渡辺創太さんインタビュー翻訳 1/2|Web3 Revolution Podcastより。

アスターネットワークの渡辺創太さんが、Web3 Revolution Podcastでインタビュー(英語)をなされていたので、日本語翻訳で書き起こしてみました。


全体を通して、渡辺さんの情熱、そして想いを形にする具体的な方法を語られており、とてもモチベーションが上がり参考にもなるインタビューでした。

Podcastのインタビューは、46分の内容でした。
本記事では、スタートから19分43秒までを翻訳文字起こししています。

反響が多ければ、後半も文字起こしをしようかなと考え中です。

では、どうぞ。

*注意:かなり入念に聞きましたが、誤訳・誤字などあればすみません。気づかれた方は、ツイッターなどでご指摘いただけると幸いです。
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インタビュー翻訳


司会者:
みなさんこんにちは。Web3 Revolutionにようこそ!Web3 Revolutionは、次の世代のインターネットを探求する団体です。私たちは、思想家、サービスビルダー、アクティブに活動する方々を招いてお話をしています。このポッドキャストは知識の提供のための内容であり、投資助言ではないことをご承知おきください。私は、本日の司会者のHanaです。そして、共同司会者のHeheを紹介します。

司会者:
皆さんこんにちは。Heheです。

司会者:
本日のとてもユニークなゲストをご紹介することにとてもワクワクしています。渡辺創太さんです。彼は、日本のWeb3業界で最も有名な方の一人で、日本のブロックチェーン協会の理事も務められており、2022年のフォーブスのアジアの30歳以下の30人にも選出されました。そして、彼はアスターネットワークの創業者兼CEOです。アスターネットワークは、マルチチェーンの未来の入り口を作るようなプロジェクトで、複数のレイヤー1のチェーンをPolkadotを通して連結するということをされています。
本日、渡辺さんをお招きしたのは、渡辺さんは日本のWeb3業界でパイオニアとされている人の1人だからです。今回は、日本におけるWeb3の実態や、日本の経済や文化、そして彼の日本の総理大臣にWeb3を説明されている経験やロビー活動について伺っていきたいと思います。とても楽しみですね。では、初めていきましょう。

司会者:
創太さん、こんにちは!

渡辺:
お招きいただきありがとうございます。私もこれからお話しするのを、とてもワクワクしています。

司会者:
では、最初に渡辺さん自身のことと、あなたのプロジェクトのことを皆さんにご説明ください。

渡辺:
みなさんこんにちは、アスターネットワーク創業者の渡辺創太です。アスターネットワークはPolkadotのマルチチェーンスマートコントラクトハブのプロジェクトです。EVMやWebアセンブリをサポートしており、開発者インセンティブを設定しています。
ここからは少し技術的なお話になるのですが、なるべく簡単に説明します。ブロックチェーンはまだ繋がっていません。実際は繋がっているのですが、もし私がチェーンAからチェーンBに送金したとしたら、時間がかかり、手数料もかかります。
インターネットも2、30年前には繋がっていませんでしたが、今は繋がっています。だから、我々は同時通信的に、会話ができているのです。ブロックチェーンやプロトコルも、より良いユーザー体験を提供するためには、繋がる必要があります。だから、我々はPolkadotにて、ブロックチェーンを繋げる活動をしているのです。Polkadotには、その心臓部となるリレーチェーンと、固有のロジックで動くパラチェーンが存在しています。パラチェーンは、リレーチェーンに接続することで、相互運用が可能となります。しかし、Polkadotリレーチェーンは設計として、スマートコントラクトをサポートしてはいません。だから、Polkadotエコシステム内の人々は、スマートコントラクトのハブを必要としているのです。それが、我々が今つくっているものです。
我々がサポートしている、スマートコントラクトはEVMとWebアセンブリで、将来性はWebアセンブリの方にあると思っています。でも今はEVMも重要で、多くの開発者がEVM上にプロジェクトを開発しています。我々は現在、これら2つをサポートしていて、EVMからWebアセンブリへの変換もサポートしています。これが、今取り組んでいることですね。

司会者:
素晴らしいですね。
プロジェクトの内容をご説明いただいたので、より詳細に見ていくと同時に、日本におけるWeb3の実態と環境を教えていただきたいと思います。
先月、日本政府は、日本で、暗号資産やNFTやDAOを含むWeb3をより広げていくための環境を整備すると決めたようですが、渡辺さんは総理大臣と対話をしたり、ロビー活動を行う役割を担っているそうですが、あなたの力を入れていることや政府の反応などを教えていただけますか?

