隠しちゃう

先日よくわからない機械の搬送助手としてトラックに同乗する派遣のバイトに行った。ドライバーの社員の方が気さくな方で、「君はニコニコ超会議に行くかい?」と話かけられた。突然。
恐らく見た目で判断されたのだろう。その時の僕は散髪する金も時間も無かった為前髪は目のクマが隠れる程に伸び、コンタクトを買うお金も時間も無かった為レンズが指脂で曇ったメガネをかけ、動きやすい格好で来いとの事だったのでユニクロのパーカーに下はベージュのチノパン、という「如何にも」な格好だった。

突然のニコニコ超会議の話題に慌てふためいてしまい、咄嗟に余計な嘘をついてしまった。「いや〜行った事無いんですけどどんな感じなんですかね〜」。考えてみれば「行った事ある?」と聞かれておらず「今度のニコニコ超会議に行くのかどうか」を聞かれたのに意味不明である。怪しい。

普段から友人と話す時もニコニコ動画の話題は出来るだけ避けている。というか話にはなんとなく乗るが、どっぷり好きだという感じを出さない、動画投稿をしている事など絶対に嗅ぎ付かれたく無いので、「あーその人なんか名前だけ聞いた事あるわ〜」くらいの感じにしている。恐らく実際にはニコニコ動画好きそうな匂いは隠せておらずプンプンしていると思う。

ポケモンを厳選する程に好きでポケモン実況をよく見ているという友人がおり、「サントスさんはガチでうまい」と話された事がある。
その時の僕の反応は例に漏れず「あーあの人ね〜」くらいである。相手は僕がサントスさんと超会議で顔を合わせて喋り、ポケモン対戦までし、ポケモンのクリアファイルを頂き、マリオカート8の実況者杯「おっ杯」にて同じチームで戦い、サントスさんとの生放送にて僕が女の子に振られた話をしていた等という事は想像もつかないであろう。つかれては困る。

だったら全く知らないフリをすれば良いのでは?
全くその通りである。だがそこには謎の気持ちが働く。
僕はあくまでその人と知り合いだしすごいぞ。という事を頭の中で考える為には全く知らないフリをするよりナァナァの方が良い。「あーあの人ね〜(俺はその人と知り合いだけどね)」がちょうど良く気持ちいい。

なんとなくそういった嘘をついてしまう理由は、自分がニコニコ動画上で活動している事を嗅ぎ付かれたく無い以外にもいくつかある。
まず、「ニコニコ動画」といえばあまりかっこいい趣味では無いので、それにどっぷりだと思われたくないという事。
だが、これが例えば「スノーボード」や「ギター」であったとしても恐らくどっぷり好きという事を出すのは控えてしまうであろう。それは何故なのか。

「なんとなく相手の反応を様子見したいから」なのではないかと最近思うようになった。
相手のその趣味への知識、見解、向き合い方を知ってから自分の立ち位置をどこに置こうか決めているのかもしれない。

そこにはさらに色々な理由が複雑に絡みついていて、
僕の好きなものをオススメして相手が触れた結果そうでも無かった時が怖い。
相手が興味の無い事について余りに饒舌に語りすぎて引かれたくない。
好きなものをそう簡単に理解されたくない。
好きなものを自分だけのものにしておきたい。
好きだという事を語りすぎてしまう事によって「好き」が軽くなってしまう。
等…多分他にもあると思うがとにかく複雑な気持ちになるのだ。1番多い感情は「不安」だと思う。

自分自身、自分が全く興味の無い事でも、他人が好きな事についてキラキラと語られると知らない話を沢山聞ける上に何より相手が本当にイキイキとしていて好きなのだが、自分にはどうも出来ない。
最近読んで結構面白かった漫画程度の話なら何の気兼ねも無く出来るのだが、好きが強すぎると相手の目を気にして臆病になってしまう。


でもその分同じ趣味について同じくらいの好き具合で語り合える友を見つけた時はTHE最高!

僕は「ハヌマーン」というバンドがドチャクソ好きなのだが、余り有名じゃない為「好きなバンド何?」的な話になった時にいつも出さないでいた。どうせ知らないだろうし。ただ、先日いたのだ。ハヌマーン大好きマンが。そいつは自分が本当に好きなもの、わかる人にはわかるようにだけの形で発信していく病なので、Twitterでおもむろにハヌマーンの歌詞を呟いていたのです。もうテンアゲ。
結局僕はそいつとハヌマーンのコピーバンドを今度やります。同じだけの熱を持った人と自分が本当に好きな事が出来るというのはそうそうある事では無いので、本当に恵まれているなと思いました。恵まれている事を噛み締めすぎて急に丁寧語になりました。
ライブは身内でやるのでこのノートを見ている方々には見せる事は出来ないですが本当に楽しみで仕方ありません。

そういう話でした。
オチとか無いですが共感して貰えたらなと思います。

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