高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【486】

妄想家・夢想家無名居士の
夢物語の記録です
無名作家高山のエッセイ
「ガーターベルトの女」の映画化芝居化 その他いろいろ作品化できれば
なんて途方もない夢を観ています

📖 高山のエッセイ〜「ある男性と冤罪」

この話しは前から書きたかったけど、ノンフィクションだし自分自身の事ではないし色々含んでるから書くのが躊躇ってました。

二年ほど前になると思うけど、仕事で使う本当に安い飲み屋でその男性と会いました。 席が隣になって何を話したかは覚えてないけど、その日に意気投合しましたね。

年齢は僕より少し上で自営業やってます。 何の自営業かは書きません。 プライバシーが色々絡むからね。 高校生の息子さんと当時二十歳位になる息子さんが居まして、奥さんもきちんと居ました。 今でも家庭は円満のようですよ。

初めて会った時の印象は心を開いてるけど、何処かでピリピリしてるなです。 ピリピリしてるは怒ってるとかで無くて、緊張を解かないなてす。 しかし、人の話しを聞く時はきちんとこっちを向いて目を見て相づちを打ってたし、人の話しを否定はしなくこういう考えもないか、と言うような人です。
僕より小柄ですが腕も太くて、顔も男前ですね。 昔は相当やんちゃだったようですし、喧嘩したらこの人絶対強いなと言うのが滲んでましたね。
それと良いリーダーになるタイプだなと思いました。 これは自分自身トンネルやってて、良いリーダーになるタイプって有るんですよ。 自己主張は肝心な時にしかしなくて、きちんと相手に向き合うってタイプです。 そういう点では、僕は良いリーダーと言うより周りに担がれてなるタイプです。

一度腕相撲したんですが、僕に勝つって普通の歳上では無いです。 それが、勝てなかったけど、こりゃ強いなでした。 同年代で、まず僕は負けないし同じトンネルしてても、強いなって意外に少ないですよ。 それが、一般の人が強いなですからね。

この人には上の息子さんがはっきりしない難病にかかってて、どんどんそれが悪くなってるょうです。 筋肉が退化と言うか動かなく、病気であちこち有名な所を回ったらしいですが、はっきりした病名出ないようです。
発症したのが高校生の頃で、段々体の動きが悪くなったようです。 本人も分からないし家族も分からないしですが、学校が嫌でサボるタイプでは無くて成績も良かったようです。 しかし、学校は病気と捉えなかったようですよ。 家族はこれは、何かあると病院に連れていったようです。
最初は街の大きな病院ですが、そこで運動をしなさいと言われたようです。 それからトレーニングジムにインストラクター付けて通ったらしいですが、一向に治らない。 終いには、インストラクターの人が泣き出したらしいです。 自分自身の力不足で申し訳ないとね。

そこから更にやはりこれはおかしいで、大きな病院に行くと原因が分からないと言われて東京にも行くし、全国回ったらしいです。 それでもはっきり分からないようです。 何度か会ううちに、家に遊びに来いと言われました。    家で飲まないかですが、しかし、人の家に行くのにビールも持たないで行くのは不味いと思ったんですが、相変わらずの金欠でそれを言いました。 そしたら、俺が来てくれって言ってるんだから、全部俺に任せろと言われましたね。
家までタクシー呼んで貰ってその払いもその人で、家に入る前に袋一杯のビールや焼酎ツマミを持たされて、これはお前が持ってきた事にすれば良いと言いました。 気に入った人間には徹底的にするタイプですね。 僕もありがとうございますと言いました。 僕はパニック障害が有るので少し薬を飲んでたけど、それも言ってました。 それほど、まだ深く付き合いがないのにその男の人は信用出来ると思えたんです。 それは、間違って無くて信用出来ましたね。

家に行くと、障害のある長男と高校生の次男と奥さんが居ました。 長男の状況を見て相当悪いなと思いました。 床に絨毯を敷いてて、テーブルがあってかなり広くてソファーも有りました。
絨毯に座って、ご飯を奥さんが作ってくれてて飲み会ですが、長男は座ってても寝転びたがります。 話すとやはり話しは分かるのですが、上手く口が回らないようです。 ゆっくり話しますね。
次男は、高校のブレザー着て照れてるようでした。 男の人が言うには家に人を呼ぶのは数年ぶりとの事です。 長男が障害が有るから呼ばなかったんだと思いますね。

