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~第8回~ 「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治」

新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言が解除されました。
しかしまだ、日本に限らず世界中の人々がこの疫病に立ち向かっております。
この「立ち向かう」心に関わる神話を紹介いたします。
氷川神社の主祭神・スサノオノミコトの「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治」神話です。

神々の時代、スサノオノミコトは高天原での荒々しい行いの責任をとり、高天原を追放され、出雲の簸之川(ひのかわ)に降り立ちます。
そこで泣いている老夫婦と少女に出会いました。

スサノオ「お前たちは誰だ?どうして泣いているのだ?」
老人「私は国津神(くにつかみ)のアシナヅチです。私の妻はテナヅチと言います。この娘はイナダヒメと言います。
私達には八人の娘が居ましたが、毎年ヤマタノオロチにのまれてしまいます。今度はこの娘です。それで悲しんでいるのです。」

これを聞いたスサノオは、イナダヒメを櫛に変えて自分の髪に挿しました。
そして、アシナヅチとテナヅチに、何度も醸した強い酒を注いだ酒桶を造らせ、八つの桟敷に置き、ヤマタノオロチが来るのを待ちました。

やがてヤマタノオロチが現れました。
頭と尾は八本に分かれ、熟れたホオズキのように赤い目をもち、背中には木々が生え、胴体は八つの丘と八つの谷にまたがるほど巨大です。
ヤマタノオロチは桟敷に置かれた酒桶に気が付き、それを飲み干して酔っ払って眠ってしまいます。
スサノオはその隙を突いて、腰に帯びた十拳剣(トツカノツルギ)で ヤマタノオロチをズタズタに斬り裂きました。

その時、ある一本の尾を斬ると剣の刃が少し欠けました。
その尾を裂いたところ、中に一本の剣が入っていました。
これが倶娑那伎能都留伎(クサナギノツルギ。天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)とも。古事記では「草薙の太刀」)です。
スサノオノミコトはこの剣を天津神(古事記ではアマテラスオオミカミ)に奉りました。
そして退治を終えたスサノオノミコトはイナダヒメと結婚し、平和が訪れます。

クサナギノツルギは歴代天皇が古代より伝えてこられた鏡と剣と玉の「三種類の神器(神から受け伝えた宝器)」のひとつとして現在も信仰を集めております。
この剣が今に伝えるスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治の神話は「どんなに大きな相手であっても立ち向かう心がけの大切さ」も伝えているのです。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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