高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【459】

妄想家・夢想家無名居士の夢物語の記録です
無名作家高山のエッセイ「ガーターベルトの女」の映画化芝居化・・・
その他いろいろ作品化できれば
なんて途方もない夢を観ています

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📖 高山のエッセイ〜映画『シー・オブ・ラブ』と、『恋のためらい/フランキーとジョニー』 アル・パチーノ 雑感

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映画『シー・オブ・ラブ』は、アル・パチーノが九十年代に入り、再び快進撃を開始する予感をさせた映画だと思います。


アル・パチーノの映画の中では佳作ですが、当時ビデオ店に居た僕は、アルパチーノの新作が入るよと言われて楽しみにしてました。

そのレンタルビデオ店には店長の人が、当時の僕より十才程歳上の三十才位です。


他のお店を任されてて、僕らの店には偵察がてら来てましたね。


昼間にほとんど来て、たまに昼御飯を奢って貰ってました。


人から聞くけど若い頃は相当悪かったようですが、僕には優しかったし。二十一とか二十二歳の僕には随分大人びて感じましたね。


二十代からすると、三十代とか大人だなと勘違いしてましたよ。


その人がアル・パチーノ好きで、僕より一つ年下の店長代理の男も好きでしたね。

三十代のその人の影響でしょうね。

当時は、時間が開いたらモニターテレビを何台も置いてて、好きな映画は見られましたからゴッドファーザー等は何度も観てました。


夜は、学生のアルバイトが多くて雰囲気変わったけど、昼は昼の良さが有りました。


夜は夜の楽しさがあったんですがね。


皆若いし、女のアルバイト居ないしで楽しかったですよ。


青春ですね。


アル・パチーノマニアとしましては、『シー・オブ・ラブ』を今回紹介します。


1989年のアメリカ公開ですが、僕がビデオで観たのは1990年代の初頭でしょうね。


今ほどビデオになるのが早くなかったし、ビデオになるのも何でもなるって事ではなかったですよ。


ある程度のレベルがあるか、知名度があるかですね。


知名度が有れば、え!?ってのも入ってきましたけどね。


複数本入るのは、やはり大きな興行会社で主役も有名な人です。

この頃流行ったのが、アーノルド・シュワルツェネガーとマイケル・J・フォックスですね。


落ち目になりかけてたのが、シルベスタ・スタローンでした。


今でこそシュワちゃんとスタローンは共演するけど、当時はシュワちゃんがスタローンを追い落としたように見えましたね。


トム・クルーズも若くして上がって来てたけどね。


マイケル・J・フォックスは、病にならなかったらどうなってたでしょうね。

マイケル・J・フォックスはバーキンソン病を患ったらしいけど、今でもまた違う方面で活躍してるようで良かったです。

とにかく、当時はマイケルは沢山出てましたね。


好きな俳優でしたけどね。


エディ・マーフィーも、『ビバリーヒルズ・コップ』等のヒットで人気有りました。


そういう状況では、アル・パチーノもロバート・デ・ニーロも既に御大的な存在でした。


そりゃ四十代後半ですからね。


今でこそトム・クルーズ等は五十代になってもアクションスターをやってるけど、当時はそういう人は居なかったです。


アル・パチーノの映画で店で繰り返して観たのが、やはり『ゴッドファーザー』です。

僕らも若いから、ギャング映画の陰謀とかに憧れたんです。


実は壮大な家族映画なんですけどね。


もう一つ、良く流したのが『仁義なき戦い』シリーズです。


こちらも刺激的でしたね。


若い頃の、キレてる菅原文太はかっこ良かったです。


僕は、『ゴッドファーザー』を観てから。店にあるアル・パチーノの映画を観ます。