大量の食べ物が用意されてて、奥さんも喜んでるようでした。 障害のある長男とも色々話しました。 かなり自然に話しましたよ。 だけど、トイレに長男が立とうとしたら上手くなかなか立てません。 お母さんは自分自身で行きなさいですが、父親のその男の人は立ち上がって身体を支えてあげました。 最後は抱き抱えるようにトイレに連れていきましたよ。
文句を言いながらもね。 母親はまた甘やかしてといってましたが、仕方ないだろうと言い返してましたね。
そこで、あーいつもこうやって大きくなった息子を支えてるだなと思いました。 だから、自然に元々力が強いのが歳を取っても保たれてるだな、ですね。
僕が居ても、長男が食べ物を取ってとか言うと両親ともが甘えるな、と言うんですよね。 それを見てて、あー羨ましいなですよ。

うちにはアルコール中毒の兄が居ますが、兄に向かって本音を誰も言いません。 言ったら後で暴れたりするからね。 
楽しく飲んで帰りましたよ。 奥さんは相当飲むようで、僕と同い年の可愛らしい人でしたが、帰りに靴を履いてるとまた来てねと何度も言うから、お互い酔ってて軽くハグをしました。

その後も僕を中心に、そこのお店は男がやってる店なので何人かで何度か行きました。 その男の人の奢りで何度か飲みにも行きました。
しかし、その人完全には酔わないんですよ。 常に何処かで自分自身を律してるし、僕のように女の子に対してのスケベ心は有りません。
何故自分自身を律してかは、長男が居るからです。 飲んでても遅くなると、ケータイに長男から電話が鳴って何か買ってきて、とか有りました。
長男はどんどん悪くなって死ぬかもと言われてるようですが、今は違う形のリハビリしてて何とか悪くなるのを遅くしてるようです。
とにかく言うのは、今の状態で良いから死なないで欲しい、ですよ。 そうだろうなと思いましたね。 長男は、多少は何で自分だけこんなのになったのかってたまに言ってたけど、その度に両親から怒られてました。
僻むな、その為に皆お前に一生懸命してやってるのに心だけは変に歪むな、です。 それを強く言ってました。 長男もそりゃ僻みたくなるだろうけど、家族から支えて貰ってるの分かってるし、根は素直ですよ。
父親のその男の人に、お父さんみたいな強い人間になりたいと言ったらしくて、それを飲んでて話してたら思わず涙が出るわ、といって少し泣いてましたね。 普段は泣いたりしない人なのに、やはり常に長男が一番の気がかりなんですよね。
長男ともLINEを交換して、たまにLINEをしてました。 話しはなかなか合わないけど、何とか気が紛れたらと思ってましたが、今は相手のLINEが一度消えたらしく長男とは連絡してないです。
その男の人とは、週にね一二度は必ずLINEしてました。 律儀な人で何か有ると電話もしてきてくれてました。

それが少し前に途絶えた事があって、どうしたのだろうと思ってて何時もの安い飲み屋に仕事関係で行きましたら、店員がそっと教えてくれました。 事業してた工場が燃えたらしいんですよ。 え!でした。ローカルニュースではやってたらしく、今は警察が調べてるらしくてLINEとか電話も調べられるらしいですから返事が出来ないとの事でした。
その店の男の子が、世話になってるから気持ちだけでも寄付しないと言ったから少なかったけど、手持ちの数千円を出しました。

それからしばらくしたらその男の人から電話があって、保険も降りそうだし大丈夫だから色々ありがとうと来ました。 しかし、また少ししたらローカルニュースで、その火事は奥さんがやったのではとなって、奥さんが警察に連行されたと出ました。 え!?ですよ。 奥さんが何故そんな事をするのかで、そりゃないだろうでした。
その飲み屋にも仕事の接客で行った時に、仕事の人が帰ってからそっと何人かで話しまた。 奥さんも飲み屋にも来てたし、その店の男の達皆家に行ってるからね。 どうなってるんだ、ですよ。 とにかく今は上手く事が運ぶように見守るしかないなです。

