高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【354】
妄想家・夢想家無名居士の夢物語の記録です
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随筆「濡れる女子事務員 10」
2018/03/14
濡れる女子事務員シリーズを続けるのは、Aちゃんを中心に、ここの現場で非常に面白い事が次々起こってるからと、坑夫って存在が真の力を出せばどれだけ素晴らしいかを伝えたいからです。
全部で七つの現場が有りますが、Aちゃんの現場で起こってる事は一種の奇跡です。
それを伝えるまで、時間系列はある程度無視しながらも描きたいですね。
まあ、付いてくる人は少なくともAちゃんシリーズを読まないと分かりにくいでしょうが、仕方ないですね。
こうなると、自分自身伝えたいって気持ちが強いんですよね。
それが、一人でも良いじゃないです。
今回スポット当てるのが、Aちゃんの現場の掘削班の班長のCです。
彼は、これまでも実はずっと出てるけど、彼にほとんどスポットが当たってないですが、この現場の重要人物ですし今後の僕の仕事でも重要人物になるでしょう。
確か彼は、今年で四十四歳になると思います。
年齢は、多少はこれだけの人間を抱えてたら間違えますけどね。
離婚して、まだ小さい子供が居ますね。
彼を一言で表すなら、冷静沈着ですね。
滅多に暴力は振るわないし、暴言も無いです。
こないだ、一度あったのが驚きでしたからね。
彼と出会ったのも古いんですよ。
僕が、フリーになって直ぐでしたね。
しかし、その頃は僕は掘削班の班長で彼は、まだ二十代半ばでコンクリート班か雑工やってて、そこの現場に居たのも短くて何となくしか覚えてないです。
なかなかの男前だな位しか覚えてないです。
次に会ったのが、何処だったか聞くと僕がおじさんと一時的に離れて、掘削班の班長してた時ですね。
今の会社から呼ばれておじさんは、他の会社から所長として呼ばれててだったと思います。
場所は、九州の短いトンネルでしたが、掘削やって直ぐにコンクリートまでやってくれと言われてました。
当時僕は、あっちに行ったりこっちに行ったりで、あちこちの会社を転々としてました。
三十代後半ですね。三十七位です。
考えたら最も作業員としては、充実してたかもです。
彼が、そこに誰かの紹介で来ました。
もう三十代でしたね。
この頃の記憶は、何人居てとか非常に曖昧ですね。
三十代から約十年間余りに、あちこち行きすぎてて覚えてないです。
自分自身、二十代の記憶は年齢のせいで薄れてるし、今も毎日余りに色々有りすぎて直ぐに忘れますよ。
だから、こないだ引っ越した時に大量の野帳、緑のレベルブックって言うメモ帳ですがそれが、出てきましたね。
とにかく、色々メモしてるけど、現場で書いてるから何を書いてるやらで笑えましたね。
捨てましたが、当時のメモ魔ぶりが良く分かりました。
今でも、基本はメモ魔ですがね。
僕は、Aちゃんとか耳の不自由なYとかと違って才能型の人間で無いから、とにかくメモして次の日の段取りを何時も考えてたように思います。
これを受け継いでるのが、CですしAちゃんですね。
二人ともとにかくメモしますね。
Cは、最初は僕の方の班では無くてもう一つの班にいたのを、僕が若い動くのが欲しいと言うのから引き抜いたんですよ。
実は、最近までそれも忘れてましたよ。
片方の班の班長は、当時四十代後半で老練な班長でしたが、最初から僕の班に負けてました。
何度か追い付かれたけど、当時の僕は、絶対勝つって強くあって色々工夫して勝ちましたね。
それに才能無いとはいえ一番良い時ですから当時の僕に勝つには普通の坑夫では難しかったと思います。
自画自賛ですが、そのくらい自分自身が先頭に立ちながらも工夫してました。
Cを入れ換えた時も腕は入れ換えた人の方が上でしたが四十代半ばで、僕に上に立たれてる事に嫌気が差してたから変えたんですよ。
Cが来た時は、最初はあーこいつかと思いました。
見た目が優男なんですよ。
身長は平均的な一メートル七十三位でしたが、スラッとしてました。
僕が背は低いけどゴリラ体型なら、彼は豹のような感じでしたし、男前でしたね。
それと、人当たりが柔らかくてこんなので良く坑夫やってるなと思わせましたが、実際に一緒に仕事をすると良く動くんですよ。
