高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【349】
妄想家・夢想家無名居士の夢物語の記録です
無名作家高山のエッセイ「ガーターベルトの女」の
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【 随筆 】きゃりーぱみゅぱみゅを代表する有名人を守れ
高山の作品から
随筆「濡れる女子事務員5」
2018/02/10
Aちゃん頑張ってますよ。
パワーショベルで、ズリの処理もかなり上手くなってます。
ズリとはトンネルから出る土や岩です。
まだ、僕や他の人のフォロー必要ですが、本格的にダンプに積むようになりましたよ。
業者のダンプに積んでます。
本来もう少し後にするつもりが、本人からの申し出で早まりました。
ガッツが有ります。
そういう時に休憩所で、Hが班長の掘削班の一人が、掘削班はHさんとYさんが居るから大丈夫みたいに、悪気なく発言したんですよね。
しかし、Hは僕と同い年の四十九歳で、Yは二つ下の四十七歳です。
実は、二人とも身体はもうぼろぼろです。
長くこの仕事で先端をやってるとそうなります。
若い掘削班の男が、HやYで大丈夫と言うとカチンと来ましたね。
僕の頃は、いかにして歳上の連中を追い落とすか必死でしたからね。
三十代で掘削班の班長を何度もやって来た僕としては、お前達少し甘えてないか?となりました。
それに他の現場では、四十代五十代が班長多いけど僕の所は、なるべく三十代を使います。
何故かは、やはり三十代がピークなんですよ。
体力的にも知識的にもね。
ピークと言うか、登ってるんですよね。
だから、お前達仲良しこよしは、良いけどいかにして人を追い落とすかもきちんと考えろ、と言いますね。
少し位生意気で、歳上や格上の人間に意見する位が丁度良いんですよ。
それをナアナアでやるのと、自分自身成長しません。
だから僕は、お前達少し気合いを入れろです。
悪くないし良くやってるんですが、もう一歩踏み込んで来いと思いますね。
そうして弾き返される事もあるけど、それも勉強です。
僕は、お前達よりこいつの方がガッツがあるぞと言いました。
Aちゃんの方が、ガッツがあると思いますね。
分からない事はきちんと聞いて来ますし、良く動いてますからね。
パワーショベルに乗りながらも事務は前よりきちんとしてますし、トイレ掃除や休憩所の掃除も時間が空くとやってます。
こないだ驚いたんですが、僕らは反射板の付いた安全チョッキを必ず着ます。
火薬番と言って、火薬の出し入れをだけを計算して出す人も付けてます。
昔は、火薬の出し入れだけで無くて雑務もやったんですが、アメリカのテロ以降厳しくなって火薬の出し入れと、その辺りの掃除だけになりましたけどね。
良く警備員等が着てるのですね。
これを必ず着るのは、トンネルに入ると暗いからです。
これが光って目立つ事で、ダンプや重機がどんどん動く中で自分自身がここに居ると分からせる為です。
僕も現場に行くと必ず着ますが、何気なく着ようとしたら、あら!?綺麗になってると思いました。
そう言えばこのところ皆、身綺麗に見えるなと思ったら安全チョッキ洗ってるんですよ。
時々洗うんですが、忙しいとついつい忘れます。
それをAちゃんが、皆のを少しずつ宿舎で洗ってたらしいです。
コンクリート班も入れたら今では、ここの現場は二十五人は軽く越えてるし、昼夜でやるからそれぞれの時間帯が違うけど、そこを見ながら皆のを洗ったらしいです。
けっこう大変ですよ。
それぞれの働く時間帯を知ってないと出来ないですからね。
だいぶ前に安全チョッキって洗えるんですか?と聞かれて、洗いかたを教えたのを思い出しましたね。
皆のを洗ったから、皆が身綺麗に見えますよ。
それをやれとは言ってないのに、自分自身が気づいたら工夫しながら洗ったんだと思いますね。
こういう気配りは女性特有かも知れないけど、何より素晴らしいのは自分自身で仕事を見つけて、それを実践する事です。
アドバイスは貰っても、何時の間にかやってるのには感心したから偉いねえと誉めました。
すると、気付くの遅いですよと笑われましたね。
元請けのも洗おうとしたようですが、やはり考えてそれは越権行為だと思ってやめたらしいです。
仕事も積極的ですし、何かと言えば僕に聞いて来ますし時には歯向かいます。
僕に歯向う何てのは、他に居ないからね。
現場での下請けのトップですからね。
僕は時には、弾き返すし時には教えますね。
普段は、お前が俺にどうこう言うのは三十年早い、と言いながら頭をはたかれてますよ。