そうしてまた、しばらくしたらその男の人から電話が有りました。 奥さんの嫌疑は晴れたらしいです。 最初からそんなのあるわけ無いのに、何故か連れて行かれたらしいです。
警察には相当怒ってたし、警察を訴えるかも考えたけど労力が無駄なので諦めたらしいです。
それと、付き合いのあった業者は大きな所は全て離れなかったらしいです。 信頼は保たれたけど、あることないこと言うのも居るよとの事です。

工場の再建も入ったらしくて、もうすぐ出来るようです。 それとこの件で、街の警察の上層部は減給と全て入れ替わりが行われたらしいです。 ここの警察の評判は前から悪くて、決定打になったのでしょう。
しかし、大きな街では無いから未だに噂は聞きますが、僕はその都度あれは冤罪ですし、あの人の事を知ってるんですかと言いました。
ニュースは、冤罪で捕まえたは一つも流しませんでしたよ。 仕事してて噂が流れるのは痛いのに、冤罪でしたのニュースは流れないっておかしいだろうですよ。 間違えてたらどんな事でもきちんと流さないと、噂は消えないからね。 マスコミも少しでも良いから、流すべきですよ。

僕の家も倒産してるから、未だに地元に戻ると色々な噂聞きます。 二十年近く経ってもね。 僕が、作業いんのにBMWを借りて地元の会社と交渉に言ったら、高山の所は息子がとうとう会社また起こすらしいとか、調子に乗りやがってとか言われます。
たまたま空いてて、貸してくれると言ったからBMWに乗ってただけですよ。 ふざけるなよですよ。 これが、取引き先の会社の下の人間が言ってると聞いて怒りましたね。
僕は今でもらくじゃないんだぞ、ですよ。

警察は、庶民の味方と思ってたら痛い目にあいますよ。  もちろん交番の警察官には非常に良い人も多いけど、署に行くと対応のいい加減さに呆れる事があります。 そういう時は名前を聞いてて、何々さんがこう言ったけどと再度クレーム入れます。
すると非常に丁寧な電話が、他の人かその人からかかりますよ。 それなら最初からきちんとしろよ、って事が有りますね。

話しは戻るけど、事件の後で久しぶりにその男の人とこないだ会いました。 痩せてましたが、元気でした。 五十過ぎてからの、また再建とまでは行かなくても困難な道でしょうが、やる気は非常にあるようです。 息子さんの事が有るから、そういう風に動けるのかも知れませんね。
一時期は絶望的になったとは言ってましたが、今は元気ですよ。   
息子さんも何とか元気のようです。 寒いとかなり悪いようですが暑いのはまだ良いんだと言ってました。
今どき珍しいガッツがあって男気のある人ですね。 この先も付き合いは続くと思いますね。

その人が僕を信用したのは勘でしょうね。 それと言ってたのは女にだらしないけど、僕も正直に家の事を話した正直さと苦労を知ったら信頼したと言ってましたね。
個人的に思うのは、やはり息子さんの病気が少しでも良くなると良いなと思います。 その人を支えてるのは、ある意味息子さんへの愛情だと思います。

しかし、警察は時に汚いなと思いまして電話で苦情入れてやろうかとも思ったけど、変な事になってはいけないと諦めました。 警察官の中にもきちんとしてる人は多いけど、僕のあちこちで警察に行った印象では若いうちは、皆きちんとしてる。
ある程度の年齢になると、え!?って事が多いですよ。
国家権力は使い方次第では暴力装置になると思いますね。


おわり

📖管理人・無名居士の 童話『花物語』〜お山はどうして紅くなるの

2008/10/14 童話『花物語』

  花の行商をしていたおかあさんから
  お花の話を聞いて育った少女は
  大きくなって念願のお花屋さんを開きました
  少女のもう一つの夢は
子どもにお花のお話をすることでした
  おかあさんがしてくれたように・・・