ロバート・デ・ニーロもそうやって入りましたね。


『スケアクロウ』や、『セルピコ』や、『狼たちの午後』はお気に入りでした。


ロバート・デ・ニーロは、『タクシードライバー』で完全にやられました。


今でもベストの映画は『タクシードライバー』、『ゴッドファーザー』、『スカーフェイス』、これがその時によって変わります。


最近ので言えばレオンとかも入ってきますが、この辺りには勝てないのは、自分自身が若い頃に観たからですね。

レオンも充分旧いけどね。


前置きが長くなりました。


『シー・オブ・ラブ』ですが、ニューヨーク市警に勤める疲れた中年の刑事を、アルパチーノが好演します。


同僚に妻を寝取られてて、中年の疲れや焦燥が出てます。

そういう時に連続殺人事件が起きます。


アル・パチーノ扮するフランクは、部署は違うけどジョン・グッドマン扮するジャーマンとコンビを組みます。


男がうつ伏せで撃たれて殺されてるですが、セックスの後なんですね。

そこに、『シー・オブ・ラブ』の古いドーナツ盤が掛かってるという共通点が有ります。


もう一つの共通点が、被害者が新聞の出会い系と言っても良い欄に、詩を必ず投稿してるですよ。


ここから囮捜査を、ジャーマン刑事とフランクがやり始めます。


自分達も詩を投稿して、女性と会うんですよ。


そこから、現場に残された指紋と照合する為に、相手のグラスを必ずチェックします。


この捜査は、最初は上からダメ出しされるけど何とか通ります。

新聞の投稿が出会い系になるって時代を感じますし、来る女達が何処かしら孤独を抱えてたり、アル・パチーノの正体を何となく怪しんだりって辺りも面白いし、ニューヨークの風俗を感じます。


そういう中に、エレン・バーキン扮するヘレンが居ます。

新聞の投稿の出会い系を見て来ますが、誰でもそうなんですが、出会い系と言ってもイヤらしさは無くて、女性達が孤独をもて余してるんですよ。

エレン・バーキンとは、その場では上手く行かないんですね。


後に恋人として付き合います。


だけど、エレン・バーキン扮するヘレンの指紋は採ってないんです。


もしかしたら連続殺人犯か、と疑いながら付き合います。


この映画は、ジョン・グッドマンも相変わらず良いんですが、エレンバーキンですね。


エロチックサスペンスを大いに盛り上げます。


このエレンバーキンが美人かと言えば美人ではないけど、なんと言うかセクシーパワーが凄いです。


この映画の難点で言われてたのが、サスペンス部分が弱いって事です。


だけど、アル・パチーノとエレン・バーキンを観れば良いんです。


そして、ニューヨークと言う世界最大の大都市の孤独を感じたら良いんです。

ストーリーは調べたら分かります。

後のマイケル・タグラスとシャロン・ストーンの『氷の微笑』と少しだけ似てますが、あそこまで露骨なエロさはないですね。

僕がとても好きなシーンは、エレン・バーキンは靴屋の店員です。


高級な靴屋です。刑事などは行きそうも無いところです。


アル・パチーノは、印刷業をしてると嘘をついてます。

ふとその靴屋に、アル・パチーノが寄るんですよ。

エレン・バーキンは嬉しそうに、どういう靴にするかと接客します。


そこに街のギャング達が入ってきます。


チンピラですが、羽振りは良いんです。


前に置いてたあの靴はないのかと騒ぎます。


ソファーに座ったアル・パチーノは、彼らをじっと見ます。


目線を逸らしません。


相手もアル・パチーノに気付きます。

そこで、アル・パチーノが刑事って、相手には分かるんですよ。


このシーンでエレン・バーキンにもバレるけど、アルパチーノの迫力ある目線がとても良いです。


ソファーに座りながらも、相手を完全に威嚇してる感じです。

この映画は、当時はアル・パチーノ老けたなと周りは言いましたが、そりゃ『ゴッドファーザー』ばかり観てたら老けてますが、僕は追いかけてましたから、特に老けたと感じませんでした。


