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NHKマイルカップ 全頭前走診断

一筋縄にはいかないレース。
2019年はグランアレグリアが馬券を外し(4着→5着降着)、20年はレシステンシアも負け、22年はセリフォスでさえ4着。

前のめりな展開になりやすく、1000m通過が57秒5前後になることも少なくない。レース上がりが34秒5あたり。すなわちスピードやキレよりも体力勝負になる。そういう実情もあり、1200や1400mが適正距離となる馬の台頭が少ない。

枠順にあまり捉われないほうが良い。
スローなら内枠が有利ということになるが、ハイペースなら、縦長の展開になることが多く、外枠の馬でも自分のポジションを確保しやすい。仮に外々の追走となったとしても、走法によってはリズムを保持しやすくなるので、過去に好走した大跳び馬には外めの枠が多い。
22年の覇者ダノンスコーピオン、21年の覇者シュネルマイスターなんかはその典型。

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全頭前走診断

①ダノンマッキンリー B
 前走ファルコンS 1着 7番人気
 半歩出遅れても慌てず後方に下げる。いやむしろそういう作戦だったか。前々走のクロッカスSでは、ハミをノーマルに替えて臨むも、出していって引っかかってしまった。ファルコンSではリングハミに戻し、舌をくくって万全の入れ込み策を施してきた。
 道中は後方の2列目。4コーナー手前で外に持ち出して進出を開始。先行勢が伸びあぐねる中、外からグイグイ脚を伸ばして一気に交わし、逃げて内で粘るオーキッドロマンスに体を合わせる間もなく差し切った。
 久々に本来持ち合わせたフィジカルを最大限生かして駆け抜けた。距離は1400mがベストな印象がありスローの瞬発力勝負は苦手そう。ただ体力勝負のハイペースになればマイルでも通用する。

②ノーブルロジャー B-
 前走毎日杯 2着 1番人気
 シンザン記念でのちのNZT勝ち馬エコロブルームを破って毎日杯へ。Palace Malice産駒らしく腹袋がしっかりとあって、筋肉質な馬体は見栄えがする。ただ、歩様は依然ぎこちなく、シンザン記念からの成長も感じられなかった。時計が掛かる状況だったからこそ好走できたといえる。
 レースは少頭数で勝ち馬のメイショウタバルが逃げる展開。重馬場にしては時計が速く先行有利な状況。瞬発力を活かして好走するようなタイプには難しい馬場状態だった。ノーブルロジャー自身も好発をきって2番手から進めた。その分だけ他よりも先着できた格好。時計勝負が良いという感じもしない。

③ディスペランツァ B-
 前走アーリントンカップ 1着 1番人気
 共同通信杯勝ち、皐月賞3着のファントムシーフが兄の良血馬。筋肉量が豊富で回転力に富んだ走りをする。
 モレイラ騎手らしくインで折り合ってロスを最小限に抑えつつ、他馬を牽制する絶妙のラインコントロールで追走。直線に入っても最短経路で入射して追っただけ。切れるタイプではないが、スピード性能は高く終いは確実で上位まで追い込んでくる。もう少し背が伸びれて府中にも対応できそう。

④イフェイオン C
 前走桜花賞 11着 8番人気
 フェアリーSを勝利したときとほぼ変わりがなく、この馬なりにベストパフォーマンスを発揮した結果。マイル戦では現状が限界点。1400mで下のクラスなら確実にいい勝負ができる。

⑤ボンドガール B
 前走ニュージーランドT 2着 1番人気
 牝馬らしからぬ逞しい肉体の持ち主。ゲートは上手くいったが、位置取りがあまり良くなく序盤は引っ掛かっていた。中盤から鞍上と呼吸があい好位で折り合うと、直線は追ってしっかりと伸びた。2着の結果は勝ち馬の脚が嵌ったもので差はほぼない。

⑥ロジリオン B+
 前走ファルコンステークス 5着 2番人気
 非常に見栄えのする馬体をしていて、前捌きも実にスムーズ。左トモが少し頼りない印象も気にするレベルではない。ただ、この日は一人で曳いており、これまでと比較すると少し大人しく映った。精神的に大人になったと取るべきか。
 ゲートは五分も内外の関係で良いポジションをとることができなかった。直線まで箱内で、追えたのは残り100ⅿの地点から。力を出し切れなかった。もっとやれていい馬。

⑦チャンネルトンネル C
 前走アーリントンカップ 3着 4番人気
 気性面で多少気を使いそうなタイプ。今回はノーズバンドを外してきた。
 スタートしてすっと中団の2列目を確保するも、外から掛かり気味の馬にふさがれて少し苛ついていた感じ。ゴール前の着差はその分。序盤のロスがなければ2着はあった。

⑧エンヤラヴフェイス D
 前走ニュージーランドT 9着 8番人気
 仕上げは良好も後躯が少し重くスピード感に乏しい。ゲートは問題なく、気性的にどこからでも競馬ができるが、スピードが足りないためどうしても後方からになる。直線でも追って伸び悩む。