しかし、歯向かと言うより疑問に思ったらどんどん聞いてくる姿勢は良いし、口だけで無くて自分自身が何が出来るかを何時も考えて動いてますよ。
動いてるって所が肝心ですね。
口だけってのは、この世界非常に嫌われるからね。
アゴハチと言われて、口だけの奴は嫌われます。
Aちゃんは、とにかくトンネルの成り立ちから実践までを知りたいようです。
最初は、ネットで調べてそれから今は、元請けの所長に工法や簡単なトンネルの本を借りてますね。
そこで、実践との違いを確認してるようです。
実践は、僕に聞いてて何故そうなるのかとか、どちらが正解なのかとか聞くので、現場ではその時その時で合わせて行くと答えます。
それを、かなり具体的に話さないと納得しないから面白いです。
そういう疑問をどんどんぶつけて来ますが、普段はパワーショベルに乗る以外は事務をしたり掃除したりです。
元請けの所長と、現場の整理整頓に出たりしてます。
勿論、パイプを繋いだりもしてますよ。
相変わらず時には、濡れてますけどね。
それと、アルバイトから社員につい最近しました。
まだ給料は安いけど、今後上げると約束してるしアルバイトの時よりは格段良いですし、何かしらあった時には社員の方が得ですからね。
これには、うちの常務が相当動いてくれて社長を説き伏せました。
今後の給料が上がるのも、約束取り付けてます。
常務は、六十代の後半で一度倒れてから身体の調子は良くないから、何時引退してもおかしくないですからね。
それならなるべく、僕のやり易いようにと動いてくれてますね。
しかし、僕が常務の誘いで会社に入って今年で十年ですが、最初は現場の仕切りばかりでした。
そのうち営業に、一緒に行くようになります。
最初は、営業は難しいなあでした。
この五年程で、段々と営業も僕の方が主導権を取れるようになりました。
昔は、常務とは何時も言い合いになってた時期があって、一年ほど非常にお互い険悪な雰囲気の頃が有りました。
しかし、僕が実績を挙げるにしたがって常務も折れるようになりました。
今では、完全に僕が主導権を持ってて、常務は何かしらあった時の相談役です。
今では、お互い笑い話しですが、常務はお前ほど俺に歯向かうのは居なかったから一時期は、本当に腹が立ってたらしいです。
しかし、それが実績にきちんとなってくるようになると、常務も考えを変えざるをえなかったと言いますね。
しかし、常務が我慢してた時期が当然有るんですよね。
実績も上手く挙がらないのに、歯向かう僕に対して我慢してた時期が有りますよ。
それを常務はいちいち今は言わないですが、僕はそこは分かってるから感謝してますし、一種の信頼関係が出来てます。
その常務も、何時引退しても良いようにと奔走してくれてますね。
Aちゃんを高く評価してます。
ある時、僕の住んでる街に仕事の取引先と用事があって、Aちゃんも帰りに僕の住んでる方向に用事が有ると言うので、僕はまた現場に戻るから車に乗るかと言いました。
Aちゃんの用事は私用のようでしたが、直ぐに終わるらしくて乗りますと言って来ました。
既に時間は五時を過ぎてたからもう仕事終わり、Aちゃんは良いんですよ。
僕の住んでる街に入るとケータイが鳴って、仕事の取引先から急用で手が離せず明日にして貰えないかと言われました。
仕方ないなあです。
Aちゃんの私用も直ぐそのあとに連絡が来て、今日は無理となったらしいです。
高校の同級生がこっちに戻ってて、少しだけ会わないと言って来てたらしいです。
それが、向こうの急用で無理になったらしいです。
僕は、時間を見てAちゃんに三十分ほど車で待っててくれないか、と言いました。
父の見舞いに、少しだけ寄ろうと思ったからです。
Aちゃんにそれを言うと分かりましたと言って、高山さん、やり方とかそういうのはお父さんの影響強いって本当ですか?と聞かれました。
僕は、それは強いし父親の血が流れて無かったら、今の俺は無いよといいました。
俺にとっては色々な師匠が居るけど、父親が一番だと言いましたね。
Aちゃんは、そうですかとだけ言いました。
父が相当悪いのは、周りに聞いてるのだと思います。
車を降りようとしてたら、お父さんの病室は何階ですか?と聞くから、五階だとだけ答えて急いで見舞いに行きました。
見舞いと言っても寝てる時は起こさないし、起きててもきちんと意識が無いことが増えてますから顔を見に行くだけです。
その時は、寝てたから起こさずに、しばらく寝顔を見てから車に戻ろうとしました。
駐車場で車まで来たら、Aちゃんが立ってて五階の方を見てました。
寒い中でお前は何をしてるんだと言うと、高山さんの師匠がお父さんなら私の師匠は高山さんだから、孫みたいな物でしょうと言いました。
だから、きちんとお願いしてたと言いましたね。