花屋さんの今のお話の相手は
オスネコのジュンでした
いつも膝の上に乗って
顔を見上げてお話を聞いていました
花屋さんをほんとのおかあさんだと思っているのです

ジュンがおかあさんの膝に乗ってきました
顔を見上げています
何のお話をしましょうか
秋だから
お山はどうして紅くなるのかお話しようね

絵描きさんは年をとっても
いつまでも美しい絵を描きたいと思っているのよ
一度描きあげた絵でもその上にまた色を重ねていくのよ
もっといいものを描きたい
もっと美しいものを描きたいという思いがそうさせるの

お山やお空や
木や花や鳥や虫たちをつくった自然の神様もね
自然のいろんなものをもっともっと美しくしたいと
いつもいつも思っているの
きっと今は秋をもっと美しくしようと思っているのよ

お山をどんな赤色にしたらいいか
どこか色が足りないところはないか
何度も何度も色を重ねてたり削ったりしてるのよ
お山を美しくしたいからよ
美しくするとみんながしあわせになれるからよ

あなたもなにが美しいか
美しくするためにはどうすればいいか
一生けんめい考えようね
それは一生かかることなのよ
一生かかって考えればいいことなのよ

📖 高山の作品から〜「Yとの嬉しい再会」

2017/12/04

大きなトンネルの現場で作業員を他の所に回さないといけなくなって、誰か良い作業員居ないかなと他の作業員と何気なく雑談してたら、鹿児島のYが居ますよと言われました。

Yが失業してるようですよと言われました。

高山さん知ってるでしょう、Yですよと言われてしばらく考えて、あー!と思い出しました。

僕が、三十代の頃に何ヵ所か一緒に仕事した、二つ年下の男です。

ボディービルやってる体で、ハーレーに乗ってました。

前に書いたかも知れないけど、しかし彼は耳が悪いんです。

普通に話すのは問題ないけど、遠くから呼んだりは難しくて、普段は補聴器着けたりしてました。

トンネルの現場では、補聴器付けるとトンネル内の機械の音が入りすぎて、付けてなかったです。

普段話す時は少し声を大きめにすれば良いくらいですが、トンネル内では音が聞こえにくいらしくて簡単では無かったんですね。

耳が悪い事から、火薬の免許を相部屋になったから色々教えたんですが、落ちましたね。

しかし、彼は火薬の免許が無くても非常に勘が良くて、親しい人達はほとんど目と手で合図して、火薬の挿入をさせてました。

火薬の作業は、機械に乗る人と火薬を詰める人に大体別れます。

僕は、当時は両方やってたけど、主に機械に乗ってました。

Yは、機械はまだそれほど得意で無くて詰めるのをやってたけど、合図が上手く通るようになってからは、Yの勘の良さには凄いなと思わされました。

こちらに背を向けて、火薬の電気の線を繋いだり火薬を込めたりするんですが、パターンが分かると最初に十メートル弱から合図を送るだけで、ほとんど分かりましたね。

今日はこういうパターンだからって感じで、手で送るんですね。

それでも迷ったら必ずこっちを振り向いて合図を待ったからこっちも直ぐに違うなら合図で指示しました。

身振り手振りです。

しかし、火薬の免許を持たないから段々掘る方は難しくなって、何でもやってましたね。

働き者でしたし、人間的にもとても良かったです。

相部屋になってからは、特に親しくなったから火薬の免許を取らせたかったけど、当時は一番簡単な免許も落ちました。

三十代の頃は、それでコンクリート打設班に手伝いに来たり雑工やってました。

幾つか現場を一緒にやって、三十代半ば位で別れました。

その後は、トンネルやってるとも聞いたし或いは辞めて、地元で建設業の作業員をやってるとも聞いてました。

トンネルをずっとやってるなら頻繁に連絡したでしょうが、辞めてるとも聞いてたから連絡してなかったです。

