高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【318】

妄想家・夢想家無名居士の夢物語の記録です
無名作家高山のエッセイ「ガーターベルトの女」の
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無名魂~高山のブログ
【随筆】アベノマスク2~この国の変化

高山の作品から
随筆「原色とモノクローム

2017/10/19

若さと老いを、今は行ったり来たりしてます。四十九歳で老いは無いだろうと思われるでしょうが、トンネル工事の管理職とはいえ現場にかなり出ます。

これが、体力仕事で無いなら気付くの遅いかもですね。


すると体力的な物の限界を良く感じます。

今も、狭い休憩所で布団を敷いてこれを書いてるけど、せんべい布団だと冷えますし長年振動工具を使ってて、手の感覚が冷えるとかなり鈍ります。

俗に言う振動病ってのです。

職業柄仕方ないし、それほど酷くはないんですがね。


これが二十代や三十代なら苦にならなかったし、あちこちの体の故障が少なかったですからね。

部屋は四畳半に、布団と小さいテレビとDVDデッキを僕が持ち込んでます。

隅に、誰が積んだのか分からない古い週刊紙が有ります。

それ以外は自分自身が持ち込んだコーヒー用のポットと、作業着と本の入ったリュックが有るだけです。


外から直ぐに物音が聞こえます。

侘しいとか思わなかったけど、今は少し思いますね。

若い頃なら、こういう状況楽しめましたからね。


最近は、やはり老いが来てると思います。


機械の階段を上がる時とかに、ふとこんなに遅かったとか有りますよ。


それでも、体力は一般人より有ります。


一般人より有るからこそ、落ちてるのもはっきり分かるんですよね。

そういうのは、アスリートが良く感じて引退するとか言うのも、何となく分かりますよ。


本人しか分からない衰えって、有りますからね。


しかし、若い頃に見えなかった物とか、見ようともしないでいた物が見えますよ。


人の心の動きとかですね。

それで若い頃を激しく後悔しますが、三つ子の魂百までとか言うように基本は変わりませんね。


小学生の頃の話しですが、親は転校させて祖父母に預けたのに、何故か習い事を一気に色々されられました。

算盤、英語、剣道です。


算盤は、直ぐに自然消滅的に辞めましたが、最も嫌だったのが英語です。


僕の住んでる小さな街から、大きな街にバスで行くんですよね。


大きいと行ってもその後に住んだら決して大きくはないんですが、住んでた所が田舎でしたからね。

土曜日の学校が終わると、着替えずに慌ててバスに乗ってました。


街に行くと、田舎の男の子って格好でばれましたよ。


それと、途中から英語の個人塾のような所に入ったから、何が何やらでさっぱり分からなくて仕方なく行ってました。


一年位は続いたかもです。

何故続いたかは、街で本屋に寄って漫画の立ち読みするのが楽しみ立ったからです。


バス停から近くに小さい本屋があって、そこで漫画を立ち読みしてました。


今では立ち読みなんてしませんが、当時は漫画大好きですからやってましたね。

お小遣いなんてほとんど無いから、好きな漫画を読めるって嬉しかったです。

僕は、小学生の頃は漫画家になりたかったし、漫画は大好きでしたからね。


それに、本屋もおおらかでビニールに入れて読めないようにとか、当時は無かったです。


今の時期より少し寒くなった頃とか、冬を思い出します。

本屋の床は、あれはなんて言うんですかね。冷たい青い色のような、冷たい床でね。


今日はこちらは雨が降ってるけど本屋のドアが開いてて、雨も大雨で無かったら閉めませんでした。


冬になると大きなストーブが置かれてて、少し震えながらも漫画を読んでました。

多分一時間も居なかったでしょうが、とにかく漫画を読みたくてね。

その頃の情景は、原色のカラーで思い浮かべられます。


漫画の紙の匂いとか雨の匂いとかも、今でも思い出せます。


今は、昨日のことさえモノクロームですよ。


十代の頃は全てが原色のカラーで、この先どうなるんだろう的なわくわくを常に思ってたようです。


