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Architecture

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2021年10月の記事一覧

心柱 東京スカイツリー 五重塔

災害大国の日本⁈ 多くの自然災害のリスクを克服しなければなりません‼  昔から日本にある木造の三重塔や五重塔で地震で倒れたものはないといわれています。法隆寺の五重塔は、1361年(康安元年)の大地震で、塔の上にある相輪が折れて落ちたという記録はありますが、塔そのものは無事でした。記録にあるだけでも、40回以上の大地震が畿内にありましたが、塔が倒れることはなかった。それは塔の真ん中に設置されている心柱の働きによる耐震効果を、相輪から下がった心柱が揺れを吸収するから倒壊しないの

マイホームの彼方に 平山洋介 著

 昭和後半、「ホームの所有」が趣意したのは、「自由」でした。大都市では、多くの人たちが持ち家を建て、地主から自らを解放しました。そして、「独立・自立した家族」をつくる人たちが増えました。それは、結婚と子育ての抱き合わせで、階層・出身・地域から自分を切り離す意味をもっていました。20世紀後半は、少なくとも建前の上では「生まれ」を問わない社会でした。それを支えたのが、結婚と持ち家という制度、その仕組みに沿った「マイホームを所有する独立・自立した家族」でした。しかし、就労の不安定化

100年団地 Karl Marx Hof / Wien ©Bwag / Commons

 オーストリア、ウィーン市、市民の9割が暮らしいる集合住宅(団地)の持続性。赤いウィーン時代(1918~1934)に建設された15ヵ所の住宅団地は、庭を配した空間、住居者の視線を意識できる安心、植物と自然環境との共生により、少子高齢化の進む中でやさしく安全な居住環境を再生し、コミュニティの再編を図っています。カール・マルクス・ホーフ(Karl Marx-Hof 1927-30)は、赤いウィーンを代表する公共集合住宅。敷地156,000㎥に1,382戸の住戸と店舗、レストラン、

きりん園 Picture Book Tomonori Taniguchi

幼保連携型認定こども園 壁画絵本 絵本作家 谷口 智則 竣工 2020.8.1 絵本作家と建築のコラボレーション

ライブペインティング 絵本作家谷口智則

 昨年コラボレーションさせていただいた絵本作家 谷口智則氏、10月27日(水)と10月31日(日)に谷口氏の地元大阪府四条畷市にて、ライブペインティングをされます。  今回は四条畷市とのプロジェクト「100にんのサンタクロース」によるライブペインティング、46人目と47人目のサンタクロースが登場します。  谷口智則氏には、昨年7月末の猛暑のなか、完成間近の「認定こども園」(尼崎市内)の玄関(ゲートウェイ)に、天井に書くのははじめてといいながらジンベイザメが空を泳いでいる姿を描

大阪城ホール 大阪城公園

[ 大川(旧淀川本流)水都大阪クルーズ船「ひまわり」]  SF作家 小松左京氏の初長編小説「日本アパッチ族」の居住地、大阪砲兵工廠の跡地に建てられた『大阪城ホール』(1983年完成)は、イベントホールを兼ね備えた屋根のあるスポーツ競技場(アリーナ)です。大阪砲兵工廠跡の公園が「平和祈念公園」でないのは残念ですが、「城ホ」は地方に建てられたイベントホール型室内体育館のモデルケースになっていきました。  コンサートホールのような理想の残響時間に近づけることは、アリーナ型競技場で

多様性公園 Suprekilen(スーパーキーレン)2016

[タコの山 : スーパーキーレン / Superkilen Copenhagen, Denmar | WikiImage]  コペンハーゲン、北欧の街でムスリム系のこどもたちが日本のタコすべり台で遊ぶ姿は、異質な感情が混ざる空間で多様な文化の交ざる様を具体的に「公園」と「遊び」でデザインされています。  さまざまなバックグラウンドを持つ人々にやすらぎを生むために、出身地の記憶をテーマに、思い出を具体的なオブジェクトに置き換え、さまざまな文化に敬意をもってユーモアある表現にし

MIHO MUSEUM / I.M.Pei

 ミホ・ミュージアム2021年秋季特別展 日本絵画の名品(アメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスにあるミネアポリス美術館コレクション(Minneapolis Institute of Art:通称 Mia〈ミア〉)  10月早々、滋賀県甲賀市 森の中の美術館を訪れました。プリツカ―賞建築家 イオ・ミン・ペイ氏の設計による美術館は、初めての訪問。山の木々を車で抜けてきた森の中、さすが宗教法人の運営する美術館周辺はきれいに整えられ、来館者を向かい入れています。  レセプシ

公園のような場所 / 妹島 和世

[大阪芸術大学アートサイエンス学舎 / 妹島 和世 | TOP画像]  大阪芸術大学に「丘」が建つまでの3年半の記録を写真家 ホンマタカシ氏が監督・撮影した映画「時間と建築と妹島和世」が、昨年ドキュメンタリー映画として劇場公開されました。妹島和世氏は、建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカ―賞を受賞した二人目の女性建築家です。初めての女性受賞者は、建築家 ザハ・ハディット氏でした。二人は新国立競技場国際デザインコンペで、入選作品3作品のうち最優秀賞と入選賞に選ばれました。二人

Paper tubes 紙管の建築

[ 2014.11.8(SAT) 坂茂プリツカ―賞受賞記念特別講義 画像 ]  特別講義の後半、建築家 |坂茂氏にプリツカ―賞受賞のお祝いを一言述べたあと、2つの質問をしました。Q1,アジアの建築家が3年連続選ばれた理由は? Q2,オリンピックスタジアム応募案について? A1,3人がアジアの国であったことは必然ではなかったが、持続可能な環境配慮行為であるこが共通項ではないか。今後も続いていくテーマとして重要な課題になる。A2,結果は残念であったが、開閉式の屋根の独自のア