それで、Yを知ってる作業員に火薬の免許は取れたのかと聞くと、最近やっと取れたらしいです。

僕は、おー!それなら呼ぼうです。

性格も良いし働き者でしたが、火薬の免許を持ってないならまたここで雑工は、年齢的にも経済的にも厳しいだろうです。

直接、ケータイ番号を知ってる作業員から聞いて電話しました。

Yは僕だと直ぐに分かると、●●ちゃん呼んでくれるのとなりました。

●●ちゃんとは僕の名前です。

Yは年下なのに、ずっとそれで呼んでましたからね。

僕も特に気にして無かったです。

だけど、Yが偉くなったから●●ちゃんは不味いね、と言うから笑いました。

確かに皆の前では高山さんで呼んでよと、偉くないよと答えました。

Yにしてみたら同じ作業員だった僕が、会社の職員になってるのは偉くなったんでしょうね。

僕は所長も班長もやってたけど、Yは何時も一作業員でしたからね。

それで呼んだけど、流石に二つ年下ですから四十代後半です。

その辺りの体力的な事とか心配してました。

現場に来たので会うと、その心配は大丈夫そうだと思いました。

相変わらずボディービルのようなので鍛えてて、身長は175センチ程ですがゴツいです。

お互い懐かしいなあです。

昔は髪を長くして、後ろで括ってたのは短くなってましたし、やはり老けましたね。

僕を見てYは、変わらないねと言ってましたが、Yも僕が多少老けたと思ったでしょう。

約十年ぶり位の再会です。

 

現場の説明をして、最初はとりあえず雑工を数日やってから掘るのに入るか、と言いました。

いきなり掘るのに入れようかと思ったけど、僕がYがどの程度になってるか或いは落ちてるかを見たかったからです。

その辺りはシビアに見ますからね。

しかし、落ちてるどころか機械に乗るのが非常に上手くなってるし、とにかく動きますね。

それも要領よくです。

これなら掘るのに入れられるで入れましたが、耳の事が心配でしたから掘る方の班長呼びました。

耳が悪いけど勘は良いから、合図を送れと言いました。

班長は、Yより若い三十代後半です。

何なら僕がしばらく入って様子を見てやろうかと言うと、そこは大丈夫でしょうとなりました。

耳が難聴のせいで、上手く行かないでは困るからね。

二日ほど様子を見てたら、班長も上手くやってました。

三日目には、ダイナマイトを仕掛ける為の大きい機械にYが乗ってました。

昔は、これにはほとんど乗らなかったし上手く無かったです。

それが、とても上手くなってました。

元々素質はあったけど乗らせて貰えなくて、素質を開花させられ無かったんですね。

班長も他の作業員も、あの人やりますし性格も良いですね、となりましたね。

僕の中でほっとするものが有りましたね。

耳の障害のせいで苦労して来てるの知ってるから、良かったと思いました。

休憩時間にYが缶コーヒー奢ると言うから、二人で自販機の前で立ち話ししてました。

あのあとあちこち行って嫌な事もあったし、一時はトンネル辞めてたらしいです。

こうして●●ちゃんに呼んで貰えるとは思わなかった、と言うから笑いました。

僕が会社の職員になってるのは知ってたらしくて、知り合いに頼んで僕とコンタクト取ろうかとも思ったらしいです。

しかし、自分自身は耳の事が有るしもう若くはないしで、辞めておこうと思ったらしいです。

僕は、良い掘り出し物を見つけたよと言い返しました。

二人で当時の話しで盛り上がりましたね。

最初にあった時は、僕が三十一とかで向こうは二十九とかです。

当時、年上で現場を仕切ってた人達はほとんど引退してます。

当時の僕は、カッとなると激しかったとか言われて笑いました。

そうしてある夜勤の日に、僕は見張りのような形で詰め所に居てDVD観てました。

 