何をお願いだと聞くと、トンネルの師匠に色々ですよと怒ったように言い返して来ましたね。
まあ、確かにAちゃんの師匠は僕かも知れないけど、父の事までそう捉えるかに驚きましたが、やはり父達世代が居て僕の世代が居るんですね。
そして、Aちゃんの世代に繋がって行くんですよ。
これは、何でもそうですが、前の世代が居るから僕らがやれてる、ですよね。
それをきちんと思うべきだなです。
上手く言えないけど、僕らがここまで来るまで沢山の人間がこの仕事に関わって来て、中には事故死したりしてるんでよね。
それを、時にはきちんと思うべきだなと思いましたね。
自分自身に関わってきた人だけでも、今まで相当な人数ですよ。
そういう人達が居たから僕が居て、次代を担うAちゃん達が出てくるんですよね。
過去の人間が居るから、今の僕らが居るんですよね。
その辺り、大事だなと最近思いますね。
上手く言えないけど大事ですね。
Aちゃんは、車の中で父の性格とか少しだけ聞いて来ました。
高山さんに似てるんですねと笑ってましたが、突然真面目な声を出すと、ヘルメットの件ですけどと言い出しました。
僕は、一瞬で何を言いたいか分かったけど、Aちゃんの口から言わせるように知らないふりをしました。
Aちゃんは、この頃は冗談で一本線の入ったのを被ってましたが、それを何も無いのに変えたいと言って来ました。
一本線がはいるのは、うちでは班長です。
二本の線が入るのが、所長とか僕ですね。
あとは皆、線は無いですからね。
それにしてくれ、と言って来ましたね。
冗談でも、班長が一本線のヘルメットを被るまで大変だって分かったんでしょうね。
僕は、オーケーだよと言いました。
そして、お前もそのうち実力で一本線のヘルメットを被って、二本線にまで行けよと言いました。
最終的に、二本線何て要らないなあ位になれ、とも言いましたね。
これは、線の入ったヘルメットってのは誇りです。
最初は、相当嬉しいですよ。
そこまで、自分自身が来たんだなとね。
しかし、元請けの所長と話してて、長く二本線のヘルメット被ってると面倒で、線なんて要らないなあと、つい最近話しましたね。
元請けの所長や僕のようになると、線なんて要らないなあになります。
そこまでになれよです。
かといって、僕は二本の線になるのが、絶対的に勝ちとか全く思ってないです。
一生線無しでも、コツコツやってる職人も居ますからね。
それは、尊敬してますよ。
向き不向きって有ると思いますね。
Aちゃんには続けてこう言いました。
お前は、今日俺の父親の事を言ったけど、俺の遺伝子はお前に最も濃く出るようにしてやるとね。
エッチな意味では無いですよ。
僕と言うトンネル屋が出来るのに様々な影響受けてますが、このところつくづく思うのは、父親の影響です。
そして、僕の影響を受けてる坑夫は沢山居ますが、最終的に最も濃くこの若い女性に僕の影響を残そうと思いますね。
そこから自分自身の物にして、自分なりの改良をどんどん入れて行けば良いんですよ。
僕が父の影響を濃く受けながらも、様々な他の影響受けたり自分自身で改良したようにです。
僕も四月で五十歳になるから、自分自身の正当な後継者を決めたいんです。
それが、たまたま女性だったと言うだけで、正当な後継者に最もふさわしいかもと最近思ってます。
それだけのガッツや才能が、有ると思いますね。
とにかくトンネルの場合は、人に負けないと言う気持ちですよ。
どうやってでも勝ってやるって気持ちです。
Aちゃんには、僕とは違う形ですが、負けないって気持ちは相当強いですね。
そこは、この先女性だから色々なハードルが有ると思うけど、僕も出来る限りのサポートをして、新時代にふさわしいトンネル屋になって欲しいです。
そして、それが可能なのは彼女だろうと思ってますよ。
ハードルを乗り越えて行くだろうと思いますよ。
だから、若い男の坑夫達も彼女を見習って、常に上に上がる努力をすべきだとつくづく思います。
上がるには、努力と人を納得させる何かが必要です。
Aちゃんには、その何かが有ると思いますね。
何と簡単には言えないんですが、常務にもそれは有りましたし、トンネル屋の管理者までに来てる人の一部には、オーラのようにそれが有りますよ。
Aちゃんの今後に期待したいと思いますね。
事務員シリーズはとりあえずこれで完結にしますが、エピソードが出ればまた、書くかも知れないですね。
彼女が、女性は入れないトンネル界に風穴を開けてくれると信じてます。
おわり
次回は随筆「濡れる女子事務員 6」
「ガーターベルトの女」~映画化のために
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