渡辺:
最近、日本政府はWeb3を国家戦略と定めました。日本での状況は数年で変わってくると思います。このようなムーブメントの一部になれていることはとても嬉しいことです。Web3には、とても大きなチャンスがあります。日本は30年前にはナンバーワンでしたが、Web2の時代には、企業価値という点で、完全に敗北しました。Google, Amazon, Faceboo、やアリババ、テンセントなど中国の企業がインターネットを支配している状況です。日本の企業はそこにはいません。日本の最大の企業はトヨタですが、時価総額ランキングだと、4、50位くらいです。Web2の巨大企業はありません。国家戦略においては、Web2では完全に敗北したので、Web3では成功をおさめることがとても大切です。だから、日本政府はWeb3を国家戦略に据えました。岸田総理は、新たな資本主義を主張しています。Web3とDAOは新しい資本主義に合っています、なぜなら成長の過程で、透明性の高い分配を実現できるからです。それが、日本政府がWeb3を国家戦略に掲げる理由ですね。でも、残念ながら、日本の企業家はまだ十分にはこの業界で成功はしていないので、私はパイオニアになろうと思っています。

司会者:
お話しいただいたことを深掘りすると、日本はWeb2の時代に成功をおさめることができなかったとおっしゃいましたが、それはなぜだと思いますか?また、日本のWeb3起業家が成功するために必要なサポートとは何だと思いますか?

渡辺:
いいご質問ですね。
最初の質問の答えは2つあります。1つ目は、日本の経済は巨大だからです。他の国と比べたら大きくて、世界経済と比べたら小さいのですが。日本の企業家は、上場することができれば大きなお金を得て、富豪になることができます。マインドセットが良くないんだと思いますね。

司会者:
十分に野心的ではないということですかね。

渡辺:
そうですね。アグレッシブではないと言えます。
もし、十分にアグレッシブなら、グローバルにビジネスを展開するはずです。ただ、3、40年前、もしくは20年前でもそれで良かったのです。ただ、日本の社会は(少子)高齢化が進み、市場が縮小しているので、それではダメになってきています。我々には、グローバル経済で勝つ企業のような、希望が必要です。
そして、これが私がアスター(Astar)と名付けた理由です。Astarは「A Star」(星)というように名付けています。私たちは、希望の星になりたいわけです。

司会者:
なるほどですね!

渡辺:
2つ目の理由は、税制と法律ですね。これは少し複雑ですが、日本では未実現の利益に税が発生するため、税制は明らかに妨げる要因となってしまっています。もし我々がトークンを日本で発行して、評価額が10億ドルとなったとしましょう。会社は5億ドル相当のトークンの50%を保有しているとします。初めから全てのトークンを分配してしまうことは不可能ですからね。実際、会社はステップバイステップで、保有しているトークンを減らしていきます。50%から0%にしていくということですね。しかし、最初の時点で、10億ドルの評価額で、50%にあたる5億ドル分のトークンを保有したら、一般的には12月に来る法人の期末に、この5億ドルに税金がかかってしまいます。法人税はだいたい30%なので、1.5億ドルの税金がかかるということですね。これは、トークンの評価額のお話です。アスターネットワークの評価額が10億ドル、ということです。
ただ、我々は、1.5億ドルに相当する日本円という法定通貨で翌年に税金を支払わなければいけません。
シンガポールやアメリカでは、未実現の利益には税金がかからないので、税金は0ドルです。
もし私が日本でこのビジネスをやったら、会社は最低でも4,5回は破産してしまいますね。

司会者:
税金で破産、ということですね。

渡辺:
そうです、破産ですね。
だから我々は日本からシンガポールに移りました。だから、世界中に、日本の有名な(Web3の)企業が存在しないのです。

司会者:
そうですね、日本と中国では、Web3起業家には向かい風となる状況であり、彼らはシンガポールに移りビジネスをするという状況がありますね。
日本のWeb3の状況に戻って、日本のWeb2企業で働く若い人はあまりWeb3に興味がないということを書いた記事を読んだことがありますが、一方で、私は、日本の熱狂的なNFTプレーヤーやNFTホルダーを見てきました。あなたの観測範囲では、どちらが正しい感覚がおありですか?

渡辺:
1つ目のお話も正しいと思いますね。Web3に興味がある人は確かにいますが、数は十分には多くありません。理由としては、成功したWeb3プロジェクトが日本にはあまりないからでしょう。だから、私は、成功したプロジェクトを作ろうと思いますが、まだ十分ではありません。次の2、3年では、世界的に見ても成功したプロジェクトになりたいと思います。それにより、シンガポールから日本に希望を持ってきます。2つ目のお話ですが、NFTは日本人にとって最大のチャンスの1つとなるでしょう。その理由は、日本には多くのアニメや漫画などがあり、日本人はものづくりに長けているからです。NFTの分野をみると、巨大なチャンスがあると私は感じます。なので、政府はNFTの領域においても、ガイドラインを作らねばなりません。明確な法律と、明確な税制を打ち出してもらうことが、NFTプロジェクトには必要なのです。

司会者:
まさしくその通りだと思います。
私たちは、日本のある村のNFTである、Nishikigoi NFTのホルダーなのですが、これは日本語で地方創生と呼ばれる、地方のローカル経済を活性化させるための取り組みです。私はこれはとても画期的だと思います。世界中の注目を、日本の村である山古志村に集めたのですから。
私は、政府のこのようなデジタル居住権に対する態度にも、とても興味があります。