アル・パチーノが疲れた中年をやりながらも今見ると、アル・パチーノ独特の迫力が伝わりますね。


それとエレン・バーキンのエロさです。


特に、今四十代後半に自分自身がなって観ると、あーこの女にハマるよな、と思いますよ。


アル・パチーノの完全な復活作とまでは行かないけど、復活の予兆が有りますし、当時の風俗も良いし軽く観られるけど、何故か何度も観たくなる不思議な魅力のある映画です。

『オーシャンズ』シリーズ(注:『オーシャンズ13』)でアル・パチーノが出た時に、エレンバーキンが共演してますが、『シー・オブ・ラブ』のような魅力は、あの映画には二人とも無いですね。


それとアル・パチーノはニューヨークが似合います。


他にもニューヨークを舞台にした映画に出てるけど、似合いますね。


是非とは言わないけど、個人的にはアル・パチーノの分岐点的な映画で好きですよ。


ニューヨークを舞台のアル・パチーノの、もう一つの佳作も紹介します。

『恋のためらい/フランキーとジョニー』です。


『シー・オブ・ラブ』と、この映画の間に『ゴッドファーザー パート3』と、『ディック・トレシー』が有りますね。


『ディック・トレシー』は悪ふざけです。


そして、この映画の後に前に紹介した『セントオブウーマン/夢の香り』が有ります。


やはり、この時期が転機ですね。

『恋のためらい/フランキーとジョニー』は、今までのアル・パチーノと少し違います。

何がと聞かれたら、狂気のような物はないんですよ。


ラブストーリーです。


それも、『スカーフェイス』で共演した、ミッシェル・ファイファーと再びです。


これは七十年代に、何度かギャング或いは刑事からの脱却を計ったアルパチーノですが、失敗してます。


『喝采の陰で』とかは、見事に外しましたね。

昔、ビデオで二三度観ただけですが、狂気性のないアル・パチーノにうんざりしました。


アル・パチーノファンの僕でもです。


しかし、『恋のためらい/フランキーとジョニー』は、見事に成功してますね。


脚本とミッシェル・ファイファーのお陰かもです。

傑作『スカーフェイス』では、お人形さんのようなミッシェル・ファイファーも、ここでは孤独を抱えた女性を好演します。


ミッシェル・ファイファーも美人かと言えば微妙ですね。


細すぎますしね。


しかし、そういう身体的特徴がこの映画では生かされてますね。


心を閉ざしてしまった、三十代女性ってのにあってます。

アメリカでは、『フランキー&ジョニー』って曲が有名なようですが、それは抜いて話します。

アル・パチーノ扮するジョニーは、ケチな犯罪で刑務所から出てきたばかりです。


ここで、今までのアル・パチーノならこの犯罪者の部分がクローズアップされますが、今回はそれはされません。


料理が上手い事から、ニューヨークのレストランに紹介状持って行きます。そこで雇われます。


ここでミッシェル・ファイファー扮するフランキーと出会います。レストランのウェイトレスをやってます。


彼女は過去に、男関係で傷を抱えてます。

アル・パチーノは積極的にアタックしますが、なかなか上手く行きません。


そして、レストランの人達の人間模様も丁寧に描かれます。

成功するのも居れば、死んでしまうのもいたり様々です。