何かしら起こると、呼ばれるって感じです。

昼もあちこち現場を回るから、仮眠する事も多いです。

部屋は四畳半無いくらいで狭いけど、最近は寒くなってストーブ入れてますから僕にはとても嬉しいです。

その部屋にYが来ました。

夜勤に出てて休憩時間のようでした。

部屋を見ると、もっと良いところに移るか自分の部屋を使えば良いのに、と笑いました。

Yの部屋は、今のところたまたま空いてて普通は二人部屋になるのが、一人らしいです。

Yは他の作業員に聞いたらしくて、他の現場も回ったり営業したりしてるからなるべく高山さんに迷惑かけるな、と言われたと言ってました。

●●ちゃんも偉くなったけど大変だねと言うから、そうだよと答えてあの頃はお互い若くて楽しかったなあと言いました。

そういえば、その頃も僕の部屋がたまたま空いたらYが勝手に来て、●●ちゃんなら気を使わなく良いからと来たよなあ、と言いました。

そしたらYは、だって実際お互い気を使わなかったでしょうと言うので、そうだなでした。

Yは、火薬の免許を取ろうとした時も僕が凄く手伝ってくれたのは、嬉しかったと言いましたね。

こういう話しするのは、お互い年を取ったんだねとYが笑うから、そりゃ年だけは平等に取るよと言って、俺なんか頭の毛がやばいぞと笑いました。

僕は、Yがまたハーレーに乗ってきてるから今度後ろに乗せろと言うと、いいよと嬉しそうに言い返しました。

昔は、後ろにだけで無くてしばらく借りたこともあったけど、今は免許を無くしたから後ろで良いよと言うと、Yは無免許でも少し位なら良いよと笑いました。

お互い年は重ねたけど、あの頃の気持ちは変わって無かったんですね。

多分Yは、この現場だけで無くてしばらく僕の現場で使いたいと思いますね。

そして、耳の障害を上手く切り抜けたYを凄いな、と思いましたね。

出来そうで出来る事ではないです。

難聴程度ですが、トンネルって仕事になると簡単ではないですね。

だからYは、何時も目と勘を働かせてます。

トンネルでは、怪我をしたあとの人とか多いです。

指を無くしたりとかね。

しかし、耳の障害は長くこの世界に居ますが、Yだけです。

良くやってるなあと感心します。

Yは、ハーレーで今度二人で何処か行こうと言うと、部屋を出て行きました。

僕は、そうしようと答えました。


おわり

📖「ガーターベルトの女」の映画化のためにエッセイをお読み下さい・・・「ガーターベルトの女 3」

もう二十年以上前の話し。

Mとの思い出は沢山有るが、お互い若くて記憶は遠くに行きかけてますが、幾つかエピソードを書きますね。

まだ付き合ってた時だと思うけど、僕らの小さい街ではなかなか観られない映画を二人で何本も見たし、Mは僕から教えて貰って、『ゴッドファーザー』や『カリートの道』を観て、アル・パチーノを好きになりました。