当時のメンバーは、僕にもう一人ベテランの四十代半ばが居て、後は駆け出しの二十代とトンネルの経験の少ない三十代半ばが居ました。
僕が集めたメンバーで無くて、会社が集めたメンバーですね。
とにかく、これで上手く割り振りしていかないといけないって有りましたね。
その中で最も動いて、最終的に僕の一番信頼を勝ち取るのがCでしたよ。
彼は、まだまだ坑夫としては大した事は無かったけど、それをきちんと分かってて必死に僕の指示を聞いてましたね。
朝礼や宿舎に戻ると、確認の為に僕に色々質問もしてました。
しかし、僕に逆らうとか全く無くて、これまでの僕の経験からは少し変わった坑夫でしたね。
僕が、目をつける若い連中は大抵何処かしら生意気で、時に僕に逆らうような奴でしたからね。
そういう連中の方が伸びると見てたのが、彼は違いましたね。
ひたすら、僕に従うのと忠実に仕事をこなすのをやってました。
彼と、これからもなるべくやって行こうと思ったエピソードだけは覚えてますよ。
当時、暑くて近くに駄菓子屋があって、昼には僕が皆に奢りでガリガリ君アイスクリームを買ってました。
安いし丁度良いんですよ。
それを、Cに毎回行かせてましたね。
そしたらある時、時間が経っても戻らないんですよ。
どうしたのかと思ってると、汗びっしょりになって戻って来ました。
駄菓子屋にガリガリ君が無くて、そう言えば近くにコンビニがあったと思ったらしく走ってコンビニまで行ったのは良いけど、いざ行ってみると意外に遠くて参りましたと言ってました。
僕が笑いながら、そんなにガリガリ君に拘らなくてもと言うとそうですよね。でも、高山さんの言うのは僕には絶対だと思ったからです、と答えて来ました。
あー、こいつは、俺を信頼してるなと思ったのと、その愚直さが良かったですよ。
今の彼にこの話しをすると、当時の高山さんは今より数倍怖かったですよと笑いますね。
それと、三十代後半で班長になってる僕の人間の使い方を、彼なりに相当観察してたらしいですね。
Cも僕と同じ才能型では無いから、いかに人を動かすかを覚えようとしてたらしいです。
それでも機械も上手いし、やらせたらそこそこ何でもこなしましたが、何かしらこれが得意って強烈にアピール出来るのが無かったです。
何度か飲みに行ってて、今でもモテるけど当時のCは、特にモテましたから冗談で知らない土地だし、女の子を今から三十分以内に俺用とお前用にナンパして来いと言いました。
三十分経たないうちに、そこそこ可愛い若い女の子ナンパしてきたのには、驚きましたね。
ホテルにしけこんだのは、Cだけで僕は、面倒になったのを覚えてますね。
当時のCはモテたけど、ほとんど一夜限りでした。
そういう点では、クールな遊び人でしたね。
今でこそ、そういうのは無いですが、炊事婦のおばあちゃん達に聞くと、ありゃあんた何かより余程モテるとの事です。
奥さんが一度だけ宿舎に来て紹介されたけど、Cとはお似合いな綺麗な洗練された人でしたね。
その後別れたけど、いさかいとか浮気で別れたのでないらしくて、今でも良い関係らしいです。
この現場で知り合って電話番号交換してからは、なるべく声を掛けるようになりました。
Cも空いてる限りは、必ず付いて来ましたね。
そして、僕が今の会社に入ってからも声を掛けました。
Cは、直ぐに飛んで来ましたし、腕も随分上がって来てました。
しかし、現場が続いても、時々フリーで違う所に入るんですよ。
これは、僕が若いうちは同じ所に居ない方が良いと言ったのと、同じ人間ばかり使ってると淀むんですよ。
馴れ合いが、悪い方に出るのを僕が嫌ってるから、彼はわざと他の会社に行きましたよ。
そういう彼もこの数年は、僕が社員にならないかと何度か勧めて来ました。
Aちゃんが、出てくるまでは彼が最も社員に向いてると思ってましたし、今でも社員に向いてると思ってます。
それをのらりくらりと、彼は交わして来ましたね。
気持ちは分かるんですよ。
まだまだ坑夫でやりたいと、やっと本来の坑夫での班長の楽しみ方を覚えた所ですからね。
班長ってのは、覚えたら面白いです。
自分自身が、リーダーを取りながらも自分自身も働くんですから、現場の実権を本当に握れるのは所長や僕なんかより優秀な班長でしょうね。
実際、今の現場の掘削班の全体の実権を握ってるのは、所長や僕より彼でしょうね。
もう一つの僕と同い年のHと上手くやりながらも、全体をそれとなく仕切ってますよ。