アル・パチーノの積極性に一時は心を開くのですが、そうそう単純に行きません。


ニューヨークの孤独の部分も描かれてます。


アル・パチーノは、こういう映画は無理だと思ってたら、非常に上手く演じます。


九十年代初頭のニューヨークもまた、『シー・オブ・ラブ』と微妙に変わってて良いですよ。


ミッシェル・ファイファーは、これからは男は要らないと言って、ビデオを観るとか言います。

この辺りは、九十年代初頭だなと思いますよ。


カウチポテトと言う言葉が流行った頃です。

これは、ソファーに座ってビデオを見たりするのが日本では当時は流行りとされましたが、様々な捉え方有りますね。


今ならパソコンになるのかも知れないし、スマホでしょうかね。


そういう所も時代を感じるけど、古いとは思いません。


ミッシェル・ファイファーが複雑な女を演じて、それを何とかしようとするアル・パチーノ良いですよ。

アル・パチーノにも多少の陰は有るけど、今回は積極的な男を上手く演じてます。

それと、ニューヨーク独特の孤独が、実は色濃く出てます。


色々な点で、『シー・オブ・ラブ』と対をなすように思いますよ。


アル・パチーノ完全復活前、ニューヨーク、エレン。バーキンとミッシェル・ファイファーと言う、女優の個性に引っ張られた映画。


僕は何度か観てるうちに、そういう風に位置付けてます。


エレン・バーキンとミッシェル・ファイファーは全くタイプが違うけど、この時期の二人は良いですよ。

それと、レストランの情景がリアルで楽しいです。

ニューヨークの当時のレストランの中って、こんなのなんだろうかと想像させますね。


わりとストレートなラブストーリー映画ですが、アル・パチーノ上手く演じてます。

劇中でアル・パチーノが、バンダナをしてるのも何とも似合います。


五十代にして、やっとこういうのもやれるのねと思いましたね。


『シー・オブ・ラブ』も、『恋のためらい/フランキーとジョニー』も佳作ですが、アル・パチーノに興味のある人は観て欲しいです。


悪くないですよ。

と言うより、軽く観るなら良いですよ。

『ゴッドファーザー』は、なかなか敷居が高くて観られないって人にはお薦めします。


補足、『シー・オブ・ラブ』は何度も観てるのですが、ストーリーを少し忘れてるかもです。間違いが無いようにとは思って書いてますが、多少の間違いは許して下さい。


おわり

📖無名居士のたわ言・・・音楽でひとあそび〜梶・美千子 愛のテーマ~テレビドラマ「人間の條件」より

 理由(わけ)

本当の愛・・・
連想したのは昔のテレビドラマ
加藤剛が主演した「人間の條件」
毎回裸の男女が抱き合った彫刻の
映像から始まったように記憶している

恐らくはロダンの作だろうと推測していたが
具体的なタイトルを調べてみようとは思わなかった
今回調べて・・・それが「接吻」と題されたロダンの作品と知った
偶然なのは最近読み始めたダンテの「神曲」に縁があるようだ
その詳しい事まで調べると収集がつかなくなりそうなのでやめておこう

ドラマ「人間の條件」に関連して
梶・美千子 愛のテーマ 曲 竹村 次郎・・・という記事があった
ギター演奏だと思うが・・・その曲を聴くことができた
ギター演奏といえばどうしても映画「禁じられた遊び」の
テーマ曲「愛のロマンス」を思い出してしまう