渡辺:
私はこれは、社会にとって好影響をもたらす、NFTの応用的な使い方だと思いますね。多くの人は、お金を稼ぐためや、娯楽としてNFTを購入します。このNFTの使い方は、共益的ですよね。政府は、お金を稼ぐためのプロジェクトよりも、社会的に良い影響をもたらすプロジェクトを推進しようとするので、これは政府を動かすようなとてもいいユースケースだと感じます。
今回のケースだと、お年寄りの多い、とても小さな村がNFTを発行しました。マンパワーはあまりない状態です。このプロジェクトでは、村を運営するための資金を、NFTを通して、世界中から集めたということになります。このNFTを持っていたら、村の会議やイベントに参加したり、デジタル投票権を得ることができます。この村の進むべき方向性を決められるということですね。とても良いユースケースだと感じます。

司会者:
あなたのお話だと、日本政府はこのようなプロジェクトを他の多くの地方に推進していくということですか?

渡辺:
そうですね。
日本政府の政策をつくる方々は、いつもこのユースケースの話をしていますね。

司会者:
そうなんですね。興味深いですね!
私もいつか山古志村で引退後の生活を送ってみたいものですね。

渡辺:
いいですね!

司会者:
山古志村のデジタル住民のお話をしてきましたが、ここでそのディスコードを見てみると、これはすごくキュートなコミュニティです。野菜が育っていることが投稿されていたり、心で繋がっていることがとても感じられますね。

渡辺:
そうですね。日本は、高齢化の速度が最も速い国の1つなので、山古志村だけでなく、他の村でもこのような活動を広げていくのが大切だと感じます。

司会者:
(このDAOについて言及。あまり聞き取れませんでした。以下、話題が変わる。)
日本の仕事の文化はかっちりしていて、スーツをきた人が東京の街を走っているイメージがありますが、DAOは日本のこのような状況を変えると思いますか?どのようにDAOは、日本に適合していくのでしょうか?

渡辺:
とてもいいご質問ですね。
現在の日本社会は、階層社会となっています。最近日本政府の発表したレポートを見たのですが、日本の15歳の若い人たちはとても優れた能力があるのですが、大学を卒業して就職するとマインドセットが大きく変わってしまうようです。彼らは、なるべく早く引退することを望むようになり、平日よりも休日を楽しみにするようになります。心持ちが、かなり変わってしまうということですね。私は、DAOは日本社会にうまく適合すると思います。ただ、日本は先進国のうちのひとつで、人々はかっちりした会社で働いているので、発展途上国よりはDAOの適合スピードは遅いのではないでしょうか。アスターも一種のDAOで、世界中で360,000のアドレスが存在していて、ディスコードのメンバー数は10,000以上です。我々は、コミュニティの参加者にアスタートークンを分配しています。彼らは、南西アジアの人々だったり、アフリカの人々だったり、はたまたアメリカの人々だったりします。彼らは、アスターネットワークのDAOに貢献することで、トークンを得ているのです。彼らの平均の報酬は、300ドルだったり700ドルだったりします。それは、アメリカに住んでいたり、日本に住んでいたりしたら、報酬としては小さな額です。ですが、もし発展途上国に住んでいた場合は、300ドルは大きな違いを生み出します。

司会者:
それは月の報酬か、週の報酬かどちらですか?

渡辺:
月ですね。
300ドルでさえも、発展途上国の中でも発展がまだ進んでいない国なら、大きな違いとなるのです。私は、DAOだったりこのようなワークスタイルは、先進国ではなく、発展途上国から広がってくると思います。7,000ドル分のアスタートークンを1ヶ月で稼いだ方がいらっしゃいました。状況は変わってくると思うの、今後より多くの人がDAOで働くようになるでしょう。日本では、社会は固定化されています。人々は働き、自由時間をDAOで楽しむようになるのかもしれません。しかし、将来的には人々は複数のDAOで働くようになります。DAOで働くことで会社で働くよりも稼ぐことができるので、アーリーリタイヤをできる人も現れるでしょう。

司会者:
DAOではリモートで働くなど、働き方の柔軟性もありますね。これはDAOが受け入れられるステップの足がかりになります。人々は、家からでも働けるし、オフィスに行くこととは、仕事の文化がまったく違うことに気づくでしょう。

渡辺:
そうですね。DAOのマスアダプションのためには、少しDAOのツールが必要だと感じます。税金計算のツールであったり、契約関連のツールであったり、法律面のツールなどですね。なぜなら、会社に依存している人々にとって、現在DAOで働くのはとても大変です。会社は、社員に色々なサービスを提供してくれています。税金計算や、契約の準備などですね。でも、もしDAOで働いたら、現時点では、そのようなサービスは受けられません。なので、人々がDAOで働くことを助けるようなツールが必要なわけです。


(続く)


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