとは別に行い、プレイヤー登録は入力画面から主催者が行います。


4. スイスドロー機能

本記事のメインであるスイスドロー機能の比較です。
一覧の後で所感について述べています。

スイスドロー機能


・Tonamel
ペアリング一覧と結果入力画面が別になっています。主催者が全て入力するか、参加者にWebで入力させるかをイベント開始前に選ぶことができます。主催者が入力する場合、画面の行き来が多くて大変かもしれません。

マッチングと結果入力_tonamel

2回戦からは暫定順位を元にマッチングされ、現在順位も見ることができます。
デメリットとして、階段で下位プレイヤーに当たると勝ったとしてもOMWPが低くなるため、次回戦も階段の確率が高くOMWPが伸びにくくなります。

また最下位2名が対戦済みの場合は、不戦勝が複数名になるようです(テスト中に1回発生)。

・TCGペアリングメーカー

ペアリング一覧と結果入力画面が一体化しており、ワンクリックで結果入力が完了します。

マッチングと結果入力_maker

同じポイント同士でランダムにマッチングされ、奇数はポイントが近いプレイヤーとペアリングされます。ランダムのため、取り消して作り直すとペアリングが変わります
また、(OMWPによるマッチングではないので)前述の階段による不利は小さくなります。

5. 参加者向け機能

・Tonamel
大会中に参加者が見られる情報は主催者とほぼ同じで、ペアリング表、暫定順位、最終順位をWebで見ることができます。
結果入力を参加者が行う場合はWebから入力することになります。
またQRコードの読み込みで当日のチェックインができるので、来場確認の受付を省略することもできます。

参加向け_tonamel

大会中の機能以外では、アカウントから大会の参加履歴が見られるなどSNSとしての機能があります。


・TCGペアリングメーカー
ペアリングと最終順位のオンライン公開機能があります。
加えてPDFへの出力機能があり、印刷して会場に掲示することができます。

参加向け_maker

オンライン機能のURLをQRコードにしてPDF出力でき、予め印刷して会場に掲示することができます。


6. まとめ

色々比べてみましたが、はっきりとした優劣はつかないと感じました。
サービスやルールが少しずつ異なるので、開催するイベントの性質に合わせて選択できると思います。


・Tonamel
多機能高機能で、カヤックが想定する使い方をするならとても便利。
スイスドロー機能はトーナメントのおまけという印象。
参加もアカウントが必要なため、参加者への要求が少し多い。
アカウント作成 = 契約 なので、18歳未満は保護者の承諾が必要。


・TCGペアリングメーカー
単機能なのでizazinやGoogleフォームなど他のサービスと組み合わせて使える。
手軽に使えて操作の手間が少ない。
オンラインペアリングが有料な点はマイナスポイント。


今回は「リアルのスイスドローイベント」のシナリオで比較しているため、オンラインイベントを前提に考えるなら結論は変わるでしょう。
Tonamelの参加者による結果入力や、チャット機能は、オンラインイベントで非常に強力なツールとなります。


本記事が、より良いイベントを作るための判断材料になることを望みます。


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