YouTubeにその動画があるか調べてみよう
KISS 2018年〜ロダンの接吻 日本初公開を記念して

【413】本格的TVワイド映画 人間の條件 テーマ音楽

📖 高山の作品から〜「濡れる穴の中 23 新人」

トンネル現場は、フリーの作業員の集まりです。

信頼できる人からの紹介とかで初めての作業員が来たり、信頼できる人から頼まれて来たりもします。

今回の作業員は、信頼してる作業員からここで鍛え直してくれないかと言われて、どの程度か聞いてそれなら一応使って見ましょうと言うので来ました。

年齢は三十歳ですが、うちで掘削班に入れるには経験も足りないし免許関係も足りないので、とりあえず雑工でですね。

事務所に挨拶に来たんですが、いかにもいきがってる感じですよ。

長袖のシャツの腕を捲って、タトゥーを見せながら来ましたよ。

僕から見たらそういう態度は馴れてますから、馬鹿馬鹿しいのと笑えますね。

思わず、ニヤニヤ笑ってしまいましたよ。

僕の昔からの悪い癖で、にやける事で相手が馬鹿にしてると思うようなんですが、もう治らないですね。

三十歳の彼も僕には、わりとおとなしくして、ここでの規則とかやり方を聞いてましたね。

信頼できる作業員はベテランですし、僕の事は伝えてたんでしょうね。

事務所にナンバー2のえり子ちゃんが居たから、細かい事はお前が伝えろと言って業者と電話してました。

えり子ちゃんは、過去に「濡れる女子事務員」シリーズに出る女性です。

えり子ちゃんがナンバー2だと彼には伝えてたから、大丈夫だなと思ったからですね。

しかし、電話しながら様子を見てると、女性だと完全に舐めてるんですよ。

まあ、彼女が若い女性でって有るでしょうが、露骨に舐めてて足を椅子の上に置いたりしてました。

僕は、業者と電話が終わってそこを通りながら、お前なあこの人を舐めるのは、俺や会社を舐めるって事だぞと軽く釘だけ刺しました。

そう言うと、椅子から足を下ろして分かりましたと一応答えたので僕は、後をえり子ちゃんに任せて車で現場に向かいました。

しかし、後からえり子ちゃんに聞くと僕が居なくなるとやはり態度が悪かったらしいです。


それなら、少し経ってからえり子ちゃんの実力を見せてやろうですよ。

このところの彼女の成長は、著しい物が有りますよ。

現場仕事での実力が相当上がってるから、三十位のまだまだ経験不足の作業員なら、彼女の方が上だろうと僕は思いましたからね。

それは、確信に近いものが有りましたね。

それで、彼と僕とえり子ちゃんでトンネルの風菅を伸ばすぞと言いました。

この仕事は、トンネル内に風を入れる為の厚いビニールで出来た風菅を伸ばして行くんですが、本来は二人でやります。

一人でもえり子ちゃんも僕も出来ますが、とにかく急ぐから二人が良いんですよ。

そこを三人でですね。

僕は、風菅や取り付ける金具等が何処に有るかを彼に伝えました。

彼も入って一週間程でしたから、場所は分かってましたね。

後は、高所作業車が空いたら一気に行くぞと言いました。

えり子ちゃんや僕には、余裕の仕事ですね。

僕は、ある程度見ててやろうと思ってましたよ。

しかし、いざ高所作業車が空くと彼が運転したんですが、何故そこに停めるって所に停めたのでアホかと怒り、場所を変えさせました。

トンネル内は重機やダンプが動いてますし、風菅を一時的に停めただけでも土埃で見えにくいんですよ。

そういう時には、安全を確保しながら急ぐ事が鉄則ですね。

しかし、いざ停めて道具や風菅を僕とえり子ちゃんが高所作業車の乗る所にきちんと移したのに、高所作業車が動かせないんです。

三十歳の彼は、高所作業車の脚を出してきちんと安定に出来ないんですよ。

四本の脚があってそれが、出て安定させるんですが、出来ないんですね。

僕は、高所作業車の資格を持ってますが、雑工や坑夫なら誰でもこれを扱えますが、彼は扱えないんですね。

えり子ちゃんが急いで行くと安定させました。

僕は、お前はアホかと男に怒鳴りましたね。

この仕事は、トンネル屋なら誰でも出来ますが、いかに手際良く早くやるかで他の事をやらせても、どの程度かある程度分かります。

しかし、それから風菅を持って上がってもモタモタしてるんですよ。

僕は、下に居ましたからね。

えり子ちゃんが途中で一人でやるから邪魔しないで!と怒ってましたね。

僕でも怒ると思いますし、そのくらい坑内での仕事って言うのは、時に厳しいんですよ。


終わって片付けても男が運転しようとするのをえり子ちゃんが割り込むようにして運転して急いで外に出ました。

出たらのんびりですが、僕が風菅一つもまともに着けられないで、偉そうな態度を取るなよと言いました。