今は、そういうわくわくはない代わりに細かい部分を覚えてたりしますし、花とか木を見て美しいとか思えます。

表面的な物を捉えるのは十代ですね。


深く入って行けるのが歳を重ねてです。


音楽とかにそれが凄く出ます。


聞くのは変わらないけど、どんどん古いもの古いものに入っていって、当時は分からなかった良さが分かります。


どちらが良いとか無いのではとも思えるけど、若い頃の鮮烈さを失ったのは少し悲しいですね。

深みを読むのは得意でも鮮烈さを感知するのは、もう無理ですね。

だから、これから新しい文学や音楽が出てきても、分かるかどうか難しいですね。

文学はまだ頭が柔らかいから分かっても、音楽は駄目でしょうね。

仕方ない事だと思ってますよ。

何かを失うと何かを得るって感じかも知れないですね。


しかし、若い頃にむちゃくちゃしたし人より、ある程度過激に生きたから今はそういう物より、何かしら落ち着いた物を求めてます。


結果的にそうして生きたのがたまたま良かったけど、それを肯定するとかではないですね。


人によって違って良いと思います。


この辺りも、こうあるべきってのが随分柔らかくなりました。


しかし、何処かで自分自身の規範は有るんですけどね。


自分自身の規範は有るけど、それを他人に押し付けたりしなくなりましたね。


そして、全然違う規範で生きてる人も、中には受け付けないのも有るけど興味深く見られるようになりました。


人それぞれだな、と思えるようになりましたね。


それでも、ここまでは許せてもここからは駄目ってのは当たり前に有りますが、それが随分弛くなりましたね。


小学生の頃に行っていた本屋はもう無いですが、四十代に入るか位の時に行ったんですよ。


もう冬でもストーブでなくて、暖房で中も随分改装されてました。


しかし、僕が思ったのはこんなに小さな古い本屋で、こんなに種類が少ないのかです。


ある程度予測してたのが、それを遥かに越えてショックさえ有りました。


ここに、かつて原色でキラキラしたものが見えたと思うと!?ですよ。


しかし、確かに当時の小学生の僕にはそれがあったのだと確信はしてます。


当時はそれが見えてて、今は見えなくなったんですよね。


本屋の前で、しばらく煙草を吸いながらそう思いました。

そして、車で来てたけどわざわざ当時乗ったバス停に行きましたが、そこはもう無くなってて大きく場所を移動してました。


場所を移動してる所まで歩いたけど、もう景色がすっかり変わっててかなりショックでした。


面影がないんですよね。


そこには、面影も匂いも何もかも無くなってました。

人も変わるけど、街もどんどん変化するんだなと思いながら、車に戻って走らせました。


用事で少し街から奥まった所に入ったんですが、ふと空き地を見ると何だか見たような物が立ってて、慌ててブレーキを踏みました。


車が通ってないのを確認して、バックで空き地に駐車しました。


そこにあったのは、古い錆びた大きな自販機でした。


自販機は倒れ掛けててもう使えないようでしたが、割れた硝子から女性の顔が見えました。

すっかり時代遅れの格好や、髪型の女性です。


いわゆるビニ本の自販機です。


街から奥まった所に何ヵ所かあって、昔は隠れて買いに来たのを思い出しました。


そこに出てる女性はすっかり色も褪せてたけど、何となく嬉しい気分になりましたね。


僅かですが、当時の原色の風景が甦りました。


それが、ビニ本、エロ本の自販機ってのも、自分自身を何かしら象徴してるようで笑いが浮かびましたね。


もう無くなってるかも知れないけど、また近くを通る事が有ればそこで煙草を一服したいなと思います。

また、通る時に有れば良いなと思います。

若いのは素晴らしいけど、そういう物を見て笑えるようになったのも悪くないなと思いますね。

若い人から見たら、それは嘲りの笑いになるでしょうが、僕のような年齢で見ると、懐かしい微笑みになるのも悪くないと思いますよ。

おわり

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次回は随筆「朝めし」

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