彼は、腕では僕と同い年のHには勝てないと見て、直ぐに自分流のやり方に変えましたからね。
やっと最近社員に前向きになりました。
Aちゃんの後はCが僕を支えるでしょう。
今年中には、三人の体制を作りますが、CいわくAちゃんに先を越されたなあです。
そこには、嫌みとか後悔より、仕方ないなあって雰囲気ですね。
それと、まだ若いし、実際の実力は非常に伸びてるけど、CにはAちゃん勝てないです。
しかし、彼はAちゃんには勝てないと言いますね。
あの若さで女性で圧倒的な伸びを見せてるのを見て、才能ですよと言います。
Aちゃんには、誰か他の人に何かしら相談が有ればCに聞けと言ってましたし、電話番号かLINEを交換するならCが良いぞと言ってました。
それに、Cなら爽やかだろうとAちゃんに言うと、そりゃ高山さんに比べたら皆爽やかですと言われて笑いました。
Aちゃんは、このところ随分坑夫に信頼されてて、現場の雰囲気を上手く変えてます。
それでも電話番号交換とかは、なかなかしない女性でしたが、つい最近やっとCと交換したらしいです。
何れは、お前は肩書き的には俺の次なんだから事務所にケータイ番号を貼るとは言ってるけど、自主的に交換したのは、Cが初めてかもですね。
今年中には、最低でもAちゃんとCと僕での三人体制を作ります。
Cは、僕は立場的にはAちゃんの下で良いと言ってますね。
僕もそれで良いと思ってます。
彼は、こういう仕事には、珍しく我の強いタイプで無くて、自分自身がどのポジションに向いてるかをきちんと把握出来てますね。
まあ、現場のトップの僕が、そういうのを把握出来てないのかも知れないとこないだ笑い話しでCに言うと、高山さんは、ある意味そういう我の強さが売りですし、それで成功して来てますからと言われて、あー!良く見てるなと感心しました。
それと、うちの今の所長は、大きな現場では無能ですよと僕には言ってますが、使い方次第ですとも言ってますね。
確かに今の所長は、頑張ってるけど、仕切れてないです。
使いようでもあるってのに賛成ですが、Cのある種のクールさと冷徹さが出てる言葉です。
Aちゃんは、他の坑夫とはじゃれるし僕にもバンバン言うけど、Cには真面目な相談しかしないようです。
Cの持ってる雰囲気が、じゃれるのに向かないんでしょうね。
それをCは、まあそういうポジションも必要ですからと答えますね。
それぞれの個性を自分自身が分かっててそれを上手く使ってるのは、とても頭が良いです。
Aちゃんもじゃれながらも、相手を良く見てますよ。
僕に言うのは、高山さんには何でも言えるけど人によって分けてます、と答えますね。
まだ二十六才かと思うと、そういう発言はお前は恐ろしいなと僕は答えますね。
しかし、Aちゃんいわく、上手く乗せてやらせてるのは実は僕でしょうとの事ですが、僕は本能でそういうのをしてるだけですね。
ガリガリ君を必死に探してた頃から随分経つけど、基本はあの頃と変わってないCは素晴らしいですね。
職人になるのも勿論難しいけど、自分自身を知って長になっていくのは、更に難しいと思います。
自分自身を知るってのが難しいですね。
僕なんて仕事は、まあそこそこ自分自身を知ってるけど、プライベートはグダグタですからね。
Cもある意味Aちゃんによって、一歩も二歩も新しい道を行こうとしてます。
Aちゃんが出てこなければ、班長で終わってたでしょう。
班長で終わるのを駄目だと言ってるので無くて、違う方面にも力を出して欲しいって人間が居るって事です。
そういう意味では、Cも才能が無いのでは決して無くて、人を惹き付け動かす才能があるって事ですね。
Aちゃんを社員にして鍛えながらも、前に出してる効果が自分自身が思ってた以上に出てますよ。
勿論、それによってうちでは、ないところからの反発や、彼女が女性であるって事からのトラブルはあるけど、乗り越えて行きますよ。
うちの連中は彼女によって、今が一番がっちり固まってますからね。
まあ、僕から見たら時に可愛いけど、良く俺にこんなに反発するなとか、大飯食らいの女の子ですけどね。
Cに冗談でそう言うと、高山さんは良く知ってるからそう見えるのと、二人のコンビは段々強固になってますよ、と冷静に言われますけどね。
今後のCの活躍も書くかは別としても、期待してますよ。
おわり
次回は随筆「濡れる女子事務員 11」
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