えり子ちゃんは、黙々と片付けながらもやはり怒ってましたね。

そりゃ、普通は出来る事をまともに出来ないのに、態度だけは大きいのには怒りますよ。

すると、その男の言い訳が、今まで女なんかとこういうのした事が無いからやりにくくてと言いました。

僕は、つくづくこのアホがと思いましたが、言わずにしばらくしたらこいつは切ろうと思いました。

しかし、えり子ちゃんは、女なんかとと言われたのがカチンと来たんでしょうね。

出来ない人に限って何々だからと言い訳する。言い訳だけでもしなくて謝れば良いのに、と言いました。

その通りなんですよ。

言い訳するならすいませんでしたと言えば、こちらも人間ですから仕方ないかとなるんですよ。

すると男は、怒ってえり子ちゃんに向かって偉そうにと言いながら、後ろから肩に手を置いて彼女を自分の方に向かせようとしました。

えり子ちゃんは素早くその腕を取ると、腰に乗せて一本背負いのように投げました。

投げるとそのまま腕十字に入って、間接を極めてしまいましたよ。

男は、中肉中背で体重は六十キロは有りましたが、四十数キロのえり子ちゃんに完全に圧倒されました。

僕は、苦笑いしながらも男の腹を一発蹴るとえり子ちゃんに、離してやれと言いました。

男は、唖然としたようで投げられた背中も痛いし極められた腕も痛いし、僕から蹴らたのも痛いしで座りこんでました。

周りに居た他の雑工や元請けの職員もえり子ちゃんの強さと、男の情けないのに驚いてましたね。

男は、立ち上がると又えり子ちゃんに向かって行こうとしかけたので、僕が後ろから思い切り蹴りましたよ。

そして、お前はもう要らないから帰れと言いました。

僕が後ろから蹴らなかったら、えり子ちゃんに確実に返り討ちにあってましたね。

男は、僕の方を向いて一瞬だけ向かって来そうな顔をしましたが、勝てないと分かったのかふて腐れたように、分かりましたと言いました。

僕は、他の雑工を呼んで、こいつを宿舎まで送って今日の間に帰らせろと言いました。

そこに、その現場のうちの所長が用事からたまたま帰って来たので簡単に事の次第を説明すると、宿舎まで送れと言いました。

所長は、辞める手続きは俺がやりますよと苦笑いしながら、分かりましたと答えました。

結局彼は、その日のうちに辞めましたね。

僕は、紹介したベテランの作業員に簡単に説明して、あんなの紹介するなよと言いました。

ベテランの作業員は、いやぁすいませんでしたと謝ってましたね。

そして、あいつにきちんと言い含めておきますと言ってました。

多分、ああいう風だからここで鍛えて欲しかったんでしょうが、あの態度では何処でも難しいでしょうね。

態度もですが、実力もですね。

僕が、彼の立場ならトンネルはほとんど知らないので頑張りますと入って、とにかく謙虚に周りの言う事を聞いてコツコツやったでしょうね。

そういう風にして四十代から本格的にトンネルに来て、今では掘削班の一員になってるのが居ますからね。

いきがっても、こういう世界は上には上が必ず要るんですよ。

入って来る時は、特に謙虚にですよ。

自分自身、若い頃あちこちで揉めましたが、入って来る時や辞める時は例外を覗いて、とにかく謙虚にでしたからね。

しかし、その後が面白かったですよ。

その現場は、えり子ちゃんが強いのは知っててもそこまで強いとはでしたから、何人もの坑夫や元請けの職員までが、自分もあんな風に投げてくれと志願したようです。

その現場は、まだ始まって数ヶ月で新しいメンバーが主でしたから、えり子ちゃんの事を詳しくは知らないんですよね。


えり子ちゃんは、休憩時間に何人も投げてましたよ。

皆、すげえなと驚いてましたね。

僕が行くとえり子ちゃんは、高山さんも投げましょうかと言うので、勘弁してくれと笑いましたね。

最後は、うちの所長までが投げられて、やっぱり強いなあと感心してましたね。

見た目は、細くて綺麗な今どきの二十代なので、そのギャップに皆驚いたようですね。

僕は、まあ皆しばらくしたら見た目に騙されずに、この女の子の仕事での強さも本当に分かるだろうなと思いましたね。

ある意味えり子ちゃんには、良いアピールになって良かったのかもですね。


おわり

📖「ガーターベルトの女」の映画化のためにエッセイをお読み下さい・・・「新・ガーターベルトの女 3~ストリッパー」

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今回も、現在のMから聞いて思い出した話しを書くが、あの当時お互い若くてメチャクチャだったなと今では思う。

