高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【319】
妄想家・夢想家無名居士の夢物語の記録です
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【随筆】アベノマスク2~この国の変化
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随筆「朝めし」
2017/10/23
ジョン・スタインベックの短編に『朝めし』ってのが有ります。
『スタインベック短編集』に入ってます。
本があちこち行っててタイトルが「朝めし」か「朝食」か忘れたけど、短い中に鮮烈な情景を描いてて好きですね。
ジョン・スタインベックは何故か好きで『怒りの葡萄』、『二十日鼠と人間』、『スタインベック短編集』、『赤い小馬』を読んでます。
ノーベル文学賞作家ですが、特にそれは関係ないですね。
『怒りの葡萄』も良いけど、短編に僕は惹かれますね。
『赤い小馬』は、確か絶版で古本買いましたね。
そこから、トンネル工事の宿舎での「朝めし」をエッセイで書きたくなりました。
エッセイですからあんな風に書けないし、エッセイじゃなくても書けないけど一つの特殊な世界な「朝めし」の情景を読んで貰えたら良いですね。
トンネル工事は、プレハブの宿舎は今は、部屋に冷暖房も有るしなかなか住み心地良いですよ。
三十代の頃の、トンネルのコンクリート打設の班長をやってた時の話しです。
コンクリート打設の班長は二回ほどやったけど、とにかく体力ですよ。
宿舎の朝食は、大体七時です。
二人部屋で、起きてしばらく煙草吸ってから七時には食堂に行ってました。
当時はお酒も飲んでたけど、次の日に残るようなのはまずなかったです。
体力温存を一番に考えてましたからね。
作業着は綺麗に洗って、きちんとベルト通して何時でも着られるように、部屋の壁に釘を打ち付けて二着は置いてました。
上は汗をかくから、リュックに替えを入れてましたね。
僕は、そういうのきちんと用意しないとさっと動けないから、何時も用意してました。
七時には同部屋の人と、ゆっくり食堂に行きました。
炊事には、中年のおばさんがいたりおじさんがいたりです。
昼は、トンネル内は排ガスや汗をかきすぎて食べられないんですよね。
昼は弁当持ってきてたけど、捨てることや食べる隙がないことが多々ありました。
だからきちんと、朝食は何時もとってました。
それでも普通にご飯一杯です。
大体ご飯に味噌汁、それに漬物か海苔とかです。
生卵は大抵何処でもつきますね。
焼き魚とか付くとかまずないです。
僕は生卵をご飯にかけて、なるべくゆっくり食べました。
美味しいとか特に無くて、不味くも無いって感じですね。
ゆっくり噛んで食べると、前に同じ班の四十代後半の人が山盛りにご飯をして二杯は食べてました。
大体、こんなに食べる人は動きが悪いです。
ゆっくり噛んで食べると、ご飯の甘味も出て良いですよ。
食べたら棚に戻します。
そして部屋に戻る前に風呂場に行って体重を計りましたね。
朝と夜でどれだけ落ちるかですよ。
三キロは軽く落ちますよ。
そのくらい汗をかくんですよ。
多い時で五キロ落ちたりしましたね。
それを周りの若い連中に言うと、皆試すようになりましたね。
現場では大きな業務用の水筒があったけど、足りませんでしたね。
自販機が現場にあったから、なるべくポカリスエット系のを飲んでました。
それでも戻っても足りなくて、大量のそういうの飲んでましたよ。
良く寝てて脚がつったりするようになるのも、コンクリート班になってからでした。
部屋に戻ると、当時の同部屋の二つ年下がコーヒー好きで、簡単にドリップしたコーヒーを飲ませてくれました。
コーヒー飲みながら煙草です。
コーヒーと煙草って最高に合いますからね。
その間も、頭の中は今日の作業手順を考えてましたよ。
班長でも、何時も居るのが僕より歳上でやりにくかったです。
週のうち半分は若いのが手伝いに来てましたから、それは良かったですよ。
それと、そこはコンクリート打設も請け負いでかなりの金額になりましたからね。
金になるなら皆やりますよ。
僕が班長を無理矢理押し付けられたのがコンクリート打設の免許持ってると機械に乗れるからでしょうね。
それと自惚れですが、勢いの統率力です。
とにかく、無理なら元請けとも喧嘩したし、出来るなら夜の十一時位までやりましたからね。
体力も有りましたし、歳上も歳のわりに皆体力有りましたね。
問題は機械に乗れないでしたが、仕方なかったです。
コーヒーと煙草をゆっくり吸うと、着替えてトイレです。
大きいの出せたら出しておこうですよ。
トイレも宿舎のは綺麗でしたし、もしも出なかったら現場の近くで野グソしてたし、神経質にならなかったです。
一度か二度は、下痢でトンネルから出る時間が無くて機械の裏でそっとしましたよ。
そういうのはけっこう皆有りましたね。
いちいちそういうのを恥ずかしがっては、トンネルは向きません。
長いトンネルだと、どうしても外まで持たないなんて多かったですからね。
トイレから出たら、洗面に行って顔を洗って歯を磨きました。
当時は鼻毛は処理したけど、髭は白髪も無くて薄いから遊びに行く時だけでした。
ベルトを少し強めに締めてトイレから出ます。
腰が悪かったからコルセットする事も多かったけど、暑いから太目のベルトをきちんとしてましたね。
尻のポケットに軍手とゴム手を入れて、部屋でもう一服すると作業手帳を胸に入れながら今日の確認してました。
下に降りるとマイクロバスが待ってて、大抵助手席に乗りました。マイクロバスにヘルメット置いてて、そこでヘルメットを被ってました。
班長の印の、線の入ったヘルメットです。
その他、元請けに言われて持ってる資格のシールを貼ってたけど、ヘルメットは傷だらけで何のシールかさっぱり分からないような状態でした。
マイクロバスは、コンクリート班の為の物で十人居たと思うけど、主なメンバーの八人程が乗ってたと思います。
乗る時に、それぞれの顔色や表情をそれとなく見ましたね。
良く働く人は、前の日に遅くまで仕事になると明らかに疲労の色が出てました。
六十代の人もいたくらいですから、それは疲労が出ますね。
運転してる四十代の人が、僕の名前を呼びながら缶コーヒーくれました。
それをゆっくり飲みながら煙草に火をつけて、今日も儲けてやるぞと思いましたよ。
マイクロバスが現場に着くと、それぞれの仕事の人と挨拶したり馬鹿話しです。
そして、防塵マスクを首から下げてラジオ体操です。
体操終わると、コンクリート班の朝礼ですね。
僕は司会はしなくて、違う時だけ意見を言ってました。
防塵マスクを首から下げると、軍手をしながらトンネルの中に歩いて入っていきます。
大抵僕が先頭で、当時は煙草にうるさくなかったから煙草吸いながら、さてやるかと思いながら入ってました。
お腹の中は、食べた物よりコーヒーの感じが残ってましたね。
それと、一瞬だけ週末何処に遊びに行くかなとも考えましたよ。
朝食の感じは、胃から既に消えてました。
今日も汗を大量にかいて、体重が減るのだろうです。
それでも目先の遊びの事や今後の自分自身は、上がって行くだろうと何かしら自信が有りましたね。
それはある意味当たってて、ある意味外れましたけどね。
三十代の若さの良さかもですね。
基本的に作業する時の考えは変わりませんが、そこに先の希望を今は求めなくなりましたね。
こうして書くと、ジョン・スタインベックの作品とはまるでエッセンスも違うものになったに驚きますが、これが僕らのリアルですからね。
おわり
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次回は随筆「工事と脅迫」
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「新・ガーターベルトの女 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
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