⑨キャプテンシー D
 前走ニュージーランドT 16着 2番人気
 太目だった前走からさらに体重を増やしてきた。明らかに太め残りで動きは重く走れる態勢になっていない。レースがどうのこうののレベルではなし。

⑩ウォーターリヒト D
 前走皐月賞 16着 17番人気
 この馬なりに良く仕上がってはいたが、G1のメンバーに混ざるとさすがに見劣りする。芝の重賞で好走しているものの、すでに頭打ちの感。

⑪アレンジャー D
 前走アーリントンカップ 2着 15番人気
 高速馬場のドスローの展開において、序盤からリズムがかみ合ったことと、コース取りが完璧だったことが好走の要因。同馬主のトップナイフがトライアルや前哨戦で条件に恵まれて好走できたのと同じ形。G1になると何枚もレベルは落ちる。

⑫ゴンバデカーブース C
 前走ホープフルS 取消
 ホープフルSを感冒で取消。前々走のサウジアラビアRCでは人気被りの2頭を打ち破った。その人気2頭は、前半は引っ掛かりっぱなしで、心身ともに消耗。ゴンバデカーブースも多少は掛かっていたものの、に呼応しただけですぐに鎮火。人気2頭が力を発揮できない状況のなか、落ち着いて対応した鞍上の好騎乗もあった。
 スタイル的には2000mは長く、マイルがベスト。体躯がコンパクトな分走りにまとまりがあり、機動力も高く、頭数が多くなっても捌けるだろう。
 ただし今回は久々でまだ本来の走れる状態に戻ってきていないご様子。

⑬シュトラウス C
 前走ファルコンS 9着 3番人気
 名手が手綱をとってもどうしても折り合えない。サウジアラビアRCの次走に臨んだ東京スポーツ杯でタイトル奪取。勝利はしたものの多くの課題が残った。のちの2戦でも気難しいところをみせ、力を発揮できず仕舞い。体だけをみれば、貫禄があっていつどこに出しても勝ち負けしてくれそうなのだが、レースに行くと能力の半分も発揮できず。非常に惜しい存在。

⑭アスコリピチェーノ B+
 前走桜花賞 2着 1番人気
 デキは非常に良かったのか? と聞かれたら、8割程度かなぁという回答になる。3歳牝馬で久々の競馬となると、仕上げすぎでテンションが上がってしまう懸念がある。春にもう1レースのG1タイトルを見越すなら、ぶっつけとなって、その初戦の仕上げはどうしても多少甘くなってしまう。
 レースは、ゲート劣勢で、テンの位置取りは60点。なかなかバラけないハイペースの展開で、最終的に3列目のポジション。その内側から勝ち馬にマークされている。非常にやりにくい状況だった。
 4コーナーではササって立て直すロス。その間勝ち馬に擦られて2馬身のロス。その状況からよく盛り返したが、結構負担の大きいレースになっただけ反動が心配。
 レースレベルを考えると、レガレイラを基準とした場合、どうしても皐月賞のほうが上になる。

⑮マスクオールウィン D
 前走桜花賞 14着 13番人気
 ペタッとした感じの馬で、時計勝負は不向き。ゲートは上手いが今後の距離の融通性を見越して、あえて抑えめに出しているのかもしれない。
 桜花賞は見せ場なし。邪魔しないようにただ後方の外々を追走しただけ。本当に何もしていない。

⑯ジャンタルマンタル A
 前走皐月賞 3着 3番人気
 馬体重は490kgと大きい方。馬体のスケールは、マイルレンジにおいては世代屈指で、3歳春にして古馬の風格すら漂わせる。
 ゲートは抜群に上手い。ダイナミックなフォームでも二の足が速く、すかさず好位を確保できるのが最大の長所。
 溜めても切れるが、出たなり番手なりの競馬をさせないといけなかったので、逃げ馬が早々に垂れると嫌でも早め先頭に立たざるを得ない。そういう意味では、2000mの距離を考えると、もう少し中団寄りでも良かったのかもしれないが、勝ち馬があのポジションだから、どちらにしても分が悪かった。
 超高速馬場だったとはいえ、先行して早めに押し切ろうとする形が作れたこと自体がとんでもないこと。本当に強い。現状は1600~1800mがベストディスタンス。

⑰ユキノロイヤル C
 前走ニュージーランドT 3着 9番人気
 道悪が得意そうでも、1600mが合ってそうでもなく、イメージに反した競馬で連続好走。NZTは馬場が悪すぎて差し馬勢が脚を失ったおかげで残せただけ。
 スタートは上手。今回はゆったりとハナか番手。その内に入ったジャンタルマンタルのいい壁となってくれれば言うことなし。

⑱アルセナール B+
 前走クイーンS 2着 3番人気
 柔らかくしなやかな動き。薄みで瞬発力を生み出しやすい構造。非常に見栄えが良い。エッグハミを装着していることからも分かるように性格もエレガント。
 レースは前半から掛かった馬にもみくちゃにされ、最後の直線も同じく内から外から挟まれて脚をロス。本来はもっと伸びて楽に勝ち負けできたはず。
 久々でもデキはすごく良さそうで、大外枠もまた不慣れな環境においてはプラスにでると判断したい。

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