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第8章 決心 動画に集中していると、私の携帯が鳴った。由香の携帯からだった。 「もしもし」 「すみません。由香の母です。みゆさん、何かわかりましたか?テレビでは世界中で多くの人がいなくなっていると言っていますし、やっぱりこれは何者かに・・・」 「いえ、違うと思います。今日そちらに伺ってもいいですか?私、お話したいことがあります」 「もちろんです。何時に来られますか?」 「今から支度をしてすぐに伺います」 バスと電車を乗り継いで、由香の家に着いたのは午前11時
第7章 思考停止 「お母さん汗かいたからお風呂に先に入るね」 泣きはらした顔を見られるのが嫌だったので、顔を下にしたまま台所を通り過ぎ、洗面所とお風呂場に向かった。お風呂にお湯を入れている間に、着替えを取りに行って、洗顔をし、見事にはれあがった無残な顔を眺めた。今日は楽しく過ごすはずだったのに、何をやっているのか?自分で自分が嫌になった。本当はココや由香のようになりたい自分がいるのに、なぜ反抗的な態度でしか接することができないのか? お湯が溜まるまで、自分の腫れあが