九十年代半ばの話しで、Mは二十四歳で僕は二十六歳だった。

Mの任されていた小さい古いスナックでそ、の日も親友のヤクザのAと三人で、色々な話しをしていた。

珍しく、店は暇だったのだろう。

Mが綺麗でも店は奥まった所にあったし、肝心のMが宣伝をまるでする気が無い為に、時々こうして暇になっていた。

Mは、水商売関係の人間とも極力付き合いを避けていた。

Mは、暇な事を喜んでいたのだから困った物だったと今では思うが、当時はそれで良かったのだ。

Mと二人でも話しは充分盛り上がったが、Aが居るとまた違う形で盛り上がりを見せた。

Mと僕だけでは、そういう広がり方をしない話しを、Aがしたからだろう。

Aと僕は同い年の為、当時十代の時からの話しで盛り上がってると、Aが段々と違う方向に話しを持って行った。

Aは、基本は無口だったが、三人になると時に雄弁になった。

Aは、今はこの世に居ないが、今思えば彼の中で最もリラックスして話せるのが、僕とMだったのだろう。

Mと僕との男女として付き合いは短い物だったし、その後の数年の、友達付き合いを入れても長い物で無かったが、Aはその中で時々僕らと会って、何かを発散して居たのだろうと思う。

Mと別れた後に、最も残念がったのはAだったのを思うと、三人の空間が彼には心地良かったのだろうと思う。

ある種の三角関係を、Aは楽しんで居たのだろうとも思う。

その日、色々話しているうちに、Aが福岡で二人で行ったストリップ劇場の話しを始めた。

初めてストリップを観たのは、就職で福岡に行った時で、一時期ストリップ劇場にはまって僕は良く行っていた。

Aも遠くから来て、それを楽しんだ事が何度かあったのだ。

Aは、珍しく饒舌に細かくストリップの様子を話した。

Mは、ストリップ劇場のシステム等を知らない為に、興味深そうに聞いていた。

しかし、僕はその後に京都でもストリップ劇場に行っていたが、福岡のその劇場は少し特殊だったと思う。

裏で数千円払うと、ロシア人を抱かせてくれたりしたのだ。

八十年代半ばとは言え、ギリギリの事をやってたと思う。

そこは、九十年代には潰れている。

Aは、その話しもしたが、それより僕が一人のストリッパーに夢中になった事を話した。

確かに、あるストリッパーに夢中になって、そのストリッパーが出てる時には通ったのだ。

そして、Aはストリップがどういう風に行われるかも話した。

Mは、面白そうにその話しを聞いていたが、その日は店が終わって会う約束だったのを、やんわり断って来た。

Aは、不味い事を話したかなと僕に言ったが、Mは嫉妬とは無縁だと思っていた僕は、そんな事無いよと笑った。

しかし、ストリッパーの事をやたらに綺麗だったとか言ってしまったのは不味かったかな、と少しだけ思った。

それから、しばらくしてMと買い物に出掛けた。

映画を観て、それからMの服の買い物に付き合った。

何時ものコースだったが、楽しかったしMは街で顔が知れてたので、遠くに行くのは気分的に良かった。

Mは、お洒落だったし、服を一緒に選ぶのも楽しかった。

スカートを試着室で着てると、僕をMは呼んだ。

僕は、多分似合うかの確認だと思って行くと、Mが広めの試着室に僕を引っ張り込んだ。

一瞬の事だった。

Mは、スカートを脱いでガーターベルトを付けて下着姿で、僕に身を寄せると身体をくねらせながら、ストリッパーってこんな感じなのと言った。

Mの身体が軽く当たりながら挑発してきたが、Mは笑いながら触ると大声出すからと言った。

Mの試着室での挑発は数分だったが、僕には長く感じた。

Mの吐息が耳元に当たり僕は興奮したが、こんな所でしなくても良いのにと困惑した。

困惑する僕をMは楽しそうに見ていたが、その目は何処か笑って無かったように思う。

その日は、ホテルに入ってもキスだけは許してくれたが、それ以上は駄目だった。

ストリッパーの話しをしてからキスはしたが、セックスは許してくれて無かったので、Mにストリッパーの事で嫉妬してるのかと聞くと、そうだよと意外な言葉が返って来た。