年齢は二つ年下ですからジェネレーションギャップは無かったけど、相手は女の子ですからね。

『ゴッドファーザー』を全部観て言ったのが、あれってヤンキーの観るのかと思ったら色んな意味でのファミリーの映画だね、です。

そして、若き日のアル・パチーノって格好いいね、です。

『カリートの道』は僕も好きですが、彼女の何故かお気に入りでした。

『スカーフェイス』も『シー・オブ・ラブ』もビデオで観てたし、それはそれで良かったようですが『カリートの道』が、彼女には一番良かったようです。

良くカリートが街に帰って来たら、あちこちカリート!カリート!って呼ばれるシーンが有るんですが、それを物真似してましたね。

それとカリートが掛けてる、当時でもいかついサングラスを二人で買い物に行った時に似たような形を見つけて来て、似合うから買おうと言いました。

僕が掛けたら、似合うけどヤバいんですね。

それでもMに押しきられて買いましたね。

Mとは県で一番の街まで良く行ったけど、買い物してると店員が、彼女さん可愛いですねと何時も言われました。

ひねくれ者の僕は、俺には勿体ないと言いたいのかと、何時も思いましたね。

Mと、県の一番大きい映画館で『もののけ姫』を観ましたが、僕は正直当時これに乗れなかったんですよ。

宮崎駿監督が肥大化してきてるなと思ったのと、自然保護を全面に出しすぎてると思えたんです。

考えたら違うんですけどね。

自然保護を全面に出すのは、「ナウシカ」もそうだからね。

宮崎駿監督の当時の記録的ヒット作になった事に対しての、ある種の寂しさをそういう風に解釈したんですよね。

ファンって勝手な物で、自分だけが好きだったのが国民的映画監督になると、いやいやそれはちょっと、ってなりますね。

それがあったから乗れなかったのだと思います。

Mに、今回のはいまいちダメだったと言うと、それは作品を純粋に観てないからでしょ、と笑いながら言われました。

当時の僕は、いや、違うよと反論したけど、Mの指摘が当たってましたね。

そう言い返すと、本質を見ろとかファンならどういうのでも受け止めろって貴方は言ってたけど、宮崎監督のファンを辞めるんだ、と言われてうーんってなりました。

後年になってMの言ってた事が正解だと分かりますが、当時は反発してましたね。

僕が幼く、Mが大人でしたね。

これを観に行くってなってから、Mは観てなかった『紅の豚』や『となりのトトロ』、ビデオで借りて観てましたね。

両方とも良かったし、『紅の豚』を貴方が薦めるの分かる、でした。

男は好きだよね、ああいう世界だけど、女から観ても良かったよ、でした。

『となりのトトロ』は子供向けと思ってたら、意外とそうでなくて良かったと言いましたね。

まあ、普通は、『もののけ姫』がヒットしてるからと言ってわざわざ観てないのを借りないけど、Mはそういうのは嫌なようでした。

流行は追うけど、嫌いなのは嫌い、でした。

ファッションに関しても自分自身の好きなブランドがあって、それは好きだけど皆が買うからで買う訳ではない、と言ってましたね。

下着も、当時は珍しかったガーターベルトを時々してたのも、Mの個性でした。

当時は、水商売の女の子といえばルイヴィトンのバッグが定番でしたよ。

持ってないのが恥ずかしい位の勢いです。

今でも同世代の水商売の人は結構持ってるけどね。

僕は笑ってましたけどね。

あちこち行っても、何処でもルイヴィトンでしょ。

定番のモノグラムですね。

水商売は大抵ルイヴィトンだよな、でした。

Mに入れ込んでた病院の先生は、Mに電化製品から果ては多分車まで買ってあげてますが、

ルイヴィトンもあげましたね。

田舎の医者としては一番の大きい病院の外科医で、かなりの高給取りだと言われてました。

多分、年齢は四十代半ばですが老けて見えたし、俺は医者だ、と言うのをやたらに出してましたね。

酔うとMを必死に口説いてましたし、飲み方としては汚い飲み方でしたね。

医者だと言うのを威張ったように言うし、中年になってもああいう風になりたく無いなと思わせましたね。

ルイヴィトンのバックを貰ったMは綺麗に箱に入れたままにして、二人で大きな街に行った時に質屋に売りましたよ。

僕は、貰ったの知ってたしそれは不味いのではと聞くと、私がルイヴィトン欲しいとか言ってないのに押し付けられたんだから良いんだ、と言い返して来ました。

余りに水商売の高級志向が強いので、それならL.L.ビーンのトートバッグで行こうと、僕が良く言ってたジーンズショップで冗談で言ったら、それが良いかもとL.L.ビーンのトートバッグで店に出勤始めましたよ。