Mは、私だって人間だからね。とクスクス笑った。

それでもキスだけは許してくれ、それ以上に行こうとすると強く止めた。

ある意味、若い僕には、これは辛かった。

Mとのそういう生々しい事でAに相談した事は無かったが、この時はAに参ったと相談した。

Aは、真面目にそれを聞くと煙草に火をつけて、元々俺が要らない事を言ったから俺が何とかすると言った。

僕は、Aから痴話喧嘩なんかは知らないと言われると思っていたので、意外に思いながらも頼むと言った。

Aと言う男は、何とかすると言ったら意地でも何とかする男だった。

高校生の頃に、Aは既にヤクザの修行をしていたが、学校同士の揉め事があって違う学校の連中に、僕は何度も狙われた。

小さな街だったので、注意しててもどうしても会うために、なるべく集団で行動したが、一人の時に路地に引きずり込まれて何人もにボコボコにされた。

他の仲間もそういう感じで、やられたりやり返したりが続いたが、僕は面倒になっていたのでこの件を、何とか収められないだろうかとAに相談した。

Aは、この学校同士の闘争に関係無かったが、頼る所が無くてつい相談したのだ。

皆も長く続く闘争に疲れていたので、この当たりで相手と手打ちをしたい時だったが、どうやって手打ちが出来るか分からなかったから、Aに言うだけでもと思い言ってみた。

Aは、何とかするとだけ言った。

少ししてAから電話があり、例の件は大丈夫だからその代わりに、お前の高校の連中も相手に一切手を出さないように伝えてくれと言ってきた。

Aは、それだけ言うと電話を切ったので何が起こって大丈夫になったのかは分からなかったが、皆に手を出さないようにと伝えた。

その後、相手の高校生と会っても睨んで来るだけで、何も起こらなくなった。

後から噂で聞いたのは、Aは相手の高校のボスの家に一人でこっそり入って脅したらしい。

二階にあった相手の高校のボスの部屋にいきなり入り込んで脅したとの事だったが、Aがその事を全く話さなかった為に真意は分からないままだった。

Aは、昔からそういう男だったのだ。

死ぬまで、それは変わらなかった。

Aがそう言って少し経って、僕をMの店で飲んでいた。

その日は酔っていて、最後の店がMの店だった。

多分、Mとの仲が上手く行って無かったから自棄になっていたのだと思う。

幸いお客は帰った後で、閉めるまで三十分も無かったのでMは店の明かりを落とすと、鍵をかけて僕の隣に座った。

そして、コップに水を注ぐとそれを僕の頭に掛けて、酔っぱらいと笑った。

僕は、一瞬カチンと来たが、直ぐにMがタオルを出して頭や服を拭きながらキスをしてきたので、黙っていた。

Mは、それから店の灯りを少し暗くすると、僕の前に立つとゆっくり上着を脱いでムードのある音楽をかけた。

踊るようにしながらタイトスカートも脱ぐと、ガーターベルトを着けた下着だけになって身体をくねらせながら、僕にキスをしては離れた。

音楽に合わせて上手く踊っていた。

Mは、最後は高いヒールを脱ぐと、座っている僕の上に乗ってきた。

ストリッパーってこんな感じかなと言いながらキスをして、のジーンズを脱がせた。

そして、上になって僕の物を出すと下着の間から挿入した。

椅子に座ったままでセックスを始めた。

Mは、キスを繰り返しながら、いい友達を持ったねと笑った。

音楽に合わせながら腰を振って、僕をいかせた。

Aがどういう形でMを説得したのか、今でもMは言わない。

僕が教えろよと言うと、それって本人が生きてて三人なら言えるけど、卑怯でしょうと笑って答えて来た。

Mは今でも充分綺麗だ。

Aもそれを見たかっただろうとも思うと、切ない気分になる。

Aも生きていたら、この会話の輪に入って来ただろうと思うと、それ以上何が起こってMを説得したのか聞く気になれなくなった。

おわり

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