L.L.ビーンのトートバッグは、当時はアメカジの定番で安いし丈夫だしで重宝されてたけど、水商売の女の子が出勤に持って行くタイプでは全く無かったですよ。

本人は、色々入るし楽だし良いよ、でした。

しかし、それを見た病院の外科医の先生は、何それ!?ですよ。

僕は、その先生が来たらしばらくしたら帰るようにしてたけど、直ぐに帰るとお互いの関係がバレるから上手く帰ってました。

水商売の女の子と付き合ってきて思うのは、店に行くけど入り浸らない事です。

雰囲気で周りにバレますからね。

その日は僕とその医者だけで、かなり酔ってるから段々と怒り始めます。

Mは、私が何を使おうと先生が指図するのはおかしいし、私が何かを買ってくれと頼んだ訳ではない、と全うな反論しました。

しかし、酔ってる上に貢いでる中年のプライド高い医者には、そんな正論は通じません。

確かに水商売って所は、時に正論等は無駄なんですよね。

水商売を普通の居酒屋とかと考えたら違いますからね。

そこには男と女の駆け引きや、男同士の牽制や色々な要素が入るので、特殊な仕事ですよ。

医者は、正論言われても我慢がならないんですよね。

惚れてるし貢いでるのに、一向に振り向かない女です。

食事も仕方なく何度か付き合ったようですが、わざとうどん屋を指定して、うどん食べたらさっさと帰ったと言ってましたからね。

医者は色々言いましたよ。

お前に幾ら使ってきたのかとかね。

そういう風に言ううちに興奮してきて席を立って、お前なあ、みたいな感じになりました。

Mも気が強いから負けてないけど、これ以上やりあっても無駄だと思ったのでしょう。

急に、お客さんもこういうの好きですよね、と振って来ました。

僕はTシャツにジーンズでしたが、当時仕事がハードでTシャツの袖をまくらなくても自然にまくれる位でした。

トンネル工事の防水シートを張るのを作業員としてて、凄く腕の力を使うから普段より更に太くなってました。

急に振られたから、わざとその太い腕を見せながら余裕を見せるように煙草に火をつけて、俺はアメカジ好きだから女の子がそういうのを持ってるのありだと思うよ、と言いました。

煙草を口に咥えたままで、ゆっくり僕も立ち上がりました。

医者の方に向かって、お客が他にも居るんだから考えてよ、と言いながら側を通ってトイレに行きました。

医者は、僕とMの関係を最後まで気付いてなかったです。

若い頃から飲んでたので無くて、中年になってから飲み屋に行くようになったようで、その辺りの勘って鈍かったんでしょうね。

インテリってある部分では非常に優れてるけど、皮膚感覚的なものが時に鈍ってるのが居ますね。

僕は、狭い店のトイレでゆっくり小便しながら、何か起これば出ていって医者を外に連れ出そうかと思ってました。

トイレから出るともう、医者は居なかったです。

Mがいたずらぽい笑いを見せて、医者のボトルから高いウイスキーを僕に注ぎました。

それを味わって飲むと、Mが笑いながら上手く言ったね、でした。

医者は僕なんか眼中に無かったんですが、突然Mが僕に話しを振って、見ると腕の太い若いのが居るじゃないですか。

それでビビったようです。

Mが、貴方も役者だねと笑いました。

完全に脅してる感じが出てたよ、でした。

しかし、僕はあれで僕との関係を疑わないかなと聞くと、それはないと答えました。

あの人鈍いからね、です。

それなら良いけどと答えたら、ありがとう、とカウンターから軽くキスをしてきました。

Mのこういう普通でない行動には慣れてましたが、照れましたね。

そうしてたらMの高校の時の同級生で、僕の会社の社員が店に来ました。

兄さんやっぱりここかと言いながら、笑いながら座りました。

Mは、その男にも医者の良いウイスキーを注いであげて、さっきの話しを面白おかしく話して聞かせました。

会社の社員は付き合ってるのは知ってるし、気の知れた仲ですからね。

話しがかなり大袈裟になってて、僕が怒って軽く脅したみたいになってました。

それを笑えるような話しに、巧みに変えてましたよ。

社員の男は、兄さんやってしまったんだ、と笑ってましたよ。

僕は大袈裟になってるよと笑いましたが、Mは、良いじゃない実際急に振られても余裕の演技をしたんだから、と返して来ました。

その日は、三人で飲んで歌いました。

Mが機嫌の良い時は、僕たちのリクエストに答えてくれましたよ。

その日は珍しく、何曲もリクエストに答えてくれましたね。

Mは、お酒はほとんど飲んでなかったけど、機嫌が良かったです。

頃合いを見て、会社の社員は先に帰りましたね。

僕とMの雰囲気が分かったんでしょうね。

時間になると店を閉めて、飲み屋街から少し離れた所で待っててと言って、僕をそこで自分自身の車で拾いました。

その日はお互い気分も良く、そのままラブホテルに行きましたね。

Mは何度か、僕の腕にキスをしてきたのを覚えてます。

次の日に現場で余りに暑くて休憩所で上を脱ぐと、周りが、腕の周りが痣になってるぞと言ったから驚いてみると、Mのキスマークが付いてました。

僕は、それを見て思わず笑いました。

